スキー100年目の革命Q&A

53 パウダースノーを滑る方法


1 新雪とはパウダースノーのことか?

とは限りません。新雪の反対語は圧雪です。具体的には、「踏まれていない雪」対「ハードパック雪」。一方、パウダースノーの反対語は湿雪です。具体的には、「水分の少ないカタクリ粉状の粉雪」対「水分の多いグラニュー糖状のみぞれ雪」。新雪vs圧雪、パウダーvs湿雪、という2通りの反対語があるのです。


2 それらの組み合わせで、色々な雪があるわけか?

2×2の組み合わせで、@パウダーの新雪、A湿った新雪、Bパウダーの圧雪、C湿った圧雪の4通りがあります。パラレル前の初級者がスキーの果てしない快適さを体感するゲレンデは、何といってもBパウダーの圧雪でしょう。しかし、ここでは@Aの踏まれていない状態の雪がテーマです。


3 新雪を滑る魅力は何か?

極上の浮遊感です。特に@パウダーの新雪だと、フカフカで音もあまり発生せず、ソフトクリームの中を泳いでいるような不思議な気分に包まれます。


4 パラレルができた日の浮遊感とは同じものか?

似ていますが根本的な違いとして、新雪には足を支える地盤となる確かな雪面がないので、文字通り浮いている浮遊感です。水の上に立ち上がるサーフィンに感覚が似ているでしょう。


5 初心者は新雪にあこがれるのに、しばらくしてあきらめるのはなぜか?

試しに新雪に飛び込んでも、すぐに板が深く沈んでしまい、カチャンと金具が外れて転倒します。何度やってもこうなので、あまりにも難しくて一生できないと思ってしまうのです。初級時代の私自身みじめに転倒して、頭から雪に刺さったり、雪におぼれた状態だとか、外れた板がしばらく見つからないことが毎度で、ロクに滑れないコブの方がまだマシだと感じたクチです。


6 勇気をふるって果敢に踏み込めば、オフピステも案外滑れないか?

かつて、若い上級者がそれで命を落としたケースがありました。新聞記事で目撃者は、上手そうな人が新雪に入って真っ直ぐ樹木に激突したようすを証言していました。


7 木をよければいいのに、なぜその上級者は直進したのか?

旧式スキーだったからです。サイドカットが大きい旧式スキーが、直線的に走る性質を思い出してください。初級者がゲレンデで曲がろうとした時、旧式スキーは曲がらず真っ直ぐ走って暴走、転倒しました。このありふれた現象は、上級者が新雪で曲がる時にも、同様に起きたのです。旧式スキーを危険物だとする根拠は、いざという時に人に仕事をさせない「ヒヤリ」「ハッと」が目に余るからです。しかしカービングスキーによって「ヒヤリ」「ハッと」は激減し、新雪もマイルドな世界になりました。


8 カービングスキーだと、サイドカット半径が小さいから新雪が簡単なのか?

それもありますが、板の全幅の広さが決定的です。その昔、板が雪にもぐってしまった最大の原因は、トップ幅が85ミリしかない旧式スキーの底面積不足です。25ミリもプラスした110ミリ以上に生まれ変わったカービングスキーなら、浮力が増えて埋没を防げます。また、カービングスキーは新雪で極端に後傾しても曲がれるので、曲がれなくなるパニックも起きにくいでしょう。


9 旧式スキーで新雪を滑れる人もいたので、操作方法にも問題はなかったのか?

旧式スキー時代に、基本中の基本だった前傾と外足荷重がともに共犯者です。忠実に前傾すればトップが沈むので、少しだけ後傾ぎみに立ちます。次に、片スキーに全体重をかけるとまた沈むので、2本へ分散します。つまりカービングスキーの基本である両足荷重を使えば、フワフワ雪の上に板を浮かせることができます。


10 ということは、新雪の上でカービングターンをすればいいのか?

似ていますが、カービングターンのようにエッジでピンピンと立たずに、板の裏全体で雪をおしのける使い方をします。まずは新雪でカービングスキーの外足荷重を試すと、外スキーが沈もうとします。そこで内スキーを外スキーにそろえて雪をドドドッと押します。意識して内スキーを押します。すると両スキーが常に雪の上に出たままターンできます。


11 板をそろえるということは、昔式のクローズドスタンスなのか?

肩幅スタンスよりは狭めるものの、板1〜2枚分は離します。あまり離すと、板の間から雪がもれて浮力が減るし、両足のブロック(筋力で構えを保つ)がやりにくくなって、左右の板が別行動する失敗が起きます。両方の板の裏でまとめて雪をつかみ、なでるように押しながら乗ります。


12 新雪の上で一時停止すると、そのまま埋もれて転倒しやすいが?

できるだけ止まらずに続けます。新雪は板にねばりつくように抵抗が大きく、常にブレーキがかかっているので、やけっぱちで真下に滑ったとしても、案外スピードが出ません。従ってコブの時のように、オーバースピード予防にこまめに止まるほど危険でもありません。むしろ運悪く止まれば、ひざまで雪にもぐって再スタートで消耗します。


13 新雪に刻まれたシュプールの上を通る時に、板を取られそうで不安だが?

スノーボードが直線的に掘った幅広い溝状の跡がよく残っていますが、十分深い新雪はシュプールで凹んでいても、綿菓子のようにフワフワなままなので、突っ切ってもつまずくことはありません。