 |
|
 |
| |
 |
社会福祉援助技術現場実習「事前講義」資料 |
|
はじめに
今回、与えていただいたテーマが『社会福祉現場実習における「児童・生徒の実態と、接する場合の留意点」』となっています。皆さんが知りたい・聞きたいと思う内容はどんなものでしょうか。 社会福祉と教育現場においてこの実習をどのように位置づけるのかについて、整理がついていますか。教育実習であれば大学での講義の延長上に自分の目標とするものがあり、目指すものへの明確なカリキュラムが整っているものと思います。しかし、社会福祉の現場に入ろうとする自分自身にどのような準備が必要なのか、今、この段階でどの程度整っているでしょうか。 資料を準備する段階でこんなことを考えてみました。単発の話で難しいのが、皆さんの知りたいことと話す側が伝えたいと思っている内容のギャップです。あくまでも今回の内容は児童養護施設の入口にあるものと位置づけ、個々で深めて頂くきっかけとなれば幸いです。
1.皆さんが持つ児童養護施設像
児童養護施設には保育系・社会福祉系の短大、大学、専門学校、教職課程の介護体験、教師の教職新任研修あるいは11年目研修、といった様々な形で「実習」といった名目で関わって頂くことが多くあります。これらの多くの方は福祉と教育という違いはありながらも「人に関わる専門教育」を受けてこられます。しかし、これらの方々が共通して抱える不安に「子ども達と話すことができるでしょうか」というものがあります。専門教育を受けている人でありながら生まれるこの不安はどこからくるものだと思いますか。 一人ひとりに自分の答えがあると思います。実習までに考えておいて下さい。 では、なぜそんな不安を抱えることになるのでしょうか。そして、児童養護施設について今の段階で何を知っているのか、実習に向けて何を知らなければならないのかについて整理してみて下さい。不安のもとの「何か」が見えてくるかもしれません。
2.児童養護施設とは
児童養護施設が目指す【3つの安心】 安心して食事をとることができる 安心して学校に行くことができる 安心して眠ることができる
児童福祉法(S.23.1.1施行) 第41条 児童養護施設は、乳児を除いて、保護者のない児童、虐待されいる児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせてその自立を支援することを目的とする施設とする。
1)乳児を除いて… 乳児の養護問題はどうなるの? 2)保護者のない児童… 保護者のないケースにはどんなものが考えられる? 3)虐待されている児童… 通告するのは誰?どこに? 4)その他環境上養護を要する児童… どんな問題? 5)入所させて… 入所を決定するのはだれ? その後の保護者との関係は? 6)養護を要する児童… どんな生活を送ることになるの? 7)自立を支援… その観点は?
第36条 乳児院は、乳児(保健上その他の理由により特に必要のある場合には、おおむね2歳未満の幼児を含む。)を入院させて、これを養育することを目的とする施設とする。
第43条の5 情緒障害児短期治療施設は、軽度の情緒障害を有する児童を、短期間、入所させ、または保護者の下から通わせて、その情緒障害を治すことを目的とする施設とする。 第44条 児童自立支援施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、又は保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援することを目的とする施設とする。
3.最近話題になっていること 1)虐待による入所の増加 虐待を措置理由に持つ子ども達は、安心感を持って生活するまでには長い時間を要すると言われています。なぜでしょうか。考えてみましょう。
2)心理職の導入とセラピー 児童養護施設の役割は自立に向けた日常生活支援です。そこに虐待を受けたという心に傷を負って入所してくる子どもが増加しています。心理的な診断と見通しを持った治療的な専門的な観点が必要になってきました。 広安愛児園で行われている現状を関連施設の情緒障害児短期治療施設『こどもL.E.C.センター』との連携を含めて説明します。
3)児童の権利擁護 子ども達が抱える様々な背景に対して、専門的に関わる職員にも様々な生い立ちがあります。そこを園の方針という共通の、そして一貫性を持った方向性にのっとって、【児童の自立支援】を継続し、【自立】を目指します。 最近話題になっていることの一つに「児童の権利擁護」があります。子ども一人ひとりの人格を認めるということです。 児童養護の現場に立つとき必要とされるもの、それは【子どもの目線と大人の視点を備える大人であること】だと言えます。
4)児童福祉施設第三者評価事業 一般に苦情解決という名称で理解されていますが、広安愛児園では第三者委員会を立ち上げ【希望・要望・意見箱】を設置し対応しています。日常生活上の様々な意見や要望等を子ども達が投函しています。月2回開封し、全体に周知、検討しています。 大切なことは早い対応。この一点につきるでしょう。
4.児童養護施設を抱える教育機関との連携
児童養護施設を抱える教育機関には、幼稚園、小学校、中学校、高等学校があります。熊本県内に児童養護施設は12か所あり、高校を除いてその所在地の学区内の学校に通いながら一日の大半を過ごします。施設によっては二つの小学校を選択して通学しているところもあり、施設と学校の連携が工夫されています。 ここにいる皆さんとも懇談会などで顔を合わせることも将来的にはあるかもしれませんね。 広安愛児園でも小学校は毎月1回、中学校とは各学期毎に1回懇談会を開催しており、一人の子どもを中心に置き多角的な視点から共通理解を持った上で、それぞれの専門性を生かせることを期待して継続しています。 小学校では情報交換を中心に、中学校では長期的な進路選択に向けてということを考えています。
5.児童養護施設に関連する機関との連携
例えば、地域の公園で何日も同じ服を着て、夕方遅い時間になっても帰っていない、家の近くを通ってみると泣き声が聞こえている。どうも、学校にも幼稚園にも行っていない様子。 学校場面で、ある子どもがアザを作って登校してきました。子どもは「転んだ」といいますが、話を聞いてみると不自然です。 こんな子どもがいるということに気付いたとします。どうしますか?
