教区報「はばたく」に掲載のコラム

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最新メッセージ

2017年9月号

 ステンドグラスは、様々の建築の装飾として使用されているが、元来教会建築のものである。
歴史的には五世紀頃にさかのぼり、当時は板ガラスが使われていたらしい。
九世紀頃からステンドグラスとして教会に設置された。
英国国教会では、ケント州のカンタベリー大聖堂のものが有名でユネスコ世界遺産となっている。

 ステンドグラスは外部からの透過光によって、より美しいことは言うまでもないが、教会堂が光のあふれる空間となり、荘厳かつ開放された雰囲気が醸し出される。

 さて、八月一日熊本降臨教会の聖壇の上に一枝の百合をあしらった十字架が中心の構図であるステンドグラスが設置された。
このステンドグラスは熊本地震で被害を受け、解体を余儀なくされた菊池黎明教会から譲り受け移設したものである。
降臨教会礼拝堂は、二〇〇五年献堂以来、正面には装飾ガラス板を填め込んでいたが、この移設で会堂の荘厳さを一段と増した。
ことに朝日が射し込んだ時の有様は思わず息を呑む。
なによりも教会の中心に据えて、歴史を引き継ぎ、継続できることを心から感謝したい。

(小笠原 嘉祐)


2017年8月号

 五月末、九州教区東日本大震災被災者支援室のプログラムで東北を訪ねた。

 宮城県南三陸町。新しい道路、新しい住宅街。新設された商店街にも活気がある。
その裏手に、あの日最後まで避難を呼びかけていた防災庁舎が、屋上を商店街と同じくして見下ろす位置に残されていた。
被災地を訪ねる旅行者にとっては学びの一助となる。
しかし、それを見るたびに辛い記憶が甦る住民もいることを覚えたい。

 福島県新地町。原発避難者の割合が多かった仮設住宅も、特別の理由がない住民は三月末に退去を促され、空室が目立つ。
毎週水曜に東北教区が開催している水曜喫茶には、仮設住民に加え新たな生活に入った元住民、地元のボランティアらが集う。
みな笑顔でそのひと時を過ごす。
原発避難者である参加者の一人と話をした。
彼女は笑顔と裏腹に、寂しい寂しいと繰り返す。
潤んだ瞳の奥には、彼女の懐かしいわが家がいつも映っていることだろう。

 人は、心の記憶の中を生きる。

変化する生活に、心が追いつかない時もきっとある。
それでも人は、人と繋がり、ふと笑えた時、少しの潤いを得ると信じたい。
私も共に笑い、共に涙する者でありたい。

(牛島和美)

2017年7月号

 金正男(キムジョンナム)暗殺

本年二月マレーシアの国際空港で、北朝鮮の金正男が、衆人注視の中で暗殺されました。

 しかし北朝鮮は最後まで、殺されたのは「金正男」だと認めなかったため、マレーシアが証明する必要がありました。
どうして証明したか。
DNA検査は一見科学的ですが、金正男の息子と言われている男性との間の親子関係は証明しますが、殺されたのは金正男だという証明には不確実です。
検査の対象になった男性が金正男の息子だという証明がないからです。
決定的な証拠は、日本の捜査当局が保管していた指紋です。
人間の多くの組織、臓器は他人に移植可能ですが、皮膚は移植できません。
すなわち他人のものと交換することはできません。
一卵性双生児、DNAは同じですが指紋は異なる、ということをご存知ですか。
人類七十数億人の指、それぞれの指紋が異なるのです。
創造主は人類一人一人を識別できる組織を、身体の奥深まった場所ではなく、誰もが簡単に見ることのできる体表に用意された、という深いご計画に思いを馳せたいと思います。
(井上明生)

2017年6月号

 出張で上京した折、美術展の宣伝パンフレットが目に留まった。
ブリューゲルの名作「バベルの塔」である。
早速会議の合間に鑑賞することにした。

 パンフレットからは大きい作品に見えたのだが、実際は六十㎝×八十㎝程度の大きくない絵だった。
しかし、実に繊細な描写の作品で、螺旋状に空に向かって煉瓦が積みあげられているローマのコロセウムを思わせる未完の建造物がバベルの塔として描かれている。

 言うまでもなくバベルの塔の物語は、人間の神に対する不遜な態度の表現として建築されたので、神が言葉を混乱させて塔を崩壊させ、さらに世界の果てまで人類を散らせたというストーリーである。

 しかし一方この作品を見ていると不遜といわれようとも、クリエイティブに環境にかかわっていく人間の宿命も感じられる。
狭い絵の空間の中には建築にかかわる人間の姿が蟻のように無数に描かれていることで、それが強調される。
人間は生きている限り、とりあえず挑戦の宿命をもった存在なのであろう。
(小笠原嘉祐)

2017年5月号

 私が初めて東北を訪ねたのは、震災から一年が過ぎた五月だった。

 力仕事には全く自信のない私ができることといえば、歌うこと。

そこで、仮設住宅でのミニコンサートを計画した。

 ところが、コンサートの選曲に戸惑った。
予定された仮設住宅には、津波で自宅を流された気仙沼の住民が多いと聞いたからだ。
私が選んだ曲の中には海にまつわるものもあり、それを聴いて苦しい思いが増すのではないか…私は半ば逃げの一手で、その場でリクエストを募って歌うことにした。

