スキー100年目の革命Q&A

25 笑顔で迎える小回りの壁


1 小回りの壁とは何か?

昔ウェーデルン、今ショートターンと呼ぶ連続小回りは、単に板を小さく回すだけですが、これが難しいのです。パラレルの壁を越え、晴れて中級に上がったスキーヤーが、中斜面をできたてのパラレルで滑るとスピードが出すぎて暴走ぎみ。皆で笑いながらガンガン飛ばすうち、スピードを殺す必要を悟るのです。小回りするには、板が自然に回るのを待たずに、自分から回します。この時誰もが、板が素早く回せずテンポが上げられないことを知り、急斜面で板を回し込む上級者が前にも増して偉大に見えます。


2 せっかくパラレルができたのに、小回りの壁で今度こそ挫折なのか?

パラレルの壁の後に挫折はありません。後に来るいくつかの壁は、意気消沈の壁ではなく、やる気がわく壁です。例えば自転車の場合でも、乗れた後すぐは、立ちこぎ、両手離し、足をペダルに置いての静止など、できないことがたくさんあります。だからといって自転車を放棄しません。同様にパラレルの壁を越えた人は安全圏に入っており、スキーを生涯続けるのです。


3 パラレルを完成させてから、次にショートターンに進む順序でいいのか?

パラレルを完成させるために、ショートターンを早くから試す方がむしろ近道になりました。パラレルの弧をだんだん小さくしていく順路ではなく、ハの字のまま小回りを行います。ハの字で体重を左右にピンポンするように、右スキーで強く押して左スキーで受け止め、左を強く押して右で受け止め・・・を続けます。1日当たり、1分間試すといいでしょう。


4 ハの字ショートターンで、一番の注意点は何か?

最初はさっぱりできないので、やめずに続けることです。ピンポンのラリーどころか、1、2回押せばよろけて途切れます。ハの字が90度ぐらい開いてしまったりして、極度に下手になった気もします。ところが板がバタバタ暴れ、わけがわからなかったのが、しだいに右足、左足と受け止めるニュアンスが、足裏感覚で見えてきます。力の加減がわかってくるのです。


5 パラレルができている人でも、なぜ小回りが簡単にできないのか?

三次元的な体の使い方が、スキーだけの動きだからです。普通のパラレルターンでは、板の上に乗って体ごと移動しますが、ショートターンでは体は真下に進み、板が体の左右を移動します。これは板に乗り続けて運ばれていくパラレルとは、動作も感覚も多少違っています。


6 バッ、バッ、バッとあんなに素早く回し込むのは、真似ても無理だが?

板の長さを利用します。中級ホヤホヤが雪上で飛び上がっても、板は重くて持ち上がりません。歩行時の脚力ジャンプではなく、板のたわみで体をハネ上げます。板の先端30センチを雪に切り込ませて引っかけると、板が走るのをやめて軽くつんのめり、グンとたわみます。次の瞬間に、板バネで腰から下をはじくようにミラー反転させ、谷回りにつなげます。


7 簡単にできないのはなぜか?

板の先端30センチを切り込ませるには、適度に長さのある板を使った上で、前傾、適正重心、エッジングのタイミングなど、パラレルターンをさらに洗練した総合力が必要です。いわゆる「呼吸」というヤツです。1ターンごとに「足場」をつくって、一瞬ごとに両足を落ち着かせる必要があります。


8 板がカービングスキーに変われば、ショートターンにも有利なのか?

これまた断然有利です。カービングスキーはトップ部の張り出しが幅広いので、先端30センチを雪に切り込ませるのが簡単になり、軽い脚力で自分をはね上げることができます。初級者でもカービングスキーを使うと、見るからに小さく小刻みに回れていることから、以前の小回りの難易度はずんどうの旧式スキーが原因だったとわかります。