タイトル

学校の宿題

出題者

Hiroko.

犬のコロ

可愛い女の子

風邪

真砂

おひとよしのママ


「お母さん、この町の歴史を調べてきなさいと先生から宿題が出たの。」
由紀子ちゃんはお母さんに聞きました。
「悪いわね、由紀子。お母さんは今、忙しいの、また後でね。」

そうだ、自分で調べてみよう。出会った人に聞いてみれば、いろいろ教えて貰えるかもね。
とっても天気が良いので、由紀子ちゃんは町の探検に出かける事にしました。
まず、誰に聞こうかなっと。由紀子ちゃんは、スキップしながら、最初の角を曲がりました。
自分の思い付きがとっても素敵に思えてうれしかったんです。

あれれ、最初は近所のコロです。もう年とって、しかも太り過ぎの
犬のコロは半分、寝ぼけたような顔をしながら何か用かい?なんて顔をしてこっちを見ています。
「コロ、あなたはこの町に長く住んでるから、いろいろ知ってるんじゃない?」
稽古を兼ねて聞いてみました。
コロは由紀子ちゃんだと分ると、ちょっと尻尾を振っただけで、また寝てしまいました。
「ダメだ、こりゃ」そうつぶやいて、由紀子ちゃんは次の人を探す事にしました。

「町の歴史、町の歴史」つぶやきながら歩いていると、
可愛い女の子がこっちに
むかってやってきます。私より、子供みたいね。ちょっと無理かな?
「貴女の名前はなんていうの?」それでも、由紀子ちゃんは聞いてみました。
「かよちゃんだよ。」自分にちゃんをつけて言うのは変だな。と思いながら
「かよちゃん、私はこの町の歴史を調べてるの。貴女は何か知っている?」そう聞いてみました。
「ごめんね。私、
風邪をひいてるの。元気だったら教えてあげるんだけどね」
かよちゃんは言いました。けっこう負けず嫌いの女の子だね。

しかたがないので、次の人を探す事にしました。
「誰かいないかな?」今日は天気が良いのに、なかなか人に会えません。
皆、今の時間は学校や会社だから仕方がないよね。

後から「プッ、プーッ」という車の警笛が鳴りました。おっと、危ない。よけようとした由紀子ちゃんは、車の運転をしているのが近所の良恵おばちゃんだと気づきました。
良恵おばちゃんは、この町に一軒しかないスナックを経営しています。
お父さんも時々行くんですが、帰ってきたら何時も赤い顔になっています。
「うちで呑めば良いのに」お母さんは時々、文句を言いますが、「たった一軒しかない店だ。皆が行ってあげないと、一軒もなくなっちゃうだろう。それに、あそこの
ママはおひとよしで、いつも値段を安くしてくれるんだ」お父さんは赤い顔をもっと赤くして、そう言ってます。
本当は家でお酒を飲むより、楽しいんだろうね。

「おばちゃん。学校の宿題教えて」由紀子ちゃんは良恵おばちゃんに手を振りました。
「おばちゃんじゃ無いわよ。お姉さんでしょ。それに、私は学校が一番苦手なの」
良恵おばちゃんが言いました。

ここでおばちゃんを逃がすともう誰もいない。必死で由紀子ちゃんは聞きました。
「この町の事、調べているの。何でも良いから教えてくれない?」
「なんだ、そんな事なら教えられるかもね。」良恵おばちゃんは機嫌が良くなりました。
「この町は名前が
真砂町と言うでしょう。真砂というのは砂つぶの事なんだよ。」
「なんで、砂つぶが町の名前なの?」本当に不思議で由紀子ちゃんは聞きました。
「それはね、この辺りはもともと海だったんだよ。今、由紀子ちゃんが歩いている道路は
海の中だったんだよ」良恵おばちゃんは言いました。
「そこの公園に行って、土を掘ってご覧。貝殻が出てくるかもね。どうだい。大発見だろう。
これからは良恵お姉ちゃんと言うんだよ」良恵おばちゃんはそう言って、車をブーッと走らせて
行ってしまいました。

「こりゃ、大ニュース。これで宿題が書けるわ。ついでに、公園も探検して、
宿題にくっつけておこう」「でも、やっぱりおばちゃんだよね」
由紀子ちゃんはつぶやきながら、公園に向かって駆け出しました。

これで宿題は完璧だ。