I SOLOSTI HIMUKI 第8回コンサート
<<< VからVへ、時空を超えて >>>
2005年2月5日(土) 3:00PM 延岡総合文化センター
ご来場いただいた100人を超す皆さま、
お手伝いいただいた、延岡フィルハーモニーの皆さま、
ありがとうございました。
プログラム
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ヴィヴァルディ ”調和の霊感”から
4つのバイオリンのための協奏曲 ニ長調 Op.3-1
ヴァイオリン: 小林衆方 山本良恵 吉岡記史子 古屋弓子
チェロ : 桑田芳幸
ディッタースドルフ コントラバス協奏曲 ニ長調 コントラバス: 塩田英治
モーツアルト
ヴィラ・ロボス ブラジル風バッハ 第9番 指揮: 田中龍史
<プログラムノート>
アントニオ・ヴィヴァルディ (1678-1741 イタリア)
"調和の霊感" から
4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲 ニ長調 Op.3-1A.ヴィヴァルディの最初の協奏曲集「調和の霊感(L'estro armonico)」は、1711年にアムステルダムで出版されました(当時33歳=私のちょっと上)。日本では江戸時代中頃。ここから彼の名声が全ヨーロッパにとどろくことになりますが、今日演奏するのは12曲あるその協奏曲集の1頁目を飾るものです。因に「四季」の出版はその14年後のことです。 ヴィヴァルディは、25歳で司祭になると共にヴェネツィアの「ピエタ病院付属音楽院」いわゆる孤児院で少女たちにバイオリンを教え始めます。「Rossi(赤毛)」というあだ名で親しまれていた彼は合奏長の地位にまで昇り、その関係は1740年まで続きました。バイオリンの名手でもあった彼ならではの、独奏を際立たせた協奏曲形式はJ.S.バッハ(1685-1750 独)らに影響を及ぼします。 個人的には、ヴィヴァルディのバイオリン曲を聴くとバイオリン製作の名人であるアントニオ・ストラディヴァリ(164?- 伊)を始め、フェラーリ、パスタ、ドルチェ&ガッバーナ等イタリア系名詞がつい連想(妄想)されます。皆様はいかがお聞きになりますでしょうか。
第1楽章 Allegro 4/4拍子
独奏から始まります。チェロのソロも登場します。4人のバイオリンとチェロのソリスト、そして豪華な合奏の掛け合いが続きます。第2楽章 Largo e spiccato 3/4拍子
合奏の後、1stバイオリンがちょっと哀しくも熱いメロディを奏でます。しばらく2ndバイオリンと一緒ですが途中でそれは途絶え、ヴィオラと共に歩みます。第3楽章 Allegro 3/4拍子
この楽章も独奏から始まります。バイオリンが掛け合いながら進む舞曲風楽章です。演奏時間約8分
(小林衆方)
1767年ころに書かれた曲で、当時勤めていた宮廷楽団に所属していたPichelbergerというコントラバスの名手に捧げられました。 ディッタースドルフはこの他に第1番の協奏曲、ヴィオラとの協奏交響曲、同じくヴィオラとの二重奏曲を作曲しており、まともなソロの曲が殆どないコントラバスでは貴重なレパートリーになっています。特にこの第2番は重要な曲で、プロのオーケストラの入団試験やコンクールでは必ずと言ってよいほど課題曲になっているようです。
1楽章:Allegro Moderato
ドミソドミソソソ〜という極めて単純なメロディーが頭にこびりつきます。カデンツァ、はっきり言ってムズカシイです。2楽章:Adagio
シンプルで短い曲。高い音も技巧的なパッセージもありませんが、本当に美しい曲で、ついついタップリ感情を込めすぎてお客さまはしらけてしまう危険性があります。きれいな音でさっぱり弾けるといいな。3楽章:Allegro