虐待の事実を確認し、地域あるいは家庭、学校等から知らせることを【虐待の通告】といい『児童の虐待防止等に関する法律 第6条 児童虐待に係る通告』によって規定されています。 また、同法第5条においては、児童虐待の早期発見について、『学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健婦、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のあるものは、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない』とあります。 地域では民生委員、主任児童委員、保健婦等が身近でしょう。機関としては、福祉事務所、地域振興局等があり、状況に応じては警察等が考えられます。様々な検討がなされ、最終的には児童相談所が措置の決定を行います。 児童養護施設の日常場面において直結している機関は、この児童相談所です。この機関との連携を柱としてケースに応じてネットワークを構築していくことになります。
6.医療機関との連携 最近、虐待を背景に入所してくる子ども達の中には心療内科の受診が必要なケースが増えています。診断に投薬を伴う場合医師の指示が必要とされるケースです。 児童養護施設の職員が診断を付けるのではなく、医師の診断をもとに生活支援の中に取り込んでいく。その状況を定期的な通院の中で検討していくといった連携です。今後も増加していく傾向だと言えます。
7.児童・生徒の実態と、接する場合の留意点 これまでの内容で、『児童・生徒に接する場合の留意点』をどのように考えますか。 子ども達は、平日であれば学校で過ごし、帰園後は広い園庭で自由に過ごします。休日は、お小遣いを持って買い物に出かけたり、友達と遊びに出かけたりします。ある人は部活や試合を頑張ります。けんかもあれば職員から怒られている子どももいるでしょう。 児童養護施設は子ども達の家庭に代わる日常生活の場です。他人同士ではありますが、一つの小舎を家庭に見立て、親代わり、きょうだい代わりとなる専門的な視点を持った職員の適正な運営によって一人ひとりが役割を担い、生活に必要な力を付けながら成長していきます。そして、思春期を迎える時期、自分自身と向き合うことを経験する子ども達は反抗であったり、不満であったりを様々な行動で表現します。ときには職員とぶつかりながら理解と納得をし、次の成長での不満を抱え……を繰り返しながら園を離れるときを迎えます。 職員は子どもが巣立った後を心配します。ご飯は食べているだろうか、遅刻はしていないだろうか、経済的には大丈夫だろうか、人に迷惑をかけていないだろうか、電話代は等々。子どもを送り出した親の思いと重なります。 いかがですか。自分の自立と重なっていると思いませんか。その段階毎に親から言われ、反抗し、親元から離れた今、その思いのもとに自分の成長があったことを受け止め始める。この過程で大切に思っていることを子ども達に注いで下さい。 子どもに接するときこれらのことを思い出してみて下さい。成長期毎の『児童・生徒に接する場合の留意点』が自然と見つかると思います。そして、大学で学んだ専門的な知識と経験を、実習現場の中で検証し、実際に求められる現実的な課題をさらに深めてください。
8.質問はありませんか
今日、聞いたことについて質問はありませんか。 「あのとき質問しておけばよかった」あるいは「勉強を深めていったら聞きたいことが出てきた」と、そんなことがあったら、いつでも尋ねて下さい。 そんなやり取りができることを期待したいと思います。 |
|
|
|
|
|
|
 |
|
 |
|
|