タイトル

お母さんのお手伝い

出題者

Mikky.M

オーロラ

スィトピー

パイプオルガン

天使

ビバルディ

ゆかちゃんはちょっとおしゃまな女の子、いつも赤いワンピースをきてお澄まししている。
テディベアが大好きで、いつも左手で抱いています。
今日はお母さんのお使いで、街の花屋さんにプレゼントの花束を受け取りに行きました。
大好きな美樹お姉ちゃんがもうすぐ結婚するんです。

お花屋さんは街の一番大きなデパートの中にあります。ゆかちゃんは、デパートが大好きです。
何時も、道草をしてしまってお母さんに怒られます。「今日は大事な美樹お姉ちゃんへのプレゼントがあるから真っ直ぐ帰らなくっちゃ。」バスに乗って、街に行く間中、ゆかちゃんは小さな声でつぶやき続けていました。

「お母さんに頼まれたお花を下さい」大きな声でゆかちゃんが言うと、「ま〜〜感心ね」きれいなお姉さんが、「お嬢ちゃんにはこの花をあげる」と言って、
スィトピーの花をきれいな紙に包んでくれました。「ありがとう」でも、ちっちゃな体には、プレゼントの花束は大きすぎます。
「このお花はお友達の熊さんに持ってもらおうかな?」お姉さんはそう言ってお花をテディベアの腕の間にはさみました。そしてピンクのリボンで、抜けないように結んでくれました。「「レノン」と言うんだよ」ゆかちゃんはお姉さんに言いました。「これで大丈夫よ」お姉さんに渡されたテディベアを左腕に抱いて、花束を右手に持ちました。さあ、家まで大切にもって帰らなくっちゃ。

「お嬢ちゃんはどこで降りるんだい?」お鼻の大きなおじいさんが気味の悪い声で聞きました。
「きゃー大変」ゆかちゃんはつい、うとうと眠ってしまったのです。「ここはどこなの?」ゆかちゃんが聞くと、「楽器の町だよ、楽しい街だからゆかちゃんも一緒に降りないかい」楽しそうな街の名前に、ついついおじさんについてゆかちゃんはバスを降りてしまいました。お母さんは何時も知らない人について行ったら行けないよと言ってたんだけどね。

街の中は不思議な格好をした人がたくさんいました。タイコみたいに大きなお腹をしたおじさん。何故かお腹をたたきながら歩いています。ネクタイを何本も首から下げて、あるいている若者。
その人は雨も降ってないのに、傘を持って時々ネクタイをこするようにしていました。
ふっくら広がったスカートを着たお姉さんは首から下げた何本ものひもを、腰のベルトにつないで時々手ではじいています。良く見ると全部楽器の形をした人達でした。「お嬢ちゃん、その熊はバイオリンの格好をしてるから、この街でずっと暮らすんだよ」そう言って、おじさんがゆかちゃんからレノンを取り上げてしまいました。

「ダメ、ダメ」ゆかちゃんは一生懸命追いかけましたが、花束を持ってるのでどんどん離れてしまいました。どこからか
パイプオルガンの重々しい音が聞こえてきます。「あきらめて帰りな」そう言ってるような、暗い音にとうとうゆかちゃんは泣き出してしまいました。空からは何時の間にか、雪が降り出して真っ暗闇です。「どうしよう、レノンがいなくなっちゃう」ゆかちゃんはそれでも、おじさんが逃げて行った方へ向かって行きました。

その時、暗い空のずうーと先の方で、光のうずが踊り出しました。「わー、きれい」きっとあそこにレノンがいるとゆかちゃんは光のほうに歩いて行きました。何時のまにか、空一杯にひかりが舞っています。「これは、なに?」 不思議な色で舞っている光を見ながらゆかちゃんがつぶやくと、そーっと「
オーロラだよ」と囁きながら天使がゆかちゃんの前に現れました。「ゆかちゃん、これからはお母さんが教えた通り、知らない人についていったらダメだよ」天使はそう言って、ゆかちゃんを導くように前を飛んでいきました。

どんどん歩いて行くといつの間にか、まわりは明るいお花畑になっていました。重々しいオルガンの音は消え、気持ちを浮き立たせるように、
ビバルディの「春」の曲がきこえてきました。さっき会った時は、変な格好と思っていた街の人たちが皆揃って演奏をしています。皆、とっても楽しそうです。そしてピアノの後でバイオリンを弾いているのは、スィトピーを持ったレノンでした。
「レノン」手を振りながら、大きな声で呼んだ瞬間、肩をゆすられてゆかちゃんは目を覚ましました。「おじょうちゃん、着いたよ」いつも親切なバスのおじさんが、そう言ってゆかちゃんに教えてくれました。慌てて見ると、レオンはいつものようににっこり笑った顔で左腕の中にいます。

「あー、良かった」ふーと息をはいて、ゆかちゃんはバスの椅子からぽんと飛び降りました。
レオンと一緒にスィトピーの甘い香りも一緒について来ました。「あー 良かった」