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【統合失調症】 

1.統合失調症とはどのような病気?

 脳の働きの障がいにより、現実の捉え方にゆがみを生じ、その人らしい考え方や物事の判断や感情のコントロールが困難になり、その人らしい人間関係を保つことができなくなる病気です。

 × 遺伝が全て   × 本人の性格   × 親の育て方    神経伝達物質の異常

    

統合失調症の原因は1つだけではありませんいろんな要素が複雑に絡み合って発症します。人は生まれつきにしてストレスに強い人と弱い人がいます。統合失調症はストレスに弱い人がその「もろさ」の限界を超えたときに発症すると考えられています。決して家庭環境に問題があるとかその人の育て方が間違っていたということではありません。統合失調症になりやすい素因が引き継がれていると考えられている病気です。        

かつては「治らない病気」とか「特別な病気」と考える人が多かったのですが、病気や治療の研究が進んだ現在では、「治療可能な脳の病気」と考えられるように なりました。早期に専門医の治療を受けると、多くの患者さんは自立した社会生活を送ることができます。

患者さんの20〜30%は社会生活に支障のない程度まで回復しています。さらに軽度の症状が残りながらも、ほとんど発症前と同じような生活ができている人を含むと患者さんの3/4は良好な状態で回復しています。

★ 精神分裂病と統合失調症の違いは?

 精神が分裂する病気ではないので、誤解が生じやすく、偏見や差別が生まれやすいことから名称は変更されました。病気の実際に合わせる必要があったのですが、昔の精神分裂病の考え方と実際の精神分裂病(統合失調症)の考え方とは表1のような違いがありました。

表:1 日本精神神経学会による「疾病概念の比較」より

精神分裂病 1937

統合失調症 2002

疾病概念

一疾患単位
(早発性認知症が中核)

特有の症状群
(多くの因子が関与)

指標 

脳の発症詭弱性で規定

臨床症状群で規定

疾病と人格

不可分  

別の次元

原因 

不明 

神経伝達系の異常
成因には異種性が存在している

重症度

重症

軽症化

予後

不良

過半数が回復

病名告知/心理教育

困難

容易

治療

主に薬物療法 

薬物療法と心理社会療法 

2.なぜ病気になるのでしょうか?

生まれながらの素因

ストレスに対するもろさ
神経の過敏さ

 

 

心理・社会的な要因

日常生活のストレス
その人の生活環境

 

脳内神経伝達物質の異常

 

なぜ神経伝達物質の異常が起こるのかは分かっていません。

病気
                

3.統合失調症にかかりやすいのはどんな人?                                 

 100人〜120人に1人がなる病気ですから、最も多い精神病の1つです。発病年齢では14歳〜35歳の人に多く、遺伝的には一卵性双生児の場合、1人が発病するともう1人も発病する可能性は約30%といわれています。気質的には、非社交的で無口・内気で控えめ・堅苦しい・敏感で繊細・善良で温和・無頓着で鈍感・激昂しやすい・変人などがあげられます。    

4.どんな症状があるのでしょうか?

 多彩な症状がみられますが、陰性症状と陽性症状に分けられます。例を挙げると次のようなものがあります。

 ● 陽性症状―急性期や再発時に見られます。 

   幻覚>実際にはないものが見えたり聞こえたりします。 

   妄想>実際にはないことを信じ込み訂正ができません。 

   思考の混乱>ものごとを正確に判断したり理解したりできません。

   感情の不安定さ>興奮や攻撃,衝動的行為,強い焦燥感などがみられます。

   病識欠如>自分が病気だとは思いません。変なのは他の人達だという考えをもつこ
   とが多いです。

 ● 陰性症状―消耗期や回復期と慢性期に見られます。

   感情の低下>周囲に無関心になり、喜怒哀楽の感情が乏しくなります。

   意欲の低下>注意力や集中力が無くなり、物事をするのに長続きしなくなります。

   思考・行動・会話の貧困>他者との関係を維持する力が低下し、社会的引きこもり
   がみられます。

5.病状の経過は?  

