Viva Nikon binoculars!

双眼鏡カタログの読み方

双眼鏡の世界には独特の用語があって、カタログを読んでも普通の人にはわかりにくいです。このページでは、双眼鏡選びに知っておくと役に立つ用語を説明します。

形式

ポロ式:古典的な双眼鏡の形。ダハ式より割安なことが多いが、かさばるのが難点。ただ、レンズとレンズの間が広い分、ダハ式より対象がごくわずかながら立体的に見える。コンパクト型双眼鏡では、対物レンズを内側に持ってきた逆ポロ式が多いが、立体感は正ポロ式より落ちる。右の写真は、逆ポロ式の例(PENTAX・パピリオ)。

ダハ式:ポロ式より割高(同じ性能なら2倍の価格になると言われる)だが、スマートでかさばらないため、最近の店頭ではこちらが主流。私の所有機もほとんどすべてダハ式だ。

ガリレオ式:プリズムを使わない原始的な双眼鏡の形。上のポロ式やダハ式に比べて性能があまりでないので、今ではおもちゃの双眼鏡やオペラグラスにしか使われないが、中には比較的性能の高い製品(ワイドビノなど)もある。


内部構造の違いによる形式とは異なりますが、商品としては次のような型もあります。

1.フラット型:薄くして胸ポケットにも入るようにした双眼鏡。眼幅を合わせるときに、折り曲げるのでなく横に引き延ばすのが特徴。ビクセンのHFシリーズ(左)とケンコー・6x16SG、8x18SG、ペンタックス・フラビーノ(廃盤)がある。ビクセンのHFは普通の双眼鏡と同じ円形の視野だが、その他の製品は視野の上下が切られて長方形になっている点が違う。

2.ズーム型:双眼鏡の場合、ズーム型はあまりおすすめできない。詳細はこちらのページ参照。



倍率

  • 低倍率(4〜6倍):観劇や博物館、美術館など、室内の対象や比較的近距離の対象を見るときに向いている倍率。
  • 標準倍率(7〜10倍):最近の店頭では、8倍と10倍の機種が多い。8倍はだいたいの用途につぶしがきくから、1台だけ持つなら8倍だろう。スポーツ観戦やスタジアムでのコンサートなら、10倍でもよい。
  • 高倍率(12倍以上):監視、天体観測など、やや特殊用途向き。手ぶれ対策が必要だ。なお20倍以上になると、双眼鏡よりフィールドスコープや天体望遠鏡の方が性能で勝る。倍率を求めるなら望遠鏡、双眼鏡はほどほどの倍率で視界が広い方が使いやすいというのが、いろいろ双眼鏡を入手してみた私の実感だ。

双眼鏡の倍率とカメラレンズの焦点距離の関係は、大まかにいうと次の通りです。

焦点距離=双眼鏡倍率×50÷カメラのファインダー倍率

ニコンF6だと、8倍の双眼鏡では8×50÷0.74≒540mmになり、540mmぐらいの超望遠レンズをつけたときに8倍の双眼鏡と同じ大きさでファインダーの中に鳥などの主要被写体が見えるということになります(なお、視界は双眼鏡の方が断然広いです)。
ファインダー倍率はカメラによって異なりますので、ご自分のカメラに合わせて計算してください。



口径  車で言えば排気量に相当するような、双眼鏡の重要な選択基準。

  • 小口径(10〜20mm台):口径10mm台、20mm台は、店頭で一番多く並んでいる。旅行用など、とにかくコンパクトさを重視する人向け。
  • 中口径(30mm台):本格的な双眼鏡はここから。小口径に比べてぐっと視界が広く、かつ明るくなる。舞台が暗いオペラやバレエの観劇にも向くが、欧米ではこのサイズはどちらかというと女子供向けという位置づけらしく、外国市場重視のニコンでも30mm台の機種が少なくなっている。
  • 準大口径(40mm台):バードウォッチングにも天体観測にも使える、汎用性を重視した口径。欧米ではこのサイズが主流。
  • 大口径(50mm以上):天体観測などの特殊用途向き。重い機種が多いので注意。

