スキー100年目の革命Q&A

47 カービングスキーとスノーボード、どちらが簡単か


1 ならば話を広げて、両足を固定するスノーボードの場合はどうなるのか?

スノーボードは、スキーよりさらに強く足を拘束します。ボード初心者は、よろけて足を踏み出すと、両足とも固定なのでダルマのように転びます。この特異な両足拘束のため取っ付きが悪く、とりあえず斜面を降りてふもとに着くだけでも、スキーより習得時間がかかり、転ぶ回数もはるかに増えます。


2 より不自由に足を拘束すれば難しいのはわかるが、ボードはそんなに難しくないのでは?

実はボードの難しさも、あくまでも最初の取っ付きの話です。その後の上達は、足を強く拘束するスポーツほど順調です。3つのうち最も違和感の大きい両足拘束のボードでは、初日の4時間はホトホト参っても、やがて拘束を味方につける要領を覚えれば簡単になり、体を左右に乗り出してターンします。


3 スノーボードはスキーより簡単なのか?

最初に取っ付きが悪いだけで、以降ボードがスキーより難しくなる場面は考えられません。ボード特有の「逆エッジ転倒」も、スキーの「板踏み転倒」を超える難しさではありません。ボードが簡単な理由は大きく3つあり、板が1枚しかない点、板に両足を固定する点、板の面積が大きい点です。


4 板が2枚あるよりも、1枚のやじろべえ状態の方が立ちにくいのに、なぜ簡単なのか?

「右エッジで立つと、右に曲がる」のがスノーボードの原理です。スキーでは「左スキーの右エッジと、右スキーの右エッジで立つと、右に曲がる」と、説明文からして長くなります。そして、2本の板の横間隔、前後間隔、向き、体重の配分がテクニックになります。そのため、滑り始めて5〜32日の初級期間は、スキーが10倍も難しいでしょう。楽器でいえばオルガンではなく、ピアノに相当する複雑系です。


5 その難易度は、カービングスキーで改善した後はどう変わったのか?

10倍はカービングスキーの場合で、旧式スキーなら100倍も難しいでしょう。


6 そんなに難しいのでは、誰だってスキーがイヤになるのでは?

その通りで、この段階にさしかかったスキーヤーは、必ず一度はやめたくなります。現に、スキーをやめたり転向した人は、ほとんどが5〜32日の初級期間、言い換えればパラレルの壁の手前、つまりボーゲンかシュテムスキーヤーなのです。


7 2つめだが、両足固定で自由に動けないスノーボードの方が、なぜ難易度が低いのか?

ボードは両足の関係も固定され、その状態では歩けません。一見不自由ですが、スキーのようにスタンスに気を回すことなく、生まれて初めて滑る時に、自動的にオリンピック選手と同じスタンスを取ります。ポジションができあがった半完成品としてゲレンデに立つので、スキーに比べるとやることが大幅に減っています。


8 下半身が完成しているだけで、なぜ2倍ではなく10倍も簡単なのか?

ゲレンデスポーツは、手ではなく、足を中心に行います。その足の置き場所が最初から完成していれば、上半身も自ずと決められて、本人が決める要素は小さい範囲となり、ミスする余地も限られます。一方スキーでは、姿勢を拘束する要素は前傾に作られた靴と、靴が板へ固定されているだけです。個人差や力量が外見に顕著に出るにとどまらず、でたらめな姿勢がいくらでもとれるので、失敗する余地も大きく広がっています。


9 3つめの点だが、板の面積が大きいと、なぜ簡単なのか?

雪の荒れに板を取られず、やすやすと乗り越えてくれるからです。最新のカービングスキーの設計が、トップ幅とテール幅だけでなく、センター幅さえもが広げられ、かつてないほど板全体が幅広に作られるのは、スノーボードが深雪や悪雪に強い点に学んでいます。


10 その3点の違いで、同じソリなのに全く異なるわけか?

例えるなら、スキーは「はきもの」で、ボードは「のりもの」です。「スキーをはく」という言い方も聞きます。最近のワイドぎみに作られたカービングスキーでさえ、スノーボーダーが試すと、小型ボートからカヌーに乗り替えたような心細さを感じます。もっともスキー板は、あまり幅広くない方が軽快に動ける面もあります。例えばモーグル用の高級板は、いまだにトップ幅が90ミリ弱の非常に細いもので、これでポンポンと派手に飛び回れるのですが。


11 ボードの女性がキャーキャー悲鳴を上げるのを見ると、やはり恐さはスキー並みでは?

それは足元が滑る「異常事態」に敏感な少数例で、ボードの特性とは無関係です。そもそも、ボードを20日続けた人が、暴走転倒に根を上げて「恐すぎる、自分には一生無理だ」と宣言し、放棄してボード批判に回ったケースなど聞きません。旧式スキーでは、それが大勢の国民に起きたのです。製造されない今では旧式スキー批判も無意味ですが、実はカービングスキーでも、自在に曲がるにはボードの5割増しはリフト回数をかせぐ必要があり、歩き回れる機動力でそこはうまく補われています。


12 部分的にでも、スキーよりスノーボードの方が難しい場面はないのか?

ボードは他の多くのスポーツと同様、左右が非対称なので、右ターンと左ターンの方法が異なり、背中側に倒す時に不安になります。それ以外は、スキーのボーゲンに当たる期間もないし、首をかしげて悩む難しさが少ないといえるでしょう。ただ難易度の評価は、多分に個人の印象と言い方なので、一般論以外にも色々聞きます。「スキーって思ったより簡単、すぐ滑れるね」「スノーボードは途中から難しくなって、かなり行ったのにへたです」など、私の見解と異なる意見も耳にします。


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