スキー100年目の革命Q&A

26 カービングターンは本当に簡単か


1 カービングターンは、従来のターンと何が違うのか?

板をずらさず、雪を切って進むターンです。平行に置いた両板のエッジをパチンと雪にはめて、切り込ませた状態で回っていきます。ブレーキとなるずらし操作がなくてスピードが出るので、最初は一番ゆるい斜面で試します。ポイントは肩幅スタンスの両足荷重で、内スキーを浮かせたり振らないようにし、雪に両方の板が常に接したままゆるく曲がっていきます。


2 カービングスキーが登場した時に、カービングターンも生まれたのか?

カービングターンのような滑り方はずいぶん前からあって、競技の中でも起源の古い滑降(ダウンヒル)では、コース全部を高速のカービング大回りで疾走します。では「カービングターン」という語ですが、これもカービングスキー誕生より前からあり、旧式のずんどうスキーしかなかった80年代のスキーカタログにもちゃんと書かれています。


3 旧式スキーでは上級者にも難しくて、雲の上の技術だったそうだが?

200センチの旧式スキーでやるカービングターンは、実は人工的なアイスバーンと高速という2条件が必要で、通常のゲレンデでは細すぎる板が雪に埋もれて引っかかり、あっさり転倒して使えません。だから旧式スキーでのカービングターンは、競技コース限定、ということは選手やプロが使う世界でした。ところがカービングスキーを使えば、日曜レジャースキーヤーの手に届きます。雪が厚くてボソボソ荒れた斜面でさえ、スイスイとカービングターンで行けるようになりました。


4 カービングスキーに乗り替えたら、直ちにカービングターンができるのか?

パラレル技術の一種なので、ボーゲン段階の初級者には無理です。ただしパラレルができた時点で、すでにカービングターンになっている中級ホヤホヤも実際に見ました。ところが一方、昔ながらのベテランは長年の外足荷重の習慣が災いし、手こずるシーンを見ます。スクール教官たちも、内スキーで雪をなでながら先開きの逆ハの字で試行錯誤中です。しかし内スキーで切り込むのに慣れるのは時間の問題で、カービングターンはパラレルスキーヤーのごく基本的な技術になっていくでしょう。


5 内スキーに、何割の荷重を分ければいいのか?

3割を標準として、2割から5割の範囲でいいと思います。両足荷重といっても常に5割ずつだと、自然な感じにはなりません。外スキーに荷重の7割ぐらいをあずければ省力となり、体全体にしっくりきます。まずは肩幅スタンスで内スキーの外エッジ、つまり小指側も雪に切り込ませます。最初は意識的に、内スキーを牽引役に使います。


6 もし内スキーに体重を半分以上かけると、何が起きるのか?

そういう瞬間はひんぱんに起きます。内スキーに多く加重すると、体の内傾をより強くして釣り合わせるので、スキー板を引き回すようにターンがより切れ上がります。しかしそればかり続けていると、ひざが不自然に疲労して踏ん張りがきかなくなり、もしかすると関節に無理があるのかも知れません。


7 外スキーが早く回り込んで、内スキーにぶつかる問題がここでも起きるが?

左右スキー板の前後差を利用します。ターン中に、外スキーよりも内スキーが前に出た状態を「前後差」と呼びますが、これをおおげさに行えば内スキーを平行に保ちやすくなります。内スキーを30センチほども前方に出し、わざと雪に押しつけてやるのです。すると内スキーのトップ部の荷重が減り、テール部が雪に作用して全体にグリップが甘くなるので、外スキーに同調しやすくなります。


8 前後差があると外向外傾になるという理由で、新しい指導に反するが?

前後差は人の体の構造上、なくせません。オリンピック選手はもとより、前後差否定論者の滑りにも板の前後差はあります。フィギュアスケートも、ターンでいちいち前後差を反転させます。過剰な前後差を試すことで、カービングターン移行中の国体級のベテランが、つい浮かせて置き直す内スキー処理のクセがとれていく効果が確認できました。


9 おおげさな前後差は、そのまま悪いクセとして残らないか?

習熟につれ前後差が減り、体が正対するよう変化します。競技トレーニングを通してわかったことですが、いったん思い切って前後差をつければ、対比的に前後差の小さいスタンスもわかりやすくなるようです。一度カービングターンの内足の下地をつくってしまえば、「外向外傾」「正対」「内向内傾」の3パターンの区別が理解しやすくなります。


10 カービングターンでも、やっぱり内スキーを持ち上げて、踏み換えをやってしまいやすいが?

特に我流だと、板のエッジを切り替える時に、「進行方向」までが変わる「ガク折れ」のクセがつく場合があります。カービング山回りから谷回りへの切り替えは、雪に接したエッジの「切り替え」のみ行います。板の「進行方向」は変えません。切り替えて待つだけ。スピンを加えずに、両方の板をコロンとローリングして前に進むだけです。


11 切り替えたと同時に、何となく板の向きごと曲げてやる意識が出てしまうが?

曲げない意識を出します。エッジを切り替えて、体は前に抜け出ます。すぐには曲がらずに、前に出ます。


12 そこのニュアンスがわかりにくいのだが?

山回りから谷回りへのターニングポイントでやる動作は、エッジを切り替えるだけです。人はただ、そのまま前進します。パタンと体を左右反転させ、しかし反転と同時には曲がりません。曲がり始めるのは少し後です。自動車や自転車の車体の動きに似ており、戦車のようにその場で回ったら失敗です。エッジを切り替えて前進。そのまま前に出ます。


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