なんとなくとらえ所のない楽章ですが、機関銃系の16分音符の合間に突如現れる美しいメロディーが当時のウィーン人の生活リズムを感じさせるユーモラスな曲です。個人的にはこの楽章が一番好きです。この時代のコントラバスは(ファ、ラ、レ、ファ#、ラ)というよくわからない調弦の5弦が主流でした。現在は(ミ、ラ、レ、ソ)の4弦ですので、現代の楽器では弾きにくい音やパッセージが多く出てきますし、通常とは全く違う指使いを要求されることもあって、聴いた感じよりもずっと難しい曲です。学生時代には、全く手も足も出ず、ウィーンの名手のCDを聴いてはため息をついたものでした。 私の愛用楽器もウィーン生まれ(偶然にも本日演奏するヴィラ=ロボスと同じ歳です)ですが、数十年前のウィーンの名手の誰かがこの曲を弾いていたかもしれません。まさか、おとなになってオーケストラをバックに演奏させてもらえるとは…頑張って続けた甲斐がありました。「美しい音色で上品に弾き飛ばす」のが理想なんですが…。
(塩田英治)
ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト (1756-1791 ドイツ)
ディヴェルティメント ヘ長調 KV.138来年2006年はモーツァルト生誕250年ということで,モーツァルトセラピーなんて言葉が話題に登ったりしていますが,K136〜138の3曲のディヴェルティメントを作曲したのは1772年,彼がわずか16歳の時。二回目のイタリア旅行から故郷のザルツブルグに帰ってきたばかりで,さまざまな音楽との出会いや新鮮な印象がそのまま若い体に吸収されたのではないかと想像させてくれるほど,この三つの「嬉遊曲」には彼の鬼才が軽やかに飛翔しているようです。今回演奏するのは,3番目のへ長調K138です。
第1楽章 アレグロ へ長調
ソナタ形式 大空に向かっていくようなエネルギーに満ち溢れ,生きる力を感じさせるようだと思いませんか? 演奏する方も(オジサン,オバサンは少し無理して)若者風に呼吸法を変えたいと思います。第2楽章 アンダンテ ハ長調
メランコリックな雰囲気に浸ってみませんか? 1stヴァイオリンが長く伸ばしている音の中で2ndヴァイオリン,ビオラ,チェロの美しい旋律が光っています。第3楽章 プレスト へ長調
ロンド形式 どこかモーツァルトと隠れんぼしているような気になりませんか? しかも彼が雲隠れをしたように終わるところが洒落ています。(いつか「小春おばさん」になりたい 安藤祥子)
エイトール・ヴィラ=ロボス (1887-1959 ブラジル)
ブラジル風バッハ 第9番エイトール・ヴィラ=ロボスはブラジル生まれの大作曲家です。彼の主要作品である「ブラジル風バッハ」は、声楽をも含む多彩な楽器編成により異なる曲趣を持つ9曲の佳品から構成されています。今回お聞かせするのは1945年に完成された最後の第9番です。
元々は無伴奏合唱のための作品だったそうですが、演奏困難のために弦楽合奏でも演奏できるようにしました。現在では弦楽合奏による演奏が標準となっています。
「ブラジル風バッハ(バッキアーナス・ブラジレイラス)」と呼ばれる題名自体はこれで間違いはありませんが、音楽自体は9曲を通じて「バッハ風ブラジル音楽」と解釈すると理解しやすいかもしれません。言い換えると、彼が敬愛した偉大なバッハの音楽を食材として用いたブラジルのレシピによるアントレがこの連作を成すと考えられるのです。
この第9番の構成は単純です。偉大なバッハ以来のオルガン音楽の構成である、プレリュード(前奏曲)とフーガの2部で成り立っています。
しかし、ヴィラ=ロボスの天才はこの曲が陳腐な前奏曲とフーガにとどまることを否定しました。冒頭の和音をお聞きください。地底から響くコントラバスの最低音から、成層圏を予感させる垂直にそそりたつヴァイオリンのフラジオレットの最高音までで構成される独特の神秘的な和音で始まります。各楽器がバッハの形を借りたエスニック(この場合にはキリスト教的西洋音楽と対峙する意味で)なサウンドを奏でます。特にヴィオラの旋律は琴線に共鳴します。
フーガはまさに古典的な形式を持ちつつも、11/8拍子という通常用いられない複雑な拍で書かれています。200年のときを経てブラジルに蘇った偉大なバッハは、11/8拍子のフーガで20世紀に挑戦状をたたきつけた、といっても過言ではないでしょう。複雑な対位法から文字通り遁走するがごとく曲は進行していき、最後のハ長調の和音で大団円を迎えます。
(窪寺昌一)
06/09/26