6.治療について

 薬物療法を中心に、症状の回復程度に合わせて、精神療法リハビリテーション療法が行われます。

<薬物療法>    
       
主な作用  

            ● 幻覚や妄想などの陽性症状を改善する。

          興奮状態を抑えて、精神的な沈静化をする。

          感情や意欲の低下などの陰性症状を改善する。

        主な副作用

          錐体外路症状:眼球上転,手指のふるえ,足がムズムズ感など

          自律神経症状:口の渇き,便秘,低血圧など

          その他:高血糖,体重増加,月経不順など

    

従来の治療薬

新しい治療薬

脳内神経伝達物質のドパミンの伝達異常に作用する

主に陽性症状を改善

脳内神経伝達物質のドパミン やセロトニン,ノルアドレナリンなどの伝達異常に作用する

陽性症状と陰性症状を改善

新しい治療薬の特徴

● 副作用が起こりにくい
● 病気が安定して再発が少なくなる

                                  

<精神療法>  

医師と面接することにより、患者さんは自分の病気に対する理解を深めることができます。

治療者(医師)

患者さんの不安や悩み事を聴いて共に考える。
患者さんに安心感を与える。
患者さんの病気や治療法や対処法などを説明する。

 

 

患者さん

話すことで不安は軽減する。
安心感を得る。
対処法や治療法を聞いて安定できる。

精神療法は個人療法と集団療法に分けることがあります。患者さんだけが対象ではなく、ご家族を対象とした「家族精神療法」もあります。

<リハビリテーション療法>

 対人関係やストレス対処法,あるいは薬や病気との上手な付き合い方を学び、社会生活の適応力を回復することを目的としています。

消耗期〜回復期前期
 あまり無理すると逆効果になる時期です。後述する「作業療法・レクリェーション療法」も行いますが、対人関係の負担を考えて個人で好きな音楽を聞くとか、少人数で短時間の軽い作業を行います。

回復期後期
 回復の程度に合わせて、少しずつ刺激を増やしていきます。グループでの活動での対人関係のトレーニングも含んだプログラムで、社会生活への自信を回復するようにします。

〜作業療法・レクリェーション療法〜

 <目指すこと>

    趣味や軽作業を行うことで集中力や創造力を回復します。

    現実との接触をすることで病的体験(妄想や幻覚など)から外への関心を高めます

    達成感を得ることで自信を回復する機会にします。

 <プログラムの内容(例)>

    作業療法士の指導や援助のもとに行われます。

    活動の種類は患者さんの状態や希望に合わせて選ばれます。

    1日2時間程度の無理のないプログラムが工夫されます。

レクリェーションの種類(例)

1)スポーツ:バレーボール,ゲートボール,卓球,サッカー,ソフトボール,野球

2)ゲーム :トランプ,囲碁,オセロ,マージャン,将棋

3)ダンス :盆踊り,フォークダンス,社交ダンス,エアロビスク,ヨガ

4)音楽活動:コーラス,音楽鑑賞,カラオケ,楽器の演奏

5)芸術作品:絵画,七宝焼き,木工,竹細工,織物,刺子,編み物

6)野外活動:ハイキング,キャンプ,園芸,オリエンテーリング

7)文芸活動:読書,俳句,詩作,新聞づくり,DVD鑑賞

8)奉仕活動:福祉施設での活動,道路清掃,道路端の花壇の手入れ

9)稽古事 :茶道,華道,習字,舞踊

10)年間行事:新年会,ひな祭り,お花見,七夕祭り,盆踊り,運動会,芸術祭,クリスマス

上記のように特別なものではありません。グループでないとできないものもありますが、個人でできるものもたくさんあります。

作業療法の考え方には大きく分けると、精神療法を目的とするものと、リハビリテーションを目的にするもの2つがあります。

〜デイケア〜

 <目指すこと>

    定期的に通所して生活リズムを整えます。

    仲間との交流を通じて対人関係のあり方を回復します。

    患者さんたちの日中の居場所になりますが、同時に仲間づくりの場所にもなります。

 <プログラムの内容(例)>

    種類は作業療法と同じで幅広く取り入られています。

    1日6時間、週3〜5回程度行われますが、患者さんの状態や希望に合わせて行わ
    れます。

病院デイケアは退院後の治療の一環として行われ、市町村デイケアは社会生活を支えることを目的にしています。

〜生活技能訓練(SST)〜

 病棟で行われていることもあり、デイケアや作業療法など社会復帰諸施設でも行われます。精神療法として臨床心理士が行うこともあります。グループで実社会での具体的な場面を想定してロールプレイで訓練します。

 <目指すこと>

  対人関係やコミュニケーション能力など社会で生活するための技能を回復します。

 <プログラムの内容(例)>

    人に会ったら会釈できる         うまく挨拶ができる

    嫌なことを断ることができる       銀行で振込み手続きができる

グループでお互いの良いところを見つけあい、賞賛することで全員が自信を回復できるように活動します。

〜その他〜

 外泊・外出もリハビリテーションの一環です。また、自立支援法の諸施設もリハビリテーション施設です。   

精神科の特徴は、リハビリテーションを通して「障がい受容」できれば一応の治療の終わるという考え方があります。

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