with Nikon F6








 ■ ズーム対単焦点〜その1


 これも古くさい議論だが、今はズーム主流になってしまっているようだ。

 だが、私は単焦点派だ。これは、最初に自分で買ったニコンF70に付いていた、35〜80mmズームの歪曲収差があまりにもひどかったことにはじまる。このレンズの35mm域の樽型歪曲収差は、電柱が弓のようになるほどだった。その時は右も左もわからない初心者で、いったいどうしてこんな写真になるのか色々調べて、単焦点ならこうならないということを知り、単焦点レンズを購入するようになったという次第。

1.単焦点レンズはバックがぼける。

 当時は建築物の写真を多く撮っていたので、単焦点がベストだったのだが、子供写真という点からも単焦点の方が有利だと思う。まず第1に、ほとんどのズームレンズは、あまりバックがぼけない(特に標準ズームやコンパクトデジカメ)。ぼけないレンズを使っていると、だいたいいつも代わり映えしない写真になってしまい、やがて写真に飽きる。自分の周囲でも、子供を撮るために一眼レフを買ってもそのうち撮らなくなる人が大勢いて、そういう人はたいていダブルズームキットしか持っていないという傾向がある。一眼レフならレンズを替えれば多種多様な写真が撮れるのに、もったいないことだ。

2.単焦点レンズは暗い場所(室内)に強い。

 第2は明るさの点。ズームレンズだと良くてF2.8だが、これでは室内ノーストロボ撮影をしようとすると、ISO800位の感度が必要になる。フィルムだとISO800はかなり割高だ。単焦点のF1.4やF2なら、ISO400で写せる。

3.ズームレンズは真っ直ぐなものが曲がって写る(歪曲収差)。

 デジカメだと撮影中にISO感度を上げられるし、自分はストロボを使うから暗いズームでもいいという人もいるだろう。だが、子供写真は室内で撮ることが多いという点を忘れてはならない。ズームで撮ると、たいてい家の柱が歪曲収差で曲がって写るのだ。子供に「お父さん(お母さん)、この写真なんだか変だよ」と言われて、返す言葉がない。「カメラで撮ると、みんなこうなるんだ」などと答えたりしたら、子供は写真嫌いになるだろう。子供は、写真と実物との違いに敏感だ。できるだけ、見た通りに映るレンズを使って写真を撮ってあげたい。

 下がズームレンズの歪曲収差の実例。縦の柱がたわんでいる。柱が曲がるだけで、一気にリアリティがない写真になってしまう。実物はもちろんまっすぐ。

Nikon F6/タムロン17-35mmF2.8-4(17mm)/Pモード(1/100秒、F4.5)/ISO400

 なお、Adobe Photoshop CS2などのレタッチソフトを使うと、下のように歪曲収差を修正し、柱をまっすぐにできる。
Photoshop CS2で修正後
 とはいえレタッチソフトで加工すると、どうしても画像が荒れてしまう(特に四隅)。やはり、最初からまっすぐに撮れる単焦点レンズは偉大だ。

 ところで最近のコンパクトデジカメは、カメラが自動で歪曲収差を補正してくれる機種が多い。ニコンのCOOLPIXのように、正面からこの機能を売りにしているものもある。レンズでは補正しきれないからソフトウェアで対処するというのははっきり言って姑息だが、コンデジユーザーが歪曲のないスッキリした画像を得られるのは良いことだ。しかし、そういったコンデジユーザーがデジタル一眼レフにステップアップすると、デジタル一眼レフ用普及品ズームの歪曲の大きさにがっかりするはずだ。せっかく高い一眼レフを買ったのに何だということになる。

 従って、いずれはデジタル一眼レフでも、ソフトウェア的な歪曲補正が主流になるかもしれない(ニコンD5000、Pentax K-7)。だが、そうなるとレンズ設計技術が退化して、光学メーカーの存在意義が問われる事態になる。デジタルは便利だが、光学メーカーの技術をむしばむ麻薬のようなものと言えよう。世界に冠たる日本の光学メーカーが、デジタルによって衰退するのかはまだわからないが、ユーザーとしては、デジタル的ごまかしのきかないフィルムでレンズを使って、レンズ自体の問題点をしっかり把握することが大事だと思う。

ズーム対単焦点〜その2
レンズの収差とは?

(2009.11.29加筆)