 書き出した曲名は百曲近く。
コンサートを始めると、参加者からは海にまつわる曲のリクエストが大多数を占めた。

 ある参加夫婦に選曲理由をたずねた。
すると「生活の中にいつも海があった。津波で家を流されたけれど、やっぱり海はいい。早く海のそばに帰りたい。」
その夫婦は震災から三年後、懐かしい気仙沼に帰った。

 避難区域の主なき家の庭に咲いていた満開の桜を思い出す。
この文章が掲載される頃は、東北も春爛漫。願わくは、避難解除された町に、故郷の春を愛でる人々の笑顔があらんことを。
(牛島 和美)

2017年4月号

ドラッグ(覚せい剤・麻薬)

 有名人の覚せい剤・麻薬の使用が社会問題になることがあります。
この両者、恐ろしい習慣性がある点では同じですが、麻薬は医療現場で使用されても、覚せい剤は使用されることはまずありません。

 私自身、麻薬は今までに二回使用されています。
一度目は急性虫垂炎から腹膜炎を起こして激烈な痛みに襲われたときです。
モルヒネの注射で、痛みがクックックと取れていくのがわかりました。

 二度目は四年前の脊柱管狭窄症の術後です。
四時間に及ぶ大手術でしたが、翌日には歩いてトイレに行けました。
術後の麻薬のおかげです。

 医学に関するクイズがあります。
探検とか未開の地へ救護班として随行するなら持参する薬品の中で最も大切なものは? 

正解は「モルヒネ、麻薬」です。

 覚せい剤と麻薬の違いは?

 麻薬は天然に存在する物質であるのに対して、覚せい剤は人間が作り出したもの、つまり麻薬は、創造主、神が作られたものですが、覚せい剤は悪魔の作品です。
(井上 明生)

2017年3月号

高齢社会の中での介護福祉事業として積み重ねてきた。
当初は一事業だったのが十四事業になり、二十人足らずの職員が二百人に迫る大所帯となった。
百二十年の歴史の中での五分の一の期間ということになるが、ハンナ・リデルの創設から振り返ると、発展・栄光・苦難・忍耐の時代等色々なプロセスがあって今がある。
これからも一本調子で事業が存続されるわけでもない。
しかし、これまで継続されている上で重要なことはリデル以来の精神の継承であり、その中心に降臨教会がある。
一時は物おきと職員が誤解するほど荒廃していたが、今は主日礼拝も守り、教会に連なる信徒も増えている。
ものごとには時がある。
いい時も悪い時も、発展も停滞も。
さて、今の私の愛読書は、モンテーニュのエセーとイザヤ書である。
(小笠原 嘉祐)

2017年2月号

この欄で、時折皆様のお目に留まる機会が与えられたことを、戸惑いつつも感謝している。

 東日本大震災が縁で、と言うのは大変皮肉ではあるが、それまで出会う機会のなかった場所や人との繋がりが震災を通して与えられた。
今では、親戚に会いに行くような思いで毎年東北を訪ねている。

 あの日、津波で全てが流される様を繰り返しテレビで見ていた。
初めて実際にその場所を訪ねた時、私は当時の恐怖を想像してしばらく車から降りることができなかった。
しかし現地では、傷つきながらも一日一日を歩む人たちがいた。
私は、その踏ん張りと、心の傷の両方を見つめたいと思い、繋がり続けている。

 昨年十一月、東北を訪問している最中に大きな余震に見舞われた。
テレビからは「震災を思い出せ」と叫ぶアナウンサーの声。
その口調も相まって、現地では過呼吸や体の震えなどが現れ、心的外傷がまだ残っていることを自覚した人もいた。

 時は過ぎる。
被災した町の様も変わる。
しかし心の傷は同じ速さで回復はしない。
三月末、一部の仮設住宅では退去期限がやってくる。
人々の心が置き去りにされぬよう願う。
(牛島和美)

2017年1月号

 大隅先生ノーベル賞受賞

ノーベル賞の自然科学部門三賞は、授賞の条件がノーベルの遺言に従って、賞ごとに異なっているのをご存じでしょうか。

 物理学賞は「最も重要な発見または発明をした人に」、化学賞は「最も重要な発見または改良をした人に」、医学・生理学賞は「最も重要な発見をした人に」と書かれています。
つまり、医学・生理学賞の対象はすべて「発見」に限定されています。

 たとえば、大隅先生が発見されたオートファジーは、不要になった細胞のリサイクル機構の発見であり、大隅先生が作られたものではありません。
人類創造のとき、創造主によって用意されました。
昨年の大村先生は寄生虫を完全に駆除できる抗生剤を、よく通うゴルフ場の土壌の中から発見されました。
おそらく太古の昔から、そこに眠っていたものを、たまたま発見されたのでしょう。

 すべてが凡人には成し得ない偉大な功績ですが、これらを用意された創造主の方がもっと偉大です。
私たち人類は、それを一つずつ解き明かしているにすぎません。

(久留米 井上明生)

 

 

荒野の声(本年度)

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