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OM二桁・三桁シリーズ

■OLYMPUS OM10

OM10 マニュアルアダプターを装着したOM10

(上・オート専用時/下・マニュアルアダプター装着時)

諸元

●形式

35ミリTTLダイレクト測光式一眼レフ

●シャッター

電子制御布幕横走りフォーカルプレーンシャッター
オート時・2~1/1000秒
マニュアル時・B、1~1/1000秒
X(1/60)接点

●ファインダー

視野率93パーセント 倍率0.92倍

●測光方式・露出計

オート:TTL中央重点平均ダイレクト測光
マニュアル:TTL中央重点平均測光
LED表示/マニュアル時読み取り式
EV2~17(ISO100・F1.4)

●フィルム感度

ISO25~1600

●巻き上げレバー

巻き上げ角130度 予備角30度
分割巻上げ可能

●使用電池

SR44・2個

●サイズ

135ミリ(W)×84ミリ(H)×50ミリ(D)

●重量

450グラム

OM一桁シリーズから変更された外観

OM一桁シリーズのデザイン上の特徴である”デルタカット”ではなく、一般的なカメラの形状をしています。アクセサリーシューも固定式でごく一般的な外観です。軍艦部カバーや前板の材質はプラスチックになっています。

各操作部のレイアウトはOM-2シリーズとほぼ同じですが、マニュアル/オートの切り替えはメインスイッチではなく、フィルム感度設定ダイヤルに同軸に配置された切り替えレバーで行います。

OM10の特筆すべき点は、レリーズボタンの受け皿がタッチセンサースイッチになっており、ここに触れると電源がONになりタイマーにより一定時間経過後自動的に電源がOFFになります。メインスイッチを切り忘れても電池の消耗が防げます。

軍艦部カバーはプラスチック化されましたが底板は金属製です。モータードライブには対応していませんが、巻き上げカプラー部のキャップが省略されダイレクトでワインダーが装着できます。当然ながらOMシステムと互換性が保たれています。

OM10に搭載された電子式セルフタイマーは、その後のOMに標準装備されるようになりました。

OM10・上面/底板部 OM10・電子式セルフタイマー

OM10のTTLダイレクト測光

各社ともOM10と価格的に競合する普及タイプを市場に投入しましたが、そのほとんどがAE専用機でした。OM10も基本的にはAE専用機なのですが、マニュアルアダプターを装着するとマニュアル露出が可能になるユニークなカメラです。

マニュアル撮影をする時は、ファインダー内のLEDが示すシャッター速度を読み取り、シャッター速度ダイヤルをセットするタイプですが、定点合致式のOM一桁シリーズのマニュアルと比べると、OM10ではファインダー内のLEDが示したシャッター速度にマニュアルアダプターのシャッター速度ダイヤルを合わす時、一旦、ファインダーから目を離すことになりますので、かなり煩雑な操作となります。また、OM-2・OM-2Nは、メインスイッチの切り替えにより即座にオート/マニュアルが切り替えられ、露出補正かマニュアル露出か簡単に選択して撮影できましたが、OM10はフィルム感度設定ダイヤル部のレバーによりオート/マニュアル切り替えるようになっているのですが、通常、巻き上げレバーに隠れていますのでスムーズに切り替えられないのが難点です。「オートで撮影する」「マニュアルで撮影する」と決めれば問題はないのですが、OM-2的なオートとマニュアルの使い分けは難しいと思います。

あと、賛否両論あると思いますが、OMシリーズのマウント部にあるシャッターダイヤルは使いやすいのですが、OM10のマニュアルアダプターのシャッターダイヤルは左手で操作できるとはいえ使いにくいと言えます。コンタックスRTS系の巻き戻しクランク部についたシャッターダイヤルといい勝負です。

OM10の使用感

OM一桁シリーズを使用したことがあれば、普及機のチープさを十二分に感じることができます。特に、ミラーアップの振動やシャッター音は、さすが普及機という感じです。OM一桁シリーズはミラーショックやシャッターの静粛性には、かなり配慮したつくりになっていますが、それと同じに考えてはいけません。とは言え、通常のスナップに用いるには十分な性能がありますので、神経質にならない方がベターだと思います。OM10が気に入らなければOM一桁シリーズを使えばいいだけのことですから。

