スキー100年目の革命Q&A

03 カービングスキーで誰もが上達する


1 真剣勝負でなくても滑れる点を、おもしろさ半減と言う声はないか?

まだ触ったことのない上級者が「簡単」を批判するのを、何度も聞きました。しかし使ってみれば、誰もが驚き、賞賛します。使った上で、なおも否定した人は全く見ません。ショックを受けてほめちぎる人と、しみじみ感嘆する人がいます。


2 どういうショックを受けて、どう感嘆するのか?

ずいぶん感覚が違う → 何と楽に曲がれるのか → こんなこともできてしまうぞ → もう昔の板に戻れない → 長年の練習は何だったのか → なぜもっと早く発明されなかったの?


3 初めに批判した上級者が、使うと一転して賞賛へ変わったのはなぜか?

自分にとって不利だと思ったものの、滑ってみれば有利だとわかったからです。


4 使う前に、自分に不利だと思ったのはなぜか?

「簡単に滑れるスキー板」と聞いただけでは、ビギナーばかりが恩恵を受けて技量アップするように思えます。スキーに手こずる時期をとっくに脱して君臨していた上級者にしてみれば、まさかとは思いながらも、ビギナーに差を縮められ、追いつかれるような不安感が起きたのです。


5 使った後に、賞賛する側に回ったのはなぜか?

上級者も恩恵を受けて、今から大幅に技量アップすることに気づくからです。すでに基本をマスターした上級者が、単調な横ばい状態だった場合は特にそうで、カービングスキーに替えると驚異的なスキルアップが始まり、強い上昇気流に乗ります。従来ならプロや公式競技選手が使う技術が、レジャースキーヤーにも届く範囲になるからです。


6 旧式スキーのために覚えた昔の技術は、無駄にはならないのか?

無駄も多いのですが、基本技術のかなりの量を、カービングスキーでも使います。例えば足元が滑る違和感などは卒業していますし、倒れない位置に体を保つバランス感覚も、当然大事なキャリアです。カービングスキーを単に労力が減る板として、旧式の延長で滑るだけなら実に簡単で楽チンなので、上級者が使って損をすることはありません。


7 簡単に曲がれることで、使ううちに身体能力が元よりも下がってしまわないか?

暴走や転倒を防ぐ踏ん張りなどは省力化するので、その力は落ちます。代わりに、より楽に、より上手に、より華麗に滑る操作が向上します。全体的に体の動きはマイルドで自然なものになり、闘争心や決死の覚悟で力まなくても、心穏やかにスキーに乗っていられます。もっとも上級者たちは、穏やかに滑るにとどまらず、高速のレール・ターンをどんどん試すはずです。


8 できる技の数は、カービングスキーと旧式スキーのどちらが多いのか?

カービングスキーへの支持が始まった理由のひとつに、旧式でできたことが全部できてしまうオールラウンド性があります。しかも、前代未聞の大技が加わっています。それが「オン・ザ・レール・ターン」で、体を倒し込んで雪に両手が届くほど体をバンクできます。雪上に肩が触れるまで倒れて滑るプロが何人かいますが、寝ながら滑るスキーは史上初めてでしょう。


9 カービングターンやらレールターンは、何がそんなにいいのか?

バンク角の大きさとなめらかさが、空飛ぶ感覚をもたらします。過去の天才スキーヤーが特訓の末に達成した神ワザでも、中級スキーヤーが自然体で板に乗せられてできます。その結果、「スキーヤーの絵」も変わりました。隠し芸でスキーの生態模写を演じれば、従来のスキーヤーは中腰で立ちます。ところがカービングスキーでは、野球の滑り込みに似た姿勢で倒れて滑ります。スキーとはこういうもの、という絵まで変わりました。


10 カービングスキーにも、何かひとつぐらい苦手なことがないのか?

直滑降が苦手です。ターンしやすくする目的でサイドカットを顕著に設けた結果、旧式のずんどうスキーのように真っ直ぐ滑ろうとしても、つい曲がり始めてしまいます。高速の直滑降は困難です。その昔、映画『女王陛下の007』で、ジェームズ・ボンドのスタントマンが壮絶なスキーチェイスを演じましたが、ボンドだけがカービングスキーだったなら、すぐにブロフェルドの手下に追いつかれたでしょう。


11 一方の初級者だが、カービングスキーをベテラン向けとして敬遠しないか?