ひとみ径(射出瞳径)=口径÷倍率

口径から入った光をどれだけ有効に使えるかを表し、車で言えば燃費に相当する。夜間監視など暗いところで使うのなら、ひとみ径が大きいものがいい。ひとみ径7mm(7x50、10x70などの双眼鏡)が最大で、天体観測のスタンダードだったが、都会では光害のためむしろひとみ径4mm(10x42など)の方が星がよく見える。現在では、ひとみ径7mmは夜間監視用と考える方が良いだろう。

cf. 明るさ=(ひとみ径)  これもカタログに記載されていることが多い。ひとみ径より差が強調されるから、明るさの違いがわかりやすい。



実視界

双眼鏡で一度に見える範囲。これが広いほど使いやすい双眼鏡になるので、非常に重要な選択基準。一般的に倍率が低いほど広くなるが、優秀な双眼鏡は倍率が高くても実視界が広い(ニコン8x32HGLなど)。コンパクト型は、実視界が狭いものが多いのが弱点だ。なお、外国製品は実視界を角度でなく1000m視界で表記しているものが多いが、角度との換算表はこちら。



見かけ視界=実視界×倍率

倍率をかけてしまうから、高倍率の双眼鏡ばかりが有利になってしまい、参考にならない。実視界の方がはるかに重要。
 なお最近のニコン製品は、JIS規格にそった見かけ視界の表示をしている。
計算式:tan(見かけ視界/2)=倍率×tan(実視界/2)
ますます一般消費者の判断基準にならなくなっている。



アイレリーフ

のぞいたときに一番よく見える目の位置。眼鏡使用なら、15mm以上がベターだ。もっとも眼鏡は千差万別なので、15mm以下でも人によっては使える場合もある。眼鏡ユーザーは、店頭の実機を覗いて使い勝手を確認することをおすすめする。双眼鏡は肉眼と併用して使うもの。いちいち眼鏡を外さないと使えない双眼鏡では、ありがたみはない。



最短合焦距離

ピントの合う最短距離。これが短いほど、汎用性が高い便利な双眼鏡と言える。3m以下なら、非常に優秀な双眼鏡だ。なお、博物館・美術館で使うなら、1m以下までピントが合う方が良い。



見口

ゴム見口:ポロ型に多い。眼鏡をかけて使うときには折り返す必要あり。また、三脚に付けて星見に使う場合は、裸眼でも見口を折り返した方が見やすいと思う。

スライド見口:回転させるだけで伸縮ができるので、ゴム見口より圧倒的に便利。さらに、途中にクリックストップが設けられていることが多いから、自分の一番見やすい位置に微調整することが可能。ゴム見口より断然優れていると言えよう。特に眼鏡使用者には、こちらをおすすめする。ダハ型に多い。


防水性

防水機能は、雨に降られたときだけでなく保管中にカビるのを押さえることができるからあった方が良いと思うが、防水になるとどうしても重くなる。旅行用や観劇用の双眼鏡なら、軽さを重視してあえて非防水の物を選ぶという選択もありだ。



CF、IF  ピント合わせ

  • CF(Center Focus):中心のピントリング1個でピントを合わせる。現在の主流。
  • IF(Individual Focus):片目ずつピントを合わせる。天文・海事など特殊用途。左右をいつも同じに合わせるのが難しく、頭痛になりやすい。初心者には不向きだ。

視度調整

視度補正リングほとんどの双眼鏡(CF方式)では、ユーザーの左右の視力の差に合わせるために、視度調整リングが右側の接眼レンズに付いている。視度調整のやり方については、こちらのページを参照のこと。
 視度調整は一度やったら、できるだけ変えないようにしたいもの。自分の調節位置を目盛り(左の写真)で覚えておくと良いだろう。なお、ちょっと気の利いた双眼鏡では、視度調整リングにロック機構が付いているから、店頭で確認するといい。



眼幅調整

たいていの人は、双眼鏡を両目で見るために眼幅調整が必要になる。調整する仕組みとしては、双眼鏡を真ん中で折り曲げる(左)のが一般的だが、最近のコンパクト双眼鏡の中には、二カ所で折れ曲がる仕組み(右。2軸折りたたみ)をとっているものも結構多い。2軸折りたたみは眼幅を合わせるのに少し手間取るが、折りたたんだときによりコンパクトになるということと、小さい子供でも比較的眼幅を合わせやすい点がメリットだ。



Bak4、BK7  プリズム材質

メーカーによっては、プリズムの材質を明らかにしているところもある。その場合は、必ずBak4を使っている物を選ぶ。格安品はBK7を使っていることが多いが、性能に大きな差がある。



レンズのコーティング

双眼鏡のカタログでは、レンズやプリズムの○○コーティング(○○コート)が麗々しくうたわれていることが多い。だが、私の経験では、コーティングについては参考程度に考えておけばいいと思う。双眼鏡には何枚もレンズが入っているから、一部のレンズのコーティングがどうこうより、全体としての完成度が重要だ。店頭で御自分が手にとって、見え味に納得することが大事。高級双眼鏡はコーティングも優れていることが多いが、それはあくまでも完成度が高いことの一端に過ぎない。