教区報「はばたく」に掲載のコラム

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最新メッセージ

2019年6月号

 お酒もタバコも基本的には依存物質であり、病的依存は「依存症」として精神的治療の対象となる。
疾病分類としては「物質関連障害」として位置づけられている。
タバコについては今や有害物質として生活環境の中で禁煙対策を含め、徹底されつつあるが、お酒は運転の際にきびしくなっても禁酒とはならない。

 さてお酒の歴史、ことにワインについては極めて古い歴史がある。
アルメニアには六千年前のワイナリー跡が出土しているということで、ワインの発祥の地はアルメニアを含む南コーカサスといわれている。
アルメニアといえばアララト山そしてノアの箱舟となる。
そこで創世記第九章には「ノアはぶどう酒を飲んで酔い、天幕の中で裸になっていた」とある。
あのノアでさえ酒で態度が豹変したのである。
その他にもワインにかかわるきわどい話が旧約聖書には記されている。
要するに飲酒は適量を守るということが必要だということである。
(小笠原 嘉祐)


2019年5月号

 「令和」という新元号が発表された今日、新年度がスタートした。
町では、入社式の帰りであろうか、着慣れないスーツ姿の若者が、期待と不安の混ざったような表情で歩いている。
そう見受けられるのは、自分自身も新しい生活が始まった同じ境遇だからであろうか。

 転居の準備には断捨離が欠かせない。
家財の一つ一つに思い出を重ねつつ、処分する。
喪失感と言えば大袈裟に聞こえるかもしれないが、実際にうつ病発症の要因には「転居」や「新しい部署への異動」が大きな割合を占める。

 私の場合は、転居までにおよそ二ヶ月の準備期間があったが、災害被災者の場合そうはいかない。

取るものもとりあえず我が家を離れざるを得なくなる。
家族の一員である動物や家畜を置いていかなくてはならない苦しみや、流失や焼失で全てを失った悲しみ、元の生活に戻れない失望感。
被災から時間が経っても癒されない苦しみの中に、今も置き去りにされている人がいる。

 うつむき加減だった私の頭上に、気が付けば満開の桜。
空には雲一つない。
この空が繋がる東北へ思いを馳せる。
友よ、あなたもこの空を見上げていてほしい。
(牛島和美)

2019年4月号

 天国の特別な子ども
重症心身障害児父母の会の機関誌にエドナ・マシミラ作のタイトル名の詩が出ていました。

 「会議が開かれました。地球からはるか遠くで」という書き出しで始まります。

 天国で天使たちが会議を開いて、次に生まれる子どもはどの両親に託そうか、という話合いをしています。

 次に生まれる子どもは、重度の障害を持っているから、だれに託するのがいいだろう。
そうだ、あの二人(両親)なら愛情を持って育ててくれるだろう。
そしてあの二人なら、自分たちにこの子どもが与えられた意味(神の愛)を感じ取り、自分たちに求められている役割に気付き、より信仰を強めてくれるだろう、といったやり取りが続きます。

 この詩を読んで、しばらく考え込みました。
私たちは何か災難にあったとき、苦しいときに祈りを捧げます。
しかしその時、神の助けを祈る前に、その災難、苦しみはなぜ与えられたのだろう、と考えるだろうか。
神は無意味なことはされない、という神の恩寵を考えたとき、祈りの内容は変わるかもしれません。
日ごろの思い悩みを乗り越えた重度障害児の両親に接したとき、天使たちの会議が実を結んだのであろうか、とふと思うことがあります。
(井上明生 遺稿)

2019年3月号

 初期キリスト教が興隆した都市としての典型がローマ第四の都市アンティオキアである。
使徒言行録によれば、弟子たちがはじめてキリスト者(クリスチャン)と呼ばれた。
マタイによる福音書が編纂されたところといわれ、何よりもバルナバ、パウロの伝道活動は有名である。
ところがアンティオキアはローマが誇るような文化都市ではない。
R・スタークという宗教学者がこの都市の有様を再現している。
もともと城塞都市なので拡大できぬ都市構造の中にすし詰めの人間が暮し、公共施設を除けば住居・道路は極端に狭く、いつも窒息しそうに煙がただよい、上下水道等の衛生設備は皆無に近く、想像を絶する不潔さがあった。
交通の要衝ではあるので他民族が対立しながら存在する無秩序と混乱、おまけにしばしば天災に見舞われた。
しかしこのカオス的状況だったからこそ、キリスト教の福音が沁み透っていったといわれる。
今の時代に通じる本質的なチャリティがそこにある。
(小笠原嘉祐)

2019年2月号

 昨年十一月、毎年恒例の東北訪問。
一週間の旅程の中、必ず訪ねる家や場所。
今回も各地で懐かしい人に会えた。

 年々高台に新しい町や道路が出来る地域もあれば、フェンスに閉ざされ荒れるにまかせた住宅が軒を連ねる地域もある。
とにかく前に進んでいこうと笑顔で働く知人がいる一方、長い心の苦しみから体調を崩している友もいる。
物的被害もさることながら、心的被害は他人の目には見えないままくすぶり続けている。

 現地で見たものや感じたことは、やはり折に触れて伝えていきたい。
その思いから、十二月に対馬市内でコンサートを企画した。
報道される機会が少なくなった今、東北への意識は低下しているのが現状だ。
だからこそ、伝えなければ。
それが、東北の今を見てきた自分の使命だという思いがある。

 毎年東北を訪ねるきっかけとなった仮設住宅でのコンサート。
そのエピソード、その時歌った歌、被災者が選曲した理由など話しながらのひと時。
語れば涙も流れてくる。
帰り際、観客の一人が「お母さんのようですね」と声をかけてくれた。
私の東北愛もそこまで来たかと自分でも嬉しくて、また涙。
(牛島和美)

2019年1月号

 本庶佑(ほんじょたすく)先生にノーベル賞
昨年度ノーベル医学生理学賞は京都大学の本庶佑先生に授与されました。
日本人二十六人目、医学生理学賞では五人目です。

 受賞の対象になったガンに対する免疫療法の研究成果は発想の転換から生まれました。
一般にガンの免疫療法と聞けば、多くの人はいかにして免疫力を高めるか、と考えると思うのですが、本庶先生は、免疫力を高めようとしても、それに抵抗する物質があるのでは?と考えました。
つまり車を運転するとき、サイドブレーキを外さずにアクセルを踏んでいる状態、というわけです。

 「押してダメなら引いてみな」という言葉がありますが、世の中、ときに発想の転換が必要なことがあります。

 私たちが常日頃利用する鉄道の自動改札、最初の試作品は、一分間に六十人を通過させたそうですが、混雑回避のためには九十人を通過させる必要がありました。
そこでどうしたか。チケットを挿入したら開くのではなく、間違ったチケットが挿入されたら閉じるようにして目的に達したそうです。

まったく逆の発想です。 このようにして生まれた薬が「オプジーボ」です。
創造主は本庶先生を通して、人類の幸福のためのプログラムを少し明らかにしてくださいました。
(井上明生)

 

荒野の声(本年度)

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