スキー100年目の革命Q&A

58 カービングスキー板を買うコツ


1 板、靴、ストックの3点セットが、驚くほど安く売られていることがあるが?

うまく選べばお買い得です。非常に安価な理由は、今シーズンモデルでない旧製品であり、しかも初級用だと単品で売れにくいとみて、余り物を組み合わせているからです。注意点はもちろん板で、150センチ−108−65−95ミリ−R14メートル−軟らかめ、というスペックを基準として、これ以上幅が広い板を選びます。

(後日談:2008年1月1日)
8年たった今、標準的な製品はもっと幅の広いモデルに代わっています。例えば150センチ−114−70−100ミリ−R14メートルなど。トップ幅が120ミリ以上の板も増えましたが、たいてい上級向けの製品です。トップ幅125ミリは上級用、118は中級用、112は初級用と大まかに分けたメーカーもあります。とはいっても初級に細めは禁物で、似た2モデルで迷ったら幅広の方を選ぶのも方法です。


2 前シーズンの型落ちを買って、問題はないのか?

初級者にとって、靴が昨年モデルであっても、スキー撤退の原因にはなりません。しかし板は何しろカービング革命の最中なので、1年古いだけで硬すぎる板に当たる危険と隣合わせです。あくまでも板が良質ニューモデルに近い場合にのみ、お買い得です。一番まずいのは、買って安心して、一生モノだと思い込むことです。自分の持ち物の良し悪しについては、購入後も毎年点検し検討する必要があります。上達につれて、初めは良かった板がだんだん合わなくなるからです。


3 カービングスキーなら、ひとまず末永く使えそうで安心だが?

どれでもいいとまではいかず、だから私も板を2ケタ備えました。カービングスキーは個性差がかなりあり、特筆すべきは「楽しい板」と「楽しくない板」があって、その差が開いている点です。私も新しい板を初めて使って「楽しくない板」なら、ゲレンデに長時間突っ立って考え悩みます。まだ朝なのに、今日は早く帰ろうかと思ったりします。こうしたハズレ対策として、既知の「楽しい板」も補欠で持参します。これで、大いに助かっているのだから、カービングスキーの完成度もまだまだです。


4 自分のフィーリングにぴったりのスキー板は、どうやって見つけるのか?

色々な板を借りて試せば、見つかるでしょう。ただ、あまり探す必要はありません。理由は二つあり、多少クセを感じる板でも自分が順応する点が一つ。もう一つは、カービングスキーへの移行で自分の滑り方が流動的になり、3年後でさえどういう自分に発展しているかが未知だからです。いい板は、すぐに使うのが賢明です。いい板に出会えたからと使い惜しみして、他の板を使い続けていると、後日いい板だと感じなくなる場合がほとんどです。


5 もし、次から次へ板を買い換えても上達しない場合は、何をすればいいのか?

そんなケースは実際にはありません。現実に次々と板を調達する人は、私のような研究組を除けば、競技者に多くいます。一方なかなか上達しない初級者は、たいてい同じ板を長く使っています。それがハズレなのに、そうだと知るきっかけがないまま、何となく惰性的に使って低迷を続けるわけです。


6 同じRでも、堂々たる幅広タイプと、旧式に近い細めもあるが?

前−中−後の全てに等幅をプラスし、等差数列で再構成すれば、Rのメートル数が等しくても全体的に幅広い板ができます。103−63−93の3つの幅全てに5ミリプラスし、108−68−98というように。


7 その太めと細めでは、どちらが滑りやすいのか?

太めです。スキー板は全体の幅が広いほど安定して見え、狭いほど不安定に見えますが、使えばその通りです。いったん太めを使って細めに戻ると、見た目がきゃしゃなだけでなく、実際に扱いにくく転倒しやすくなります。具体的には板の幅が狭いほど、角づけ時にエッジの浮き高さが低いから、順エッジなのに逆エッジのごとく雪につまずくわけです。板が小さな雪塊にはじかれたり、厚い雪に取られたり。だから製品は年々センターもろとも幅広の「太めちゃん」に作り変えられています。


8 細めの板にも良さはあるのか?

