タイトル

おいのりしましょう

出題者

Tomomi.N

月のかたちをしたゴンドラ

星の川

ガラスの涙

風邪

オルガン


ともみちゃんは可愛い女の子だけど一人っ子なんです。
お父さんもお母さんも優しいですが遊び相手がいなくて、ちょっぴり可哀想です。
お父さんが一緒に仲良くしてあげなさいと一匹の子犬を連れて帰りました。
くんくん鳴いて、すりよってくる真っ白な子犬を見て、ともみちゃんは大喜び
「ともたん」と名付けて大事に飼うことにしました。

今までは一人で遊んでいたけど、今日からはともたんがいつも一緒。
ともみちゃんは自分が少し大人になったような気がしました。
「だめよ、ともたん。お外に出るときは車が来ないか良く注意してね」
いつも、お母さんが言ってる口ぶりを真似して言いました。

「お母さんは
風邪をひいたみたい。移るといけないからともたんと一緒にお外で遊びなさい」
ある朝、お母さんがちょっと赤い顔をしてともみちゃんに言って寝室に行ってしまいました。
「大丈夫?」ともみちゃんは心配顔になりました。

「ともたん、お母さんが元気になるようにお祈りに行こう」
ともたんを連れて教会に行くことにしました。
ともたんはくんくん言いながら、後について来ます。
「おかあさんが早く元気になりますように」
何度もつぶやきながら町の中心にある教会まで一生懸命歩いて行きました。

「神様、お母さんが早く元気になりますように」
お祈りするともみちゃんのそばで、ともたんも神妙な顔をしてしゃがんでいます。
雲の切れ間から、太陽の光がさーっと差してステンド・グラスがきらっと輝きました。
「ともみちゃんは良い子だね。一緒にお祈りしてあげましょう」
星の光に包まれてきらきらと輝いている
月のかたちをしたゴンドラが現れました。
「さー、お乗りなさい」オルガンの音とともに、優しい声が聞こえました。
いつの間にかゴンドラのまわりには、天使たちが飛びまわっています。

ともたんを抱き上げてともみちゃんがゴンドラに乗ると、
光がいっそう輝いてふわっとゴンドラは浮き上がりました。
青空の中をどこまでもゴンドラは進んで行きます。
いつのまにか、星が川のように流れている場所に着きました。
「この
星の川は天の川と言うのよ」天使が教えてくれました。

星がきらきらと輝やきながら流れています。
星屑が広がって、湖のようになっている場所に着きました。
「一緒にお祈りしましょう」
そう言われて、ともみちゃんは小さな手を合わせてお祈りしました。
「お母さん、早く元気になってね」
ともたんも「くーん」と小さな声でなきました。
まるでお祈りしているように、目を閉じています。

湖に大きな波紋が出来ました。
「ともみちゃん、大丈夫だよ。きっとお母さんはもう元気になっている。
 ごほうびにこれをあげよう」神様が湖の中から現れました。
星屑が神様からこぼれおちて
ガラスの涙のようにきらきら輝いています。
神様が手を差し伸べてロザリオを渡してくれました。
「ありがとう」
天使たちもうれしそうに、二人の廻りを飛びまわっています。

オルガンの奏でる音にふっとまわりを見ると、午後の優しい
太陽の光で教会が温かい色に包まれていました。
「夢だったのかな?」手を開くと、そこにはかわいいロザリオがありました。
「早く、帰ろう。ともたん。きっとお母さんは元気になってるよ」
ともみちゃんはそう言って、教会から駆け出しました。
ともたんが「待って」というように「きゅんきゅん」と鳴きながら走ってついてきます。

「お母さん、ただ今。元気になった?」ともみちゃんは家に着くなりそう言いました。
「ありがとう。もう大丈夫よ。おやつが用意してあるわ」
お母さんはにっこり笑いながら待っていてくれました。

「良かった」ともみちゃんがつぶやいた時、部屋の時計が3時のメロディを奏でました。
「あー、お腹が空いた」
ともたんが「そうだ、そうだ」というように「きゃん」と鳴きました。