スキー100年目の革命Q&A

42 カービングスキーは当初は長細かった


1 だったら、初期のカービングスキーは、どれぐらい長かったのか?

例えば97−98シーズンの各社のカタログを見れば、カービングスキーなのに192や188センチはざらで、177なら思い切った短さ、170だとハンズフリー(手ぶら)で異次元体験ができる、特別なショートモデルの位置づけだと書いてあります。


2 何と、わずか3年前に、170センチは長い方ではなく短い方だったのか?

3年後の今では、170はレジャー用の最長側に位置づけられ、160が標準、150が短めです。180センチの大台に乗った製品はレジャーシーンではまず売れず、公式大回転レース用と、一部オフピステ用や冒険スキーが出ています。


3 カービングスキーの7年の浅い歴史で、板はどう変化したのか?

1993年から2000年までの間に、前と後の幅はより広くなっています(前96→108ミリ)。中央も少し幅広になっています(62→65ミリ)。サイドカット半径は、より小さくなっています(25→15メートル)。長さは、より短くなっています(190→170センチ)。硬さは、より軟らかくなっています。(数字は標準的な製品によく見る寸法)。


4 「この長さを使うべし」と推奨される長さも、年々短くなっているらしいが?

旧式スキーの200センチを使った上級者は、カービングスキーなら何センチがいいか、推奨長さは97年には190センチ、98年に185、99年に180、2000年に170と、徐々に短くなっています。


5 短い方がよく売れるから、どんどん短く作られているのか?

売れているのは実は長めの方で、つまり板の短縮はメーカー主導です。私の周囲でも、競技系先進ユーザーは皆180センチ前後の長めのカービングを買って、ずんどうスキーばかりのゲレンデに持ち込みました。雪国のベテランたちも、旧式に近い長め細めに目がいきます。売れて支持とみなすなら、長いカービングスキーの時代がもっと長く続くはずです。なのに頼みもしないのに、あれよあれよという間に短くなったのは、メーカーが率先して変化を仕掛けているからです。


6 メーカーが客の要望を追い越してまで、急いで短い板に替えたのはなぜか?

実験的意味合いとして、どこまで短くできるか、メーカーも知りたいのでしょう。またスキー人口が激減する最中だったので、スキーが生まれ変わった表明として、衝撃的な製品で目を引こうとも考えたでしょう。材料資源、工場施設の節減や流通効率にも着目したでしょう。


7 150〜170センチの下限の150より短くなれば、何が起きるのか?

成人男性の体格でスキーが実用的に機能するには、140センチが最短だと感じます。長さが一種類だけの製品によくある140センチは、パラレルで気持ちよく滑るにはやや安定が足りません。フルに対するハーフ、あるいはセカンドを感じます。その中途半端さに慣れたとしても、長い板を操るセンスは多少衰えます。140センチを何日も続けると、160センチの振り回しがへたになります。


8 プロスキーヤーは140センチを評価しているのか?

雑誌のテストでは140センチは評価が低く、イマイチのコメントが目につきます。デモンストレーターの職業柄、きれいに安定して滑れる板が好まれるので、概して160センチ以上が評価されます。中上級用の140センチでも、パタパタと粗雑な操作になりがちで、上手そうに見せにくい面があります。私が初めてゲレンデで試した日には、惨めな滑りしかできず、念のため持参していた170クラスにすぐ戻し、何日かは乗る気も起きず、それきり持って行くのもやめました。


9 どういう惨めな滑りになったのか?

板を踏んでも外へ逃げ、少し深く体を倒すと、ずれ始めて力が返らなくなり、内側によろけます。十分グリップできる接雪長がないので、ポールを回ってもジリジリずれて大回りにふくらみます。カービング小回りも、反発が鈍くて意外に緩慢でした。直前が173センチのがっちり型だったので、140センチでしかもトーションが弱めの仕様は、いっそう頼りなく感じたのです。


10 メーカー側も、140センチをスキーの最短だと考えているのか?

長さ140センチ一種類ぽっきりのモデルが、OEM製品も含めて数社にあるのは、スキーとして機能する下限のおもしろさがあるからでしょう。140センチは170センチに比べれば実にスケートっぽく、逆に120センチに比べれば実にスキーらしいと感じました。


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