顎の骨の解剖学

 インプラント治療は顎の骨にインプラントを埋入(埋める事)する治療です。ところが、上顎や下顎の骨の中にはインプラントの埋入を妨げる構造物があるのです。

 上の写真はパノラマX線写真といって、上顎と下顎の骨の全体を同時に撮影したレントゲン写真です。下の写真は上の写真の構造物にトレースを入れて説明を加えた物です。

 鼻から入った空気は、まず上顎の骨の中にある鼻腔という空洞に入ります。その後、気管を通って肺に送り込まれます。
鼻腔の左右には上顎洞という空洞があります。上顎洞は副鼻腔のひとつで、鼻腔とは自然口という比較的小さな穴で交通しています。上顎洞の詳しい役割についてはよくわかっていません。蓄膿になると、上顎洞に膿がたまります。
上顎洞は空洞で骨ではありませんから、ここにインプラントを埋入する事はできません。上顎洞の下にある骨の所にインプラントを埋入する時は、上顎洞に突き抜けないようにしなければなりません。ところが多くの場合、上顎洞が下方に張り出していて骨が足りない事が多いのです。上の写真の左側(向かって右側)は、上顎洞が下に大きく張り出していて骨が1ミリくらいしか無いのがおわかりでしょうか。このような場合、上顎洞底挙上術という手術をしなければ、インプラントを埋入することができません。

 次に下顎を見てみましょう。下顎の骨の中には下顎管という管が通っています。この中には太い血管や神経が通っています。
下顎管を傷つけると太い血管が損傷して大きな出血を起こしたり、神経が損傷して知覚麻痺が起こったりします。インプラントを埋入する時には、下顎管の上の骨の所に、下顎管に触れないような長さの物を埋入します。この部分の骨の幅や高さが足りない時は、骨造成手術を行う必要があります。


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