モーグル以外では、もはや細めはすすめられません。私のコレクションの例で、旧式は82−62−75−R40メートル、エキストリームカーブは112−60−100−R12メートル。その2本の中間的なサイズとして、95−61−83−R19メートルがあります。この細身はカービングスキーなのに、カービングターンがたいへんに困難だし、ただのボーゲンさえ不調です。


9 R19メートルだったら、一応カービングターンもできそうだが?

全幅が10ミリ細いのが災いし、きれいな整地コース以外では神経をつかいます。カタログには「カービングターン入門」と「異次元体験」の語がありましたが、ゆるい斜面を軽くカービングターンで流すのは大変に難しく、内スキーが雪に埋まって乱れたり、雪塊にはじかれやすく、欠点が旧式スキーと同じです。つまり実態は「やや広めのずんどうスキー」にとどまり、正味は旧式スキー系なのです。

(後日談:2004年2月15日)
昨年2003年、この95−61−83−R19メートルを3年ぶりに使い、2004年にも試しました。強く感じたのは、この板で滑ると楽しくない点です。トップ幅が116ミリある板を使った後では、2センチ細いとモロに不安定で、神経を減らしてイライラします。何をしにこんな高い山まで来たのかと感じます。色々な板を交換するテストがこの有様で、もし何も知らない初級者がこの板で1日を過ごして、翌週も来る気になるか疑問です。


10 カービングターンで滑るのが難しい細めの新製品が、なぜ存在するのか?

カービングスキーに批判的であったり、乗り気でないユーザーに向けたモデルです。店に大胆なしゃもじ板が並ぶのを見て困惑し、見慣れた旧式スキーに近いシェイプを求める人もいます。従来のイメージの惰性にすぎませんが、色々な板をテストした上で買う人はまれで、多くの客は心情と当てずっぽうで判断しています。


11 今、新製品のスキー板を買うのに、特別な注意が必要なのはなぜか?

実験的な製品が多く、一過性のシロモノも堂々と売られているからです。ずんどうスキーの100年が終わって、カービングスキーの100年が始まってまだ3年目です。テニスのデカラケが出た当初の、超々デカラケや長ラケなど、奇抜な実験的製品と似ています。あれから25年、ラケットは以前よりはずっと大きく、しかし大きすぎないミッドサイズに収束しましたが、2000年現在のスキー板はまだ奇抜な製品が目立ちます。


12 奇抜なスキー板に、どんなものがあるのか?

例えば98−99シーズンに出た奇抜な板は、180センチ前後のカービングながら、本来62ミリ以上あるはずの中央幅が46ミリしかなく、マイナス16ミリ分だけトップ幅もテール幅も狭く、全体が異様に細いのです。ビンディング取り付け幅をかせぐために、プラットホームが変に高くて・・・。実際に試すと、カタログ宣伝に反し高下駄のようにグラグラして足をくじきそうで、ヘルパーに危険な製品だと報告しました。翌年ラインナップから消え、似た製品はどこからも出ていません。

(後日談:2004年12月)
1年前の03−04シーズンに気づいたのですが、買って驚きがっかりする偏屈な板が、急に減っています。4年前の99−00シーズンを振り返ると、細くてカービングターンが無理なカービングスキー、体重が2倍ないとたわまず大回りする小回り用、先端が整地にもぐり込む極度のハードトーション、荷重ポイントが狭すぎて苦労するイージーカーブなど、個性やアグレッシブを通り越した製品がありました。それでも旧式スキーよりはましですが、「簡単なカービングスキー」とはいえません。すでにカービングスキーを使っているのに成果がない人は、こうした実験製品に当たっていないかチェックが必要です。


13 子ども用のスキー板は、どう選べばいいのか?

(2009年12月)
サイドカット半径が、6〜10メートルと小さくなります。長さは、旧式スキーでも身長より短かったのですが、カービングスキーはいっそう短くなります。どの年齢でどのあたりの製品が適するかは、ショップの指導に従うのがいいでしょう。同じサイドカット半径なら、全幅が広い方がやはり子どもの動きは明らかによくなります。ここは価格を考えないのが原則です。なぜなら、スキーで最も高くつくのは、都会の人にとっては交通と宿泊で、次がリフト券だからで、スキー板の価格で節約する意味はごく小さかったり、裏目に出ることもあります。


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