ANGLING REPORT

2007年03月01日

渓流解禁と犯罪者
この日を楽しみにしていたのは勿論、私だけではないのである
朝の9時過ぎに目的の渓に到着したところで有望な入渓地点には車、車、車…
入渓できない…当たり前だ
中にはうっすらとボンネットに霜が降りている車も
前日から現地で解禁を待たれていたのであろう
大の大人が恋いこがれ、待ち焦がれた渓流シーズンの開幕だ



最初のポイントは宮崎県の椎葉村
ここのヤマメは喉を潤すことの出来るほど美しい清流に磨かれ、溜息が出るほどに美しい
だから今年最初の釣りは昨年からここと決めていた

釣り方は勿論、ルアーフィッシング
餌釣りには到底太刀打ちできない
しかし私は漁師ではないので1匹、1匹の魚との出会いを大切にしたい
だから私は1匹との出会いがより難しく、難しいが故に釣った時の感動が大きいルアーフィッシングをあえて選ぶ
釣れた≠ナはなく釣った≠サう強く感じられるのもルアーフィッシングの魅力
渓流のルアーにはスプーン、スピンナー等があるが、私はミノーしか使用しない
何故ならスプーンやスピンナーで釣った渓魚とミノーで釣った渓魚とでは感動の大きさが違うのだ
渓魚を騙して釣った≠ニ感じられるのはミノーなのだ
スプーンやスピンナーより高度なテクニックが必要な分、それだけ釣った時の感動が大きいのだ
わざと難しい釣り方で1匹との関わり合いを深くする
これぞルアーフィッシングの醍醐味ではなかろうか?

さてさて本題に戻ろう…
入渓地点を捜すこと約1時間、胸を躍らせ渓を駆け下りる
しかし河原には先釣者の足跡が…
引き返して違うポイントを捜そうかとも思ったのだが少しだけロッドを振ってみることにした
ルアーをここぞというポイントにプレゼンテーション
ラインスラッグを素早く巻き取り、流れの中を蝶がヒラヒラと舞うようにトウィッチでミノーを踊らせると…



小さいが今年最初のヤマメにしばしうっとり

その後もポツポツと同サイズが釣れるのだが思い切って阿蘇の川に場所移動することにした
サイズ的にそれほど大きくはないが、昼の2時近くだというのにポイント毎に魚に出会える
実に楽しい!



ルアーを見せて、追わせて釣った価値ある一匹

釣り上がっていると目の前に堰堤が見えた
『ここを最後に今日の釣りは終わりにしよう』
下流側から落ち込みの泡立ちの中へ何度も何度もミノーを打ち込むが反応無し…
『ここに魚が居ない筈がないだろう』
ルアーをD−CONTACT50mmからRigge56sに交換し、今度は堰堤の際に陣取る
堰堤の際にミノーをプレゼンテーションし、堰堤と平行にリトリーブ
そして三度目のトウィッチの時にゴン!
ん!?根掛かりか?と思った瞬間ゴゴゴゴゴッ!っと凄まじい手応え
慌ててアワセを入れる
岩に潜り込まれないように必至にロッドを立てて魚の頭をこちらへ向かせようとするのだがビクともしない
ロッドは『し』の字を描き限界ギリギリだ
だからといってドラグを緩めれば魚は頭を岩の隙間に突っ込み二度と出てこないだろう
今までに体験したことのない力強い引きに超大物を確信
魚の走りに必至に耐え『絶対に逃がしたくない!』と、もう一度アワセを入れたその瞬間…シュン…
ラインブレイク…
うなだれて流に目をやるとアワセを入れた時の衝撃でパニック状態になっているのか、
はたまた口元の異物(ミノー)を外そうとしてか水中で激しく体をグルグルとよじる大ヤマメの姿が!
それは川底から次第に水面にまで浮き上がり、バタバタと音を立て暴れ出した
デカイ…
今まで見たことのない程の大物だ
40pは軽く超えている…
そして大ヤマメはしばらくの間、水面を叩き、そしてゆっくりと川底へと消えていった
あぁ…
気がつくと私はしばらくの間、堰堤の上を意味もなく行ったり来たりしていた
気を落ち着かせようと深く、深く、深呼吸

残念だ…
あの大ヤマメをレコード出来なかったこと
それから大ヤマメの口元にぶら下がったミノーを外してあげ、また流れへと帰してあげれなかったこと…
残念でならない
その夜、私はミノーを噛んだまま川底に体を横に倒し、うつろな目で僅かにエラを動かしている大ヤマメの夢を見た



これもまたヤマメ釣りの楽しみの一部

翌朝8時起床
帰り支度を済ませロッジをあとにしたのは10時
予定では川辺川水系を釣り上がる予定だったのだが、向かった先は昨日の大ヤマメの川
『犯罪者は必ず現場へ戻る』
それと似たような心理状態なのだろうか?あの川のあの堰堤に行きたい!
その気持ちを抑えることが出来なかった
堰堤までの途中のポイントは全て無視
一目散にあの堰堤を目指す
川底に大ヤマメの姿はなく、キャストしてみると、すぐに若いヤマメが釣れた
それは大ヤマメの死を意味するのかも知れない…



私はまたこの川にすぐに戻って来ることだろう
釣り人は一度大物をヒットさせると必ずその場所へ戻る
犯罪者のようにだ


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