OM10の存在価値

OM-2シリーズかOM-4シリーズのどれかがあれば、OM10を使用する意味はないのかもしれません。しかし、オリンパスOMシリーズの普及機の先駆けとなった機種であり、また、OMの普及機に実験的に搭載された新機能がフィードバックされてOM一桁シリーズの熟成につながったと考えると、OM10の未完成さも何故か気にならないなあと一人思ってしまいます。より多くの人が簡単に一眼レフを手に取れるようにとOM10が発売されたことから、このカメラが初めてというユーザーのための、いわばビギナー向けのカメラだと思います。しかし、OM一桁シリーズよりも不自由なこのカメラを駆使することは、ある意味、すごいことだと思います。

■OLYMPUS OM2000

OM2000・正面 OM2000・背面 OM2000・底板部
諸元

●形式

35ミリTTL定点連動式一眼レフ

●シャッター

機械制御上下走行メタルりフォーカルプレーンシャッター
B、1~1/2000秒
X接点(1/125)

●ファインダー

視野率93パーセント 倍率0.84倍

●測光方式・露出計

TTL中央重点平均測光
スポット測光
EV1~20(ISO100・F1.8)

●フィルム感度

ISO25~3200

●巻き上げレバー

分割巻上げ不可
※多重露光可

●使用電池

LR44またはSR44・2個

●サイズ

138ミリ(W)×87ミリ(H)×51ミリ(D)

●重量

430グラム

OM2000の外装はプラスチックですがアルミダイキャスト構造となっており内部のつくりは意外としっかりしています。 底板の形状からわかるように、ワインダーやモータードライブは装着できません。また、巻き戻しボタンもごく普通の位置についています。 ボディー右手側はグリップ状に成型されており、デジタル一眼のE-410と類似しているのではないでしょうか?

機械式シャッターを搭載したOM

OM-1シリーズとOM-3シリーズとこのOM2000は機械式シャッターを搭載しています。前二者は布幕横走りフォーカルプレーンシャッターですが、OM2000は上下走行メタルフォーカルプレーンシャッターとなっています。というのは、OM2000はコシナ製のOEMでニコンFM10、リコーXR-8スーパーとプラットホームは同じです。

これら同位機種とOM2000が大きく違う点はスポット測光を搭載しているところです。

OM2000・スポット測光切換レバー
OM2000・シャッター

シャッタースピードダイヤルの位置

OMシリーズの外観上の特徴のひとつとして、マウント部に配置するリング状のシャッタースピードダイヤルがありますが、本機はコシナ製ということもあり、オーソドックスに軍艦部右側にシャッタースピードダイヤルが配置されています。

上下走行メタルフォーカルプレーンシャッターになったためシンクロ速度(X接点)は1/125と従来のOMより一段高速になっています。また、フィルム感度設定ダイヤルもシャッタースピードダイヤルと同軸になっています。

OM2000・レンズマウント部付近 OM2000・シャッタースピードダイヤル

フィルムカウンターの位置・形状も他のOMと異なります。フィルムカウンターはOM以前のオリンパスカメラからほぼ同じ位置・デザインで隠れたオリンパスカメラの特徴でしたがコシナ製のOEMのためか踏襲されませんでした。(多重露光レバーの関係が大きいと思いますが)

レリーズボタンの形状は、OM-3・4と似た形状です。OM-3・4の受け皿部分にはCLEARレバーまたはMEMO/CLEARレバーが設けられていましたが、OM2000の受け皿の形状はデジタル一眼のE-410に不思議と類似していると思います。

シャッタースピードダイヤルの位置

シャッターチャンスを逃さないために、OMにはあえてシャッターロック機構は備えられていません。不用意にレリーズされてフィルム1コマ分が無駄になることよりも、とっさのシャッターチャンスでもすぐにレリーズできることを優先するという米谷氏の設計思想にもとづいたものです。逆に、OM-2などには緊急オート機能が備わっているなど、いかに常時撮影できることが重視されているのかがわかります。

OM2000にはシャッターロック機構がついています。巻き上げレバーを収納すると自動的にシャッターロックがかかる構造となっていますが、撮影時には巻き上げレバーは引き出した状態にしなければならないということになります。レリーズボタンと受け皿の構造から、不用意にレリーズボタンが押されることが他のOMに比べて多いのでしょうが、あまりありがたくない機構だと思います。

OM2000・シャッターロック解除
OM2000・シャッターロック状態

巻き上げレバーの回転軸付近に突起があり、巻き上げレバーを引き出すとレリーズボタンのロックが外れる構造が視認できます。

巻き上げレバー回転軸右側のレバーは多重露光レバーです。

巻き上げレバーは分割巻上げはできません。

S ZUIKO ZOOM 35-70mm F3.5-4.8

OM2000と同時に発売されたズームレンズです。もう1本「S ZUIKO ZOOM 70-210mm F4.5-5.6」がラインアップされました。「S ZUIKO ZOOM 35-70mm F3.5-4.8」はOM2000のレンズセットとして販売されレンズ単体では流通しませんでした。

