平成21年度事業報告書
 平成21年度事業報告をいたします。

1 基本理念
 「神の家族」というキリスト教精神に基づくホーム(小舎)制による異年齢・男女一緒の家庭的養護をとおして、「共に生きる」「役に立つ心豊かな人」を目指した自立支援を行う。

(1)施設運営
 ホーム担当制によるきめ細やかな関わりと人間関係の中での家庭的養護及び加算事業(心理療法や家庭支援専門相談員等の配置)などを実施することにより、子どもたちの福祉増進や自立支援に努めた。本年度も地域の有識者に苦情処理解決第三者委員を委嘱したほか、可能な限り、地域からのショートステイ、トワイライトステイ事業の依頼に応じたり、体育館等の施設やグランドの開放、子ども会や夏祭りへの参加など、地域との連携、協力を大事にし、地域に貢献できる施設運営に取り組んだ。

(2)児童援助
 本年度も子どもの良いところをできるだけ見つけ、承認してやることにより、悪い自己イメージを払拭し、自信、誇り、自己肯定感、自己万能感等を少しでも持つことができるよう働きかけた。また、部活動を推奨し、協調心、忍耐力、正しい自己表現力などの向上にも努めた。
 一方、要望・意見箱の設置や毎月の聞き取り調査などにより虐待等の防止を図るとともに、苦情処理第三者委員会において、子どもや保護者から出された要望・意見を報告し、助言、意見をいただくことにより児童の基本的人権の尊重や児童のより良い支援に努めた。

(3)職員育成
 部外研修は、年間研修計画に基づき実施し、専門的知識や技術の向上に努めるとともに、職員会議などでの伝達研修をとおして他の職員レベルのレベルアップも図った。また、他施設を見学することにより、他施設の良い点を学ぶことができたほか、これまでの自己を見直し、新たな視点、考えで業務に取り組む姿勢、意欲を持つ機会となった。
 一方、勤務引継ぎ時の職員小礼拝、教会学校担当、教会行事への参加、聖書の学び、ホーム礼拝等をとおして、建園の精神であるキリスト教精神に基づく愛と奉仕の精神を学ぶとともに、人間観や福祉観の涵養に努めた。

2 重点目標

(1)子どもの生命・安全を守る。
 本年度は、10月半ばから、新型インフルエンザに罹患した児童が出始め、動向が心配されたが、あらかじめ策定していた予防対策や発症時対策に基づき適切に対応したことから、園全体への急激な蔓延や入院を要するような重症化のケースはなく年末には収束した。
 一方、最寄りの警察署に依頼して交通安全教室を実施するなどして、園内事故や交通事故の皆無を目指したが、昨年同様、中・高校生による通学途中の交通事故が数件発生した。幸い、入院を要するような大きな事故には至っていないものの場合によっては、生命にかかわる重大な事故になりかねず、引き続き交通ルールや運転マナーの習得、交通安全意識の向上等を図っていく必要性を痛感した。

(2)児童への支援、処遇力の向上を図る。
 軽度発達障害等の課題を抱えている児童が年々増えてきており、チームを組んで組織的に支援、処遇することが肝要であることから、心理職員との連携のもと、ケースカンファレンスや検討会を行いながら支援に努めた。地域小規模児童養護施設(榎ホーム)は、地域の中の施設として本年とは違った独自性のある運営はまだ検討を要する状況にあるが、できるだけ地域の方と触れ合う機会を持ちながら、より社会と密着した支援に努めた。。家庭支援専門相談員を中心に家庭、児童相談所との協議・調整の結果、家庭環境が整い、11名の児童が家庭復帰した本年度も夜間の指導員による学習指導、ボランティア学習指導により4名の児童が高校進学することができた。

(3)施設・設備の整備を計画する。
 ホームの家電製品の修繕・更新を行ったが、本年度は、特に地デジ対応のテレビ、チューナーを整備したほか、ホーム及びコイノニア(食堂棟)の椅子を更新し、生活環境の改善に努めた。


