スキー100年目の革命Q&A

15 内スキーの処理のミステリー


1 2本のスキー板が交差して転ぶ、あの問題がまだ残っているが?

7日目あたりの初級者が、入門当初のあわただしい状態から落ち着いて冷静になるにつれ、「内スキーの処理」の難しさに気づき悩み始めます。これは、外スキーはうまく回っていくのに、なぜか内スキーが同調せずに直進し続け、左右スキーの前部がガッチンコする現象です。「内スキーをどうすれば、パラレルターンになるか」という謎は、初級者の質問で常に3本の指に入る多さでした。


2 内スキーは、谷回りとはどういう関係なのか?

@パラレルの壁の高さ、A谷回りに入る難しさ、B内スキー処理の謎、この3つは同じ現象です。


3 旧式時代の内スキー処理のカラクリを、ここでスッキリ解明して欲しいが?

上級者は内スキーを持ち上げてターンした、それだけのことです。旧式スキーの常識では、体重をかけるのは外スキー一本で、内スキーを雪に作用させません。何をするかといえば、内スキーは浮かせ気味に、吊り下げるようにして運びます。完全には持ち上げずに雪に触れた状態で、荷重割合を外足9、内足1にしました。


4 たったそれだけのことが、なぜ初級者に解けない謎だったのか?

まずビギナーは、まさか板を持ち上げているとは思いません。そう思わない理由は、自分が片足を持ち上げるのが非常に難しかったからです。自転車で補助輪をつけて練習し始めた子どもには、片手運転が永遠にできない気がするのと似ています。それでも初級段階になれば、片足を持ち上げることができるようになります。


5 しかし指導者たちは、「板を持ち上げるな」と口をそろえて注意したが?

程度の問題で、指導者たちもターンのたびに板を持ち上げました。「内スキーは何もしなくても自然についてくる」と言いながら、外スキーを突っ張った脚力で、巧妙に内スキーを浮かせていたのです。この言行不一致がまた、初級者を悩ませました。ただ公式指導書『日本スキー教程』には、この事実に正しく触れたくだりがあり、矛盾は現場指導者の裁量で起きていたことがわかります。「少し持ち上げる」が正解なのに、「持ち上げるな」と言う奇妙な指導が続きました。


6 昔はなぜ、外足荷重が絶対条件だったのか?

スキー板の形状がずんどうだったからです。板が自分から曲がろうとしないので、両足に体重をかけると各板がどこへ向かうか予測不能でした。外スキーに集中して体重をあずけ、舵取り機能を一本化してまかせる以外になかったのです。あるテレビ科学番組は、計測器をつけた実験で「外足荷重なら、うまく回れる」と結論しましたが、その裏には「内足荷重だと転ぶ」という困った真実が隠れており、内足に体重を分散させた初心者の転倒シーンも流しました。


7 左右の板が交差して転倒するのは、中級者でも時々起きていたが?

旧式スキーだと、上級者も時には板同士踏んでしまい、高速で動作がクイックなだけに、あっという間に転倒しました。それを防ぐ「交差止め」と呼ぶ、こぶし大のプラスチック器具を、前部に取り付けた板を見た人もいるはずです。カービングスキーは、往年の交差止め製品を消滅させました。


8 逆にカービングスキーでは、片足荷重をやってはまずいのか?

全くかまいません。片足でも両足でも自由自在に曲がれます。振り返りますが、旧式スキーで必須の外足荷重は、両足荷重だと回ることがまず不可能だから、仕方なしに内スキーを持ち上げたのです。カービングスキーでその制約からついに解放され、自然体の両足荷重が基本となりました。


9 カービングスキーでも、両足が同調しない人が多いようだが?

柔らかい雪で高速で体を倒すと、外スキーが過剰に回ってハの字ぎみになります。一方、スキー学校の教師が集まって練習しているのを見ると、先開きの逆ハの字で外スキーだけで回る「なんちゃってカービングターン」が目立ちます。これは旧式スキーのコツの名残で、習熟したベテランはカービングターン移行時にこの構えが出やすくなります。しばらくは、内スキーを持ち上げるクセも残るでしょう。


10 広いスタンスでひざだけが近づいて、X脚になるケースもあるが?

X脚の一因はスピード不足です。低速だと体の傾きが中途半場で安定しないので、内足が転倒防止のつっかい棒として立ったままになるわけです。スピード不足のまま内スキーを同調させるには、内ひざを意図的に内倒させて、外ひざに近づけない必要があります。


11 回転内側に足を傾けるのは、外足はできても内足は難しいが?

外足と内足の同時内傾は見た目どおり難しく、日常生活にない立ち方なので、各自で姿勢を新たにこしらえる必要があります。カービングスキーで両足荷重は容易でも、「こんな感じか」という内足角度の発見には少し時間がかかります。初挑戦では無理で、緩めの斜面で両足の同調加減を繰り返し実験します。


12 内足の角度を維持するコツが、どうもわかりにくいが?

例えば右ターン(時計回り)の時、左足は軽く曲げて親指側で突っ張り、右板も小指側を雪に押しつけています。この時、右方面を指し示すかのように右ひざを十分引き離します。右スキー(つまり内スキー)で体を引っ張るぐらい、強調して雪に作用させてテスト滑走します。


13 内足を内倒しすぎて、内スキーの小指側が利いて股さき状態にならないか?

旧式スキーでは、両方の外エッジ、つまり両小指側に乗ると、股が開き続けて「あれあれ」と焦りながらコケました。ところがカービングスキーだと、両足が広がりかけたとたんに、両方の内エッジが利いて自動復帰します。


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