コンパクトさとコストパフォーマンスを追求してあるためか、他のズイコーレンズと趣きが異なる印象を受けます。一見、「S ZUIKO ZOOM 35-70mm F4」と似ていますが、よく観察すると①ズームリングの材質・形状 ②プレビューボタン、レンズ着脱ボタンの材質・形状 ③赤外線指標の色・デザインが他のズイコーレンズと微妙にあるいは明らかに違っています。

(左)S ZUIKO ZOOM 35-70mm F3.5-4.8

(右)S ZUIKO ZOOM 35-70mm F4

ズイコ―35-70mm

同じズーム域のズイコーレンズと比べると、コンパクトになっているのがわかります。

それまでのズイコーレンズのズームリングの材質はラバーですが、プラスチックに変わっています。

また、各数字・指標に用いられるカラーは、白・オレンジ・緑・赤に加え黄色が使われています。そのため、レンズの外観から受ける印象が異なっています。

S ZUIKO ZOOM 35-70mm F3.5-4.8・プレビューボタン

【プレビューボタン】

他のズイコーレンズのレンズのプレビューボタンは金属製ですが、プラスチックに変更されています。

S ZUIKO ZOOM 35-70mm F3.5-4.8・レンズ着脱ボタン

【レンズ着脱ボタン】

レンズ着脱ボタンも金属製からプラスチックに変更されています。プレビューボタンと区別するために溝がある形状は同じです。

OMシステムの互換性

OM2000で使用できるOMシステムは多くありません。

■モータードライブグループ

 ワインダー、モータードライブとも使用できません。

■フラッシュフォトグループ

 マニュアル発光、外光式オートになりますので、充電完了や発光の結果をファインダー内に表示する
 機能はありませんので、特にOMシステムのエレクトロニックフラッシュを使うアドバンテージはあ
 まりないと思います。OM-1のフラッシュ撮影機能と同様です。ただし、シンクロターミナルがあり
 ませんのでストロボを本体から離して使用することはできません。このことからパワーバウンスグリ
 ップも使えません。

■ズイコーレンズグループ

OMマウントのMFレンズが全て使用できます。

S ZUIKO ZOOM 35-70mm F3.5-4.8・レンズ着脱ボタン S ZUIKO ZOOM 35-70mm F3.5-4.8・レンズ着脱ボタン S ZUIKO ZOOM 35-70mm F3.5-4.8・レンズ着脱ボタン

OM2000の感想

オリンパスブランド最後のフィルム一眼レフですが、コシナ製のOEM機ということもあって、かなり純正のOMとは異なっているということは否めません。スポット測光を搭載していることからオリンパスらしさを継承しているという人もいますが、カメラ各部の操作性から言えば「オリンパスらしからぬカメラ」といえます。

特にミラーショックに関して言えば、OM10のショックの大きさ、がさつさは、やはり普及機だなあと感じていましたが、このOM2000ではさらに大きくOM10のそれとは感覚も異質な感じを受けます。ファインダー像についても、やはりニ桁シリーズの方が見やすいと言えます。

もともと、オリンパス製ではなくコシナ製ということなのでしかたのないことなのかもしれません。カメラとしての完成度を求めるのであれば、オリンパス純正のOMを使えばいいのです。OM2000にそれを求めるというのはOM2000を使う意味が違うと思います。

OM2000は、外装のチープさや究極の操作感の対極にある各操作部に関わらず、骨格はアルミダイキャストとなっており、つくりはしっかりしています。なんといっても機械式シャッターを搭載していますので、電子基盤の寿命を気にすることなく使い続けられるということになります。ただ、金属製になったシャッター幕の耐久性やメンテナンス性が気がかりではあります。

OM2000より30数年前に登場したOM-1の方がOM2000より多機能・高品位であるというのも不思議な気がしますが、何はともあれズイコーレンズを使用する上ではほとんど問題がないという一点がOM2000を使う唯一の理由であると思います。

余談になりますが、レンズメーカーは同じレンズのマウントを変えて各カメラで使用することができましたが、ボディーのマウントを変えて各レンズを使用することができるようになったと言えます。クイックリターンミラーの登場から、開放測光、AE化、AF化と多くの発展を遂げてきたフィルムカメラですが、各ブランドのレンズに対応するボディーというのが究極の姿なのかもしれません。(OM2000のマウントを交換して各種レンズを使えるわけではありません。念のため‥)