3 児童・職員

 (1)児童定数 66名  3月31日現在在籍数 51名
 (2)職員(法定定数20名)   
 施設長1名、書記1名、管理栄養士1名、主任児童指導員1名、主 任保育士1名、児童指導員4名、保育士14名 、家庭支援専門相談員1名、心理療法士1名、非常勤調理員4名、嘱託医1名
                                常勤職員合計25名
                               常勤職員合計 5名
4 職員連携体制

 (1)朝の礼拝、連絡会は、月〜金(学校休日を除く)のam9:30(年度途中
  からpm4:00)から実施した。
 (2)施設内部運営会議は、職員会議前に月1〜2回開催し、施設運営に
  ついて意見交換し、施設運営の指針・方向性を明確にした。

 (3)職員会議(月に1〜2回)を定期的に開催し、職員間の意思統一を
  った

 (4)毎月の職員会議のあと、保育士チーム、児童指導員チームごとにミ
  ーティングを行い、業務のすり合わせを行った。

 (5)こどもL・E・Cセンターとの連絡・調整・連携については、毎月第2火曜
  日(夏・冬休み等は除く)を連絡会議と設定し、双方の主任児童指導
  員・主任保育士及び家庭支援専門相談員のメンバーのもと連絡調整
  や行事確認を行った。


5 子どもの生活・学習支援

 (1)生活支援
  @児童の自立支援計画は、チームミーティングでの協議、ファミリーソ
   ーシャルワーカーによる児童相談所や家庭との連携、担当保育士
   と学校との連携、心理職の助言等参考にしながら多角的な支援計画
   の作成に努めた。
  A自立支援計画や4か月まとめをもとに全職員でケーススタディを行
   い、支援状況の確認、支援目標の再設定を行い、児童の情報共有
   や目標達成度を確認するとともに、心理療法士の助言を得ながら日
   常生活支援に反映させる機会とすることができた。
  B熊本県性教育研究会の協力を得て、年齢別グループに応じた性教
   育を2回実施し、命の尊さや性被害者や性加害者にならないことを
   学んだ。
  C情操教育の一環として華道クラブを8回実施した。
  D各種招待行事や町内会行事に参加し、見聞を広め社会性の発達を
   図った。
  E夏休みと年度末の時期を利用し、各ホームで行き先や行程等計画
   し、外出・外食の機会をとおしてマナーを習得する機会とした。
  F幼稚園、小学校、中学校との懇談会を月1回行い、情報・意見交換
   を行うことにより子どもの生活全般について園と学校の両面から支
   援することができた。
 (2)学習支援
  @本年度も小学生から中学生までの朝の公文学習、中学生から高校
   生までの夜の学習(午後7時〜9時、男女別の隔日)の2本立てとし
   て行い、生活日課の学習時間として定着してきた。
  A本年度は、特に熊本グリーンロータリークラブの支援により、中1の
   児童4名を対象として年間を通して学習支援がなされた。平成22年
   度は、中2に進級した児童を持ち上がりで、年間をとおして学習児童
   していただく予定である。
  B中3の児童4名は、学習ボランティアの高校受験のための特別指
   導を行っていただき、無事4名とも合格することができた。
 (3)卒園生の支援
  本年土も卒園生のスポーツ指導協力やスポーツ大会への応援・差し入
  れなど、子どもたちへの直接的な関わりがあった。また、本年度の壮
  行式において、
「卒園生の会」から卒園する1名の児童へ記念品を贈
  呈していただいた。


6 心理支援
 
  本年度は、13名の児童を対象に年間合計433セッションの心理療法
  (プレイセラピー、カウンセリング)を行った。また心理テスト(知能検査、
  発達検査、性格検査、描画検査、質問紙検査)を計18回実施した。
   心理療法を実施したほぼ全ての児童に問題行動の軽減や生活面での
  適応の向上が認められた。担当
職員とのコンサルテーションやケース
  検討会での心理的視点からの児童の見立てと援助への提案を行った。

