タイトル

チョロのエイプイルフール

出題者

Norie.K

うそ

匂い

重い


僕の名前はチョロ、しっぽが大きくてダンディなシマリスだよ。
いつも、ちっちゃな籠の中でちょろちょろ、動いていたら何時の間にか、
こんな名前になっちゃった。典恵姉ちゃん、最初の頃は
「ちっちゃくて、すばしこくてカッコ良いから素敵な名前を考えてあげるね。」
なんて優しく声をかけてくれていたのに、ちょっとひどいと思うんだ。。

精一杯すねて、ぐるぐる籠の中で風車を廻してたら、友達の栄子姉ちゃんまで
「名前の通り、良くちょろちょろ動くわね。。。」だって、あんまりだよね。

明日は4月1日、「今日はエープリル・フール。
年にたった一回、
うそを言っても怒られない日だから
ちょっと作戦たてて栄子をからかってみるかな」なんて話しかけてきた。
お姉ちゃんも結構人が悪いや。よっしゃ、こちらも作戦開始だ。
なんせ風車を廻しながら鍛えてるから頭の回転は抜群だもんね。

「今日は栄子に会うから遅くなるよ。」典恵お姉ちゃんが話しかけてきた。
僕の作戦も知らずに、栄子姉ちゃんをだましに出かける積りみたいだね。
あんな良いお姉ちゃんだましたら可哀想だよ。でもちょっと面白いかな。
僕は目を閉じて、急に横になった。

案の定、お姉ちゃんはびっくりして
「どうしたの、ちょろ。元気がないわね」なんて籠の中をのぞいている。
しめしめ、この調子この調子。僕はもう少しの辛抱と横になったままで我慢していた。
「大変だ。ちょろが病気になっちゃった。病院に連れていかなくっちゃ」
お姉ちゃんは、僕を外に出して篭を探しにいっちゃった。
今のすきだ。僕はちょっと散歩に出掛けることにした。お姉ちゃん、ごめんね。

篭の外を自由に動き回る事が僕の
だったんだ。
窓のカーテンを精一杯ゆすって、僕は窓の外に飛び出した。
「ひゅ―」勢いをつけて、空を飛びながら大きなしっぽを上手に
動かして、アパートの庭の桜の木に飛びついた。
枝に飛び移った瞬間、ぱらぱらと桜の花びらが散ったよ。

僕は構わず、地面へ降りた。
プーンと土の
匂いがした。これがいわゆる自由というやつだね。
きょろきょろしてると、「うーっ」と
が聞こえた。
なんだ、なんだ?振り向くと真っ黒い猫が僕に近づいてくる。
こりゃ大変。僕は大きなしっぽを振りながら必死で駆けた。
黒猫もうなりながら追いかけて来る。大変だーつかまっちゃう。
キキーッ、方向転換の為に急ブレーキだ。
勢い余って黒猫が僕の上においかぶさってきた。うーん
重いよ。
僕は猫のお腹の下から必死で抜け出した。

えーいッ。ちょうどやってきた自転車の荷台に僕は飛び乗った。あー良かった。
あれれ、このままじゃどんどんお家が遠くなるぞ。

スーパーの前に子供達が集まっている。
ピエロのかっこうをしたお兄ちゃんが風船をくばっている。
そうだ風船に乗ってお家に帰ろう。僕は風船に飛びついた。
ひゅーひゅー、やったぞ。風船は僕を乗せてすいすい空を飛んでいく。

あ、お姉ちゃんのお家だ。
僕は目をつぶって、えーいと桜の木に飛び降りた。
家の中では典江お姉ちゃんが泣きながら僕の名前を呼んでいる。
「ちょろ、何処にいるの。早く出ておいで」
僕は勢いをつけて、ぴょ―ンと部屋に戻った。
「ちょろ、どこいいたの。心配してたんだよ」お姉ちゃんが僕をぎゅっと抱きしめた。

うーん、くすぐったいよ。
典恵お姉ちゃんの涙が僕のほっぺたにぽつんと落ちたよ。

お姉ちゃん心配させてごめんね。