「精神障がい者は、今の社会を新しく変えて行く存在である!」          

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平成26年度宮崎県協働による未来みやざき創造公募型事業

「344名のアンケートデータのレポート」

宮崎県立看護大:福浦 善友助教


「宮崎県における精神障がいを抱える方の就労及び地域生活に
関するアンケート」レポート

宮崎県立看護大学 福浦 善友

 私は現在大学の教員として働いているが、一看護師としてアンケート結果を拝見したときの率直な感想や意見を述べようと思う。

 まずは、当事者の方が中心となって今回のアンケート調査を行ったことに意味があると考える。ピアという概念が徐々に定着しつつある昨今であるが、精神障がい者の方と直接関わることの少ない人たちにとっては、まだまだ「危険、怖い」といった根強い偏見があるように感じる。このことは、精神障がい者の就労や社会参加に対して大きく影響する要因である。よって今回のアンケート調査は、就労に関する思いを当事者の立場から世に問いかけようとすることに意味があると感じた。

私は看護師という立場でこの結果を見たときに、実は心が痛む思いが医療者側と当事者側との両方に感じた。一意見なので「そういう考え方もあるんだな」くらいに留めておいてほしいと思う。

まず、医療者側に対してであるが、「利用している病院・施設・サービスなどで困っていることはありますか?」という設問に対し、「病気・障害を理解していない言動をされる」「言葉の暴力がある」「話を聞いてくれない」「自分の治療について自分で決められない」という回答が大きく占めていた。自由記述にも、同じような意見が集約されていた。専門職者は、この結果を真摯に受け止める必要があると思った。私は看護師として、本来病院や施設は回復を促す場であり、当事者の社会参加や社会参入のための訓練の場とならなければいけないと考えている。セルフケアという概念は、選択や自己決定などがすでに内包されており、日々この概念を用いる看護師は、当然当事者の思いに耳を傾けることが前提となる。つまり、社会参加・社会参入において鍵となる概念が明らかにされているにもかかわらず、「話を聞いてくれない」や「言葉の暴力」はそれ以前の話になる。やはり看護師として思うのは、当事者と一緒に会話を交わしながら、これから流れていく生活(こころ、からだ、社会関係の絡み合い)を一緒に悩み考えることに、専門職としての生業がある。よって、当事者のこころの様子がもっと豊かに働かせられるような看護ケアを考えていく必要があるように思う。

そして病名についてであるが、当事者個々が病気をどのように受け止めているのかがとても気になった。自由記述で、病名に納得していないような方がいたことが印象に残った。大切なのは、当事者が働くときに、自分がどういう難しさを抱えているのかをよく理解して、それをどう乗り越えようとするかだと考えるが、そのような理解の促進ができていないことが問題を大きくしているのではないだろうかと思った。つまり、病気によって当事者の抱える困難さに違いがあり、また個人の特徴もそこに重なってくるので、当事者の生活や就労を支援するには、個別な対応が求められるのではないかと思った。看護師を始めとする医療者は、社会で通用するような、当事者の個別的なストレングス(強み)やレジリエンス(弾力性)などを強化する関わりを、さらに意識しなければならないと考える。

次に、当事者側に対する思いを述べる。「精神障害に関することで、疑問や不満、嫌だったこと」という自由記述の結果があり、社会に対する不満を抱えながら生活しているんだなと思った。私がこの記述を見たときに思ったこととして、実は、障害と診断されていなくても社会で生活している人間は誰もが困り、誰もが不満や不安を感じながら日々過ごしている、ということである。社会で生きるということは、その人なりの働きで、その人なりに仕事と家庭の二重構造を一生懸命生きるということではないだろうかと考える。もし、当事者の方がそれを「精神障害をもっているから」と捉えてしまっているのであるならば、自分たち自身で壁を作りかねないのではないかと考えた。いわゆる、セルフスティグマ(自己の社会的烙印)というものである。もちろん、病気によって社会生活・家庭生活の難しさが大きいということはあるかもしれないが、一般社会のあり方をもっと当事者側も学ぼうということも必要なのかもしれない。人間はどうしても他者と比べてしまい、社会の良いところや悪いところが目につきやすいものである。「自分は障害をもっているから・・・」と捉えてしまうのは、いささか自分の価値を下げてしまうのではないかと感じた。しかし、精神障がいをオープンにして働きたいという人は多いと感じたので、本当に周りの人達への啓蒙は必要であり、障害をもつ人ともたない人が共に生きていける環境を作っていくことが重要になってくると考える。

病気によって個の性質が違ってくるので、精神障害を全部一括りにして見てしまうと何が困難なのか見えにくくしてしまうと思う。周囲の人達が病気や障害のことをわからないために、適切な対応ができていないのではないかと思う。理想としては、思春期の中学生くらいから精神の障害についての学習があったら、少しずつ変わっていくのかもしれないと考える。

最後に、これまで心が痛むようなことを述べてきたが、それ以上に「夢、挑戦したいことなど」の記述の内容に力強さと看護(支援)する手がかりを得たように感じた。仕事への挑戦、結婚への夢、親子関係の安定や修復、趣味の獲得や発展など、誰もが一度は思い描く内容が書かれてあった。私は、夢や希望を言葉や文字で表現するということが最も自己実現を導いてくれるものだと信じているので、障害を持っていても持っていなくても、もっと夢や希望を他者に伝えるべきだと思う。こころの中で唱えることも大切であるが、もっと声を大にして夢や希望を語ってほしいし、それを応援するのが看護師(医療者)の使命であると理解していただけたらと思う。


   
 
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