初級者の半分はそういう反応です。この思考のルーツは、明治時代の大工だと思います。親方が優れた大工道具を使い、奉公の駆け出しは劣った道具を使う・・・。駆け出しの者に最高の道具を使わせない理由は、不慣れで壊しても損害を小さくする経済性が根拠です。「もったいない」説の裏には金銭が隠れています。しかし、スキー板が折れるなどはまれなので、無駄な心配です。


12 ぜいたくの意味ではなく、自分には使いこなせない意味の人もいるが?

それは道理に反します。「使いこなせない」意味が上達しないことならば、旧式のずんどうスキーと初級者の関係こそが、それでした。「難しいスキーさえロクに使いこなせないのに、簡単なスキーはなおさら無理」という風変わりな論法を唱える人も、一度試せばきっと目が覚めます。使いこなせそうな感触を得れば、スキー哲学も組み直しになるでしょう。


13 「ダメなのは道具ではなく腕」と、自分に厳しい初級者は頼もしくないか?

ダメな道具を厳しくチェックする目こそが、頼もしいのです。スキーライフを確立しようと思っている初級者は、うっかり旧式スキーを続ければ、スキー生命を絶たれる可能性が高まります。今スキー界は「ダメなのは板だった」と知って、カービングスキーへ引っ越しの最中です。この革命は一時的、局地的ではなく、世界的規模で起きています。長年腕が上がっていない人が、腕のせいにしている場合ではありません。


14 簡単な道具を使ってうまくなっても、本当にうまいといえるのか?

逆もいえます。難しい道具を使ってへたになっても、本当にへただといえるのか・・・。実はもっと上なのに、道具でつぶされている人もいるでしょう。カービングスキーに巡り会えずに、「スキーがダメな人」に終わって消えた幾多の面々は、単純に道具運が悪かったという見方もできます。まだスキー熱の火が完全に消えていない読者は、運が良かったのです。


15 ボーゲンの初級者が板を替えるだけで、華麗な上級者に化けるのか?

ボーゲンがへたな初級者が、ボーゲンがうまい初級者に化けます。その程度でも周囲はけっこう驚くし、自分もうれしい驚きです。低迷を破って、納得できる成果を得れば意欲が高まるので、上へ向かう軌道に乗ります。気持ちの高まりは、決定的に将来を約束しますから。


16 カービングスキーのような用具の革命は、他のスポーツにもないのか?

1980年頃に起きた、テニスのデカラケが思い出されます。テニスラケットのフレーム径を異様に大きくし、ガットを張る面積をただ大幅に拡大しただけで、ボールがフレームに当たって詰まる打ち損じが減り、レシーブが平易になりました。ただしミスショットが減って返球率が増えても、超人的な技は増えません。その点カービングスキーは平易なだけでなく、素人にも驚くべき派手なパフォーマンスを可能にしています。


17 アイススケート界のスラップスケート靴とは、意味が似ているのか?

誰が恩恵を受けるか、その範囲が違います。1990年代半ばに急に普及したスラップスケート靴は、ブレードがかかとに固定されず、離れて動きます。スピードスケートのタイムレース専用なので、フィギュア系の靴で遊ぶ街のスケート場には関係がありません。レンタル靴の総入れ替えもありません。一方カービングスキーは、エキスパートから入門者まで、オリンピックから日帰りレジャーまで、全ての人に平易さと技の拡大をもたらせています。レンタルスキーの入れ替えも始まっています。


18 そんな魔法のスキー板が21世紀の直前に生まれたのは、何を意味するのか?

従来のスキー板が目的から外れていた事実、それが長く発覚しなかった事実の2つの悲劇が、やっとピリオドを打ったことを意味します。新しいカービングスキーは、物理的には板の各寸法を変更した改良にすぎないものの、効果の大きさは改良の範囲を超えています。19世紀から100年以上続いた旧式スキーにプラスアルファしたというより、否定して葬り去ったのです。


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