日向神タワー マルチルート開通       (2017.03-12)


◆福岡の一大クライミングエリア、日向神地区には自然の大伽藍を思わせる大岩壁が犇めいていて、それはもう古くから多くのクライマーによって開拓・整備が
続けられフリーのショートエリアから、マルチピッチを楽しめるエリアまで、様々なクライミングシーンを演出してきた。特に正面壁(現在ハート岩♥と呼ばれ観光名所に)
には、人工登攀華やかりし70年代後半から数々のマルチルート・・八女ルート、久留米ルート、鵬翔会ルートに、源蔵ルートに田川ルートなど、狂気の登攀家が
先を争うように開拓が進められて来た。さてこの日向神タワー(日向神開拓団の皆様により命名)であるが現在では、規模の大きな岩壁@びっくりフェイスはよく
知られているが、すぐ隣に突き刺さっているこのタワーの存在はこれまで一部の人々にしか知られていなかったようだ。おそらくその昔は、舗装路沿いに植えられてる
杉植林が今のように大きな大木に育っていなくて、麓からもっとよく見渡せたのかもしれません。昨年の晩秋、雨で登れないかもしれない・・と思いつつも諦めきれず
日向神に行ったものの案の定、岩場には浸み出しでズルズルで登れず、この日向神タワーの偵察に行ったのが始まりで、調査、試登、整備、剪定作業に大掃除にと
岳団彩雲のメンバーや鹿川庵の白河さんらと通う事、8回で短いながら2本のマルチルートを整備できました。


◆アプローチ
日向神エリア駐車場から、道端エリアの前を通り過ぎ、びっくりフェイス方向に≒3~4分進む。びっくりフェイスへの立派な取付き道が
出てくるので鋭角に左折~終点まで進むと左側に浅い谷を
渡ってトラバースしつつ