スキー100年目の革命Q&A

54 スキーの原点は、降りたての新雪


1 フワフワの新雪ゲレンデが、スキー場にほとんどないような気がするが?

スキー場にはちゃんと新雪があるのに、出会える機会は限られます。それも当然で、新雪は生モノであって、大雪の直後にだけ新雪の姿を見せています。例えば名の聞こえたコブ斜面はどれも最初は深い新雪です。しかし客が大勢滑ると、どんどん踏み固められて、フワフワ新雪の情景とはかけ離れたコブ斜面に変わります。


2 オフピステが進入禁止になっているスキー場が、多い気がするが?

スキー場の多くが、リフト直下やゲレンデ間の林にある新雪を滑走禁止にする理由は、そうしたコース外には手つかずの岩や切り株が隠れており、ひどい事故が起きるからです。ならばと、危険物を除いてコースとして開放すれば、多くの人が滑って今度はコブ斜面になって、新雪でなくなります。新雪のまま維持するには、面積に比べて滑る人がうんと少ない必要があり、そんな穴場コースをあえて用意する運営的な無理もあるのです。


3 しかし運営側は、大雪直後のせっかくの新雪を片っ端から圧雪していないか?

その理由は荒い雪に弱い旧式スキーへの配慮で、私も初級時代には荒れた深い雪だとまるきり曲がらないか、直滑降で切り抜けるのがせいぜいでした。これではスキーにならないので、小さな凹凸や雪塊もない整地に足が向いたものです。今は新雪にもぐらずに回れるカービングスキーがあるので、あまり隅々まで運動場のように整地すると過剰サービスになりますが。


4 今オフピステの新雪にシュプールを残すのは、スノーボードばかりだが?

リフト直下の禁止区域を降りて放送で叱られるのも、ほとんどがボーダーです。ゲレンデ外れの未開の林(もちろん進入禁止)に分け入って、木の枝をつかみながらゲレンデ間を移動するのも、決まってボーダーです。スキー板もカービング化と幅拡大で改革していますが、3サイズ全てがまだまだ小さくて全幅が足りず、新雪では中途半端に沈みます。そこでサイズ案として、単純に全体をさらに15ミリ広げ、160センチ−125−80−110−R12メートル程度が考えられます。


5 今なぜ、そうした十分に幅が広い製品がないのか?

まだ売れそうにないのだと思います。カービングスキーを買った人は覚えがあると思いますが、板は雪のゲレンデで見るより店内で見た時の方が、なぜか幅広でゴツいものに見えます。ゲレンデで十分幅広で頼もしい板は、ショップでは異常なほど幅広に感じられ、特殊な目的の製品に見えて手を出しにくいのです。


6 新雪専用の板というのもあるが、あれはどうなのか?

自動車でいうオフロード車のような板が出ており、センター幅が80ミリ以上もあるワイドタイプなら、どうやっても浮力が大きいから新雪は楽でしょう。理屈では、板をいくらでも幅広く作れば、フワフワ雪でも平気になります。ただそうした超ワイド板は、サイドカット半径が20メートル以上もある仕様がほとんどで、普通の整地ゲレンデに戻ればカービングスキーのように回れず直線的に走り、楽しみ方も限られます。この解決は簡単に思えるのですが。


7 幅が狭いスキー板でも、きれいな整地を選べば問題ないわけか?

整地を選べない場合があって、なかなか出会えない新雪とはいえ、いやでも出くわす時があります。例えば、コース両端やコース間には新雪がよく残っています。またシーズン途中でも、ドカ雪直後の場内は新雪ばかりです。土日の昼に大雪が降っても、客が多い営業時間内にはピステ車を出せないので、客自身が滑って踏み固めることになります。その時間が楽園になるかが、板の走破力、つまり全幅にかかってきます。


8 オフピステで新雪を滑る時に、安全面で一番気をつけるべき点は何か?

オフピステでは「谷に降りない」が鉄則です。谷とは、尾根と尾根の間にある低い部分です。スキー場の多くは、ゲレンデ同士が谷で区切られ、一番底に沢の水が流れています。隣のゲレンデへ近道しようと、調子に乗って滑り降りてしまうと、板を外して深い新雪を歩かないと戻れません。ところがスキー靴で進めるのは横か下だけで、高い方へ向かって進むのは困難です。


9 スキー板を横向きにして、斜面を登るのも無理なのか?

新雪の急斜面では登っても登っても、元の位置より下へ下へと落ちます。尾根から少し谷へ降りただけで、アリ地獄状態で下り続けてしまい、ゲレンデに戻れません。一時期スノーボーダーの遭難が相次いだのは、この原理です。新雪滑走が得意なカービングスキーが売られると、同じ心配が出てきました。かんじきやスノーシューを持てば動けますが、そもそもバックカントリーは山スキーの分野であり、雪崩(なだれ)を読む知識も不可欠で、一般のスキーヤーにコース外は無理です。


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