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電子美術館のQ&A

1-2 ドイツで日本美術は日本よりは売れる

二十一世紀国際地方都市美術文化創造育成活性化研究会
2016/11/11
電子美術館のQ&A

――日本では現代アートは二軍扱いされ、

「もうひとつの美術も楽しいよ」的なオマケの存在意義でマスコミをにぎわせているという、コアな話題のつづきです。

 

筆者は美術を作る側の人間で、日本の現代美術作家をドイツで売り込む活動も行っています。最初の頃、こちらから現地の担当者に何度もたずねた疑問がありました。「ドイツでは現代美術の扱いは一般的なのか?」「現代モノばかり送ったら、お客が嫌がる危険はないか?」など。

――回答がなかなか返ってこず、

やがて伝えられたのは、現地で開催されるアート発表展は、全てが現代美術だという話でした。モダンかコンテンポラリーばかり。だから現地のポスターに、「現代美術なのじゃ」と一言入れる必要がありません。ドイツでは新作展は現代美術に決まっていて、二軍でなく一軍になっています。

――日本は違います。

現代美術展と表記するのは大事なマーキングです。現代モノが好きなお客だけ来て、嫌うお客が来ないよう区別する目印として一応必要です。イベントが現代モノかどうかを誤認させて開けてびっくりとなると、当てが外れたお客から叱られる恐れもあるでしょう。日本だと。

――この日欧の違いは、一応は日本国民の美術観が

古風である証明でしょう。国内でよくみる現代美術へのヘイトスピーチも、これと関係はあるでしょう。ルノワールやマイヨールに心酔したエッセイストなどが、文中で現代抽象アートに一発悪口を言うあれです。「僕は長年の美術ファンですが、抽象はわけがわからないから見ません(キリッ)」。

――地方都市や遠い郊外で開く

現代アートフェスティバルが、テレビや新聞でいくら話題になってエールを送られても・・・。現代美術作品が一般化して市民権を得て、人々と日常的に交流できているわけではないのです。一般美術でなく特殊美術として、珍しがられつつも敬遠されている点は、昔と特に変わっていません。

――だから日本の現代美術の雰囲気は、

どちらかといえば同人オタクの集いです。何となく非正規美術。B級グルメとして、マスコミのこぼれネタになっている様相。「B級もそれなりに楽しいぞ」というノリでウケているという。どこまで行っても二軍扱いの、遠い目で見られるのが一般社会との関係です。35歳以下限定の国内イメージは、思ったよりも深刻かも知れません。

――美術市場の話に進めますが、

日本では今も美術作品を所有する人はまれです。絵や彫刻や写真を、日本人は基本的に買いませんね。強いて言えば芸能人の絵画ぐらいで、他人の作品を手元に持つ人はまれです。皆無ではないものの、極端に少ない。買わずに見るつもりで展示会場へ行きます。日本人は主に見るだけ。これ、美術家同士の合い言葉。

――ヨーロッパではまるで違って、

お客は買う目的で美術を見に来ます。ただの見学ではなくて、予算を決めてあって、作風ターゲットもほぼ決めてあるという。現代アート作品を個人所有しコレクションする市民が多く、会場に高校生も買いに来て、実際に価格交渉しました。日本で売れない作品も、向こうでしばしば売れるほどで。しかも身内や知人でない、知らない他人が買う違いは大きい。

――筆者が日本で作品を集めてヨーロッパへ並べた

当初、根本的な勘違いでコケました。いくつもの素人芸や、逆に日本価格ゆえ非売品同然となったせいで、お客の不満の声が返ってきたのです。買えるレンジに入れた品ぞろえへ、改める必要に迫られました。相手が見物ではなく、買いに来ると知ったのです。見るだけで終わる展示だと失敗。

――「ヨーロッパ人は芸術をわかっているから買って、

日本人はわかっていないから買わないのだ」とあっさり結論するのは簡単でしょう。問題はその原因です。美術とあればとりあえず判断保留して静観する日本は、個人の資質が集合した結果ではなく、そもそも国ぐるみ変な導かれ方をされていて、国民が制限されているのではないかと。日本のアートを取り巻く空気が、元から悪い疑いです。ここを伏せるのをやめた方がよいのかも。

――社会教育の悪い成果として、

日本はコンテンポラリーアートの一般化に失敗している珍しい先進国だと、筆者は診断しました。そして、現代美術より格上の一軍美術でさえ、日本では市場が細いわけです。現代アートだけの話ではなく、全ての美術の不振につながっていて。深い絶望と、大きい希望が同時進行しています。そしてまた、伸びしろだらけでもあるし。(つづく)

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