 

7 安全対策と教育

 (1)建物、設備、遊具、園庭、プール、公用車、非常用具、救急用具、通学
  路の整備点検について各部署が行い、特に敷地内の外回りについて
  は、児童指導員チームが点検リストにそって継続して確認を行った。
 (2)正門、南門の定時閉鎖施錠と合わせて午後9時を目安として園内巡回
  を継続している。定時に閉門することにより外部からの不用意な侵入を
  防ぐことができ、安全管理の徹底を図ることができた。
 (3)防災、防火対策、救急法及び季節の防災意識の向上について消防署
  との連携による避難訓練を毎月実施した。地域小規模児童養護施設の
  榎ホームは、熊本市の消防署との連携を図り、避難訓練を毎月実施す
  ることができた。
 (4)最寄の警察署及び交通安全協会、交通安全母の会の協力を得て、交
  通安全教育を実施し、交通安全意識を高めた。しかし、本年度も自転
  車通学途中に3件の軽い接触事故が発生した。
 (5)学校、地域ての要請により園が「子ども避難の家」としての機能を継続
  することにより、地域にある児童養護施設としての意識向上を職員全体
  で図った。
 
8 保健衛生管理

 (1)本年度も最寄の保健所職員による衛生講話を実施し、職員の保健衛
  生意識の向上に努めた。
 (2)各ホームチェックリストを作成し、手洗い、うがい、消毒のチェックを徹底
  して行い、食中毒、感染症の防止に努めた。
 (3)嘔吐あとの床等の消毒並びにドアノブやトイレ等人が接触する部分を中
  心に消毒を徹底した。
 (4)新型インフルエンザの罹患児童が出たが、予防対策や発症時対策に
  基づき適切に対応したことから、急激な蔓延や重症化のケースはなか
  った。
 (5)集団調理、ホーム調理を行っているので、職員一人ひとりの衛生意識
  を高めるとともに、職員の衛生点検表により衛生チェックを行った。
  また、調理器具・布巾等の消毒及び調理三原則を確実に守り食中毒発
  生防止に努めた。 

9 子ども及び家族の要望受付システムの確立と活用

 (1)コイノニア(食堂棟)前に設置している「希望・要望・意見箱(以下、意見
  箱)の定期開封(1日・15日/月)を要望受付担当職員が行い、施設長
  責任のもと文書で回答するというシステムを継続しており、本年度は25
  件の投書があった。
 (2)苦情処理第三者委員会を3回実施し、委員会に子どもからの要望・意
  見及びその回答を報告したあと、委員会から助言、指導をいただいた。

10 幼児養護の充実

 (1)園内保育所の支援計画をもとに、就園前の幼児集団への援助を行って
  いる。
 (2)就学に備えて、生活の中で必要な支援(集中力をつける、落ち着いて
  座る等)を行った。
 (3)お話会奉仕が12回あった。職員以外の大人と触れ合いなながら社会
  性発達の一助となっている。
 (4)園内保育所で保育中は、保育所前の道路閉鎖し、児童の安全を守っ
  た。

11 教会との連携
 
(1)本年度も健軍教会学校広安分校として毎月第1、第3土曜日に今日学
  校を実施した。高校生は、健軍教会の礼拝に出席した。本年度は、新型
  インフルエンザのため、教会行事への参加は見合わせた。
 (2)毎月第2金曜日に牧師をとおして聖書の学びを行い、仕事の意義や愛
  と奉仕の精神、人間観、職業観などについて学んだ。
 (3)健軍教会牧師によるホーム巡回礼拝を8回実施し、児童の安心感の形
  成や魂の成長に努めた。

12 地域福祉・家庭支援サービス

 (1)子育て支援短期利用事業としてショートステイ事業21件、トワイライト
  ステイ事業5件の利用があった。
 (2)地域住民の福祉、健康増進のため体育館・運動場・コイノニアを開放
  した。


 
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