スキー100年目の革命Q&A

50 コブ斜面のコツは、実は2つ


1 一番基本的な滑り方はどうやるのか?

1ターンだけお試しするなら、コブの頂上を通らずに、まず左右どちらかに外した肩を越えます。例えば右へ谷回り(時計回り)する時、一番高い頂上よりも左肩のあたりを通ってみます。コブの肩を越える時に、靴を中心にして板を右にクルリと回し、右向こうに回り込んで、斜度50度の裏側を削るように横滑りでズリ落ちます。コブの凸部に乗った時に、板のセンターを中心に自由に回せることが体験できます。


2 どうコース取りすればいいのか?

連続ターンはこのシミュレーションとは違って、コブの成り立ちをトレースするのが一般的です。つまり溝を行きます。溝を行く時のビヨンビヨンが、コブの醍醐味です。ただし、溝の一番深いところを水が流れるように通るのではなく、パチンコ玉が釘にまとわりつくように、あっちへドン、こっちへドンというジグザグコースを取ります。


3 溝を行くとスピードが出過ぎるし、ドスンと落ちた衝撃で乱れ、後が続かないが?

先述の2つのコツを守り通します。コブの出っ張りで両足を縮め、越えた時に両足を伸ばします。スピードも衝撃も、2つのコツでおさえます。とはいえ、コブの頭で両足を縮める方は、知っていてやっている人も多いでしょう。しかしそれでは、半分だけ合格です。もう半分のポイントは、次に来る深く掘れた部分で両足を伸ばすことです。大きくビヨーンと伸ばします。


4 連続して滑れない人は、その伸び縮みが不十分なのか?

縮むだけで、伸ばしていません。コブの山で両足を縮めるのに成功しても、山を越えてくぼんだ底に落ちる時にも、体を何となく縮めたままで、衝撃を吸収しきれないのです。しゃがむ方だけでなく、伸ばす方も同じだけおおげさにやります。できるだけおおげさに。


5 もう一度、順を追って説明すればどうなるのか?

まず、コブの受け皿状の、ゆるいところでズザッと横滑りターンを入れます。両足キックを入れる感じです。次の瞬間両足を引っ込めながら、向こうへ回り込みます。


6 その時点ですでにスピードが殺せず、身投げ状態なのだが?

ヤーッと勢いよく両足を引っ込めてしゃがみ、ヒョイと飛び越えては、空を飛ぶだけでブレーキがかかりません。そうではなく、コブに押し上げられ両足が縮みながらも、それを押し返しながら横滑りでブレーキをかけます。コブから板が離れないように、いつも雪を押さえつけることで、スローモーションのように減速できます。これまた、タイミングを合わせるだけでも数日は要します。


7 次の瞬間、階段部分にドンと落ち、ああ暴走だと観念するのが、後半の問題だったが?

単純に飛び降りるのではなく、縮んでいる両足を強く一気に伸ばします。両足をぐーんと伸ばして、板を早く届かせようとします。ドンではなくヒラリと着地します。上級者の中には、わざとドンドン音を立てて降りる人もいますが、基本はヒラリです。


8 底に板が届いた、すると次に何をするのか?

ブレーキとショック吸収です。ぐいと両足で押して一瞬ブレーキをかける感じで、次にすぐに両足を縮めてショックをやわらげながら、コブの受けているところでズザッと横滑りし、続けていきます。


9 そのコブの受けた部分に、軟らかい雪がたまっていて、板が刺さって外れやすいが?

両足を底へ伸ばして早めに雪へのコンタクトを回復していれば、板がたわんだ状態で雪だまりをうまく抜けます。両足の伸縮がまずくて、体がポンポン跳ね上げられた場合は、雪だまりに落ちた時に運悪く板が逆たわみ状態で、ブスッと突き刺さることがあります。これは上級者でもたまに起きます。


10 全体を通して、コツはその2つだけか?

2つのコツの目的は実はたった1つで、頭の位置を上下させないことです。両足を伸ばすコツと、縮めるコツの2つが同じだけ大事で、両方でコツ全体の90パーセントを占めます。


11 残りの10パーセントは何か?

足をぐーんと伸ばして着地する場所が、具体的にどこかという点です。深く掘れた底の、一番奥深い場所に飛び降りては、減速に当てるコンマ何秒かがとれず、単にポンポン跳ねながら落ち続けて、誰がやってもオーバースピードになります。


12 なるほど、底からはずして着地するのか?

コブの山を過ぎたら瞬時にサッと足を伸ばして、板が空中に浮く時間を限りなくゼロにします。コブの底よりかなり手前の部分から板をこすりつけ始め、そこから一番深い場所までの1メートル前後にズズーッと横滑りを入れて減速します。板が空中に浮いたら、すかさず大きく全身を伸ばす感じで、板を早く雪に触れさせます。板を横滑りぎみにこする、この1メートルの確保がヒラリと落ちるコツです。


13 それ以前に、コブの山を過ぎると板の先が上空を向いて、尻餅をつくが?

「コブの向こうは絶壁ではなく連続したうねり」という構造的知識がここに応用されます。波状の雪面全体が傾いた坂なので、「コブの山頂」は見下ろして見えるピークよりも、実は少し向こうにあります。そこで、見かけのピークから「コブの山頂」までの瞬間に、縮んだ足のまま心持ち体を前へ押しやり、しかも板の先を下へ向けてやって、コブ裏面の50度部分でも板を接し続けます。板の「先落とし」を作為的にやるのは困難ですが、意識は持っておきます。


14 かつて、コブの本を読んでも、初級者の足しにならなかったのはなぜか?

技術を本から得るのが困難なのはもちろんですが、滑り方が書かれていなかった点もあります。私もコブ入門の本を持っています。ずらす滑りと切る滑り、時にはエアターンが有効など難しい技術の中に、初級用のアドバイスもありました。しかし最重要ポイントを読むと、コブに負けて後傾にならないこと、下に向かって滑ること、両足を開きすぎないこと、といった具合です。これらはパラレル間もない中級ホヤホヤが、コブ斜面の現場で欲しい情報ではありません。


15 コブのコツとして言われていることは、もっと色々とあるようだが?

なぜコブを滑れないのか。ちゃんと前傾して、体を谷に向け、手を前に出し、ひざも離れすぎないように、色々と心がけているのに、なぜ下に行けないのか。それはコブのどの位置で、何をすべきかを決めていないからです。凹凸のどこを通るべきか、どう動くのか、行動パターンを知らないからです。必要なのは、全体的な心構えよりも、1サイクルの具体的なハウツーなのに、なぜかそこには触れない本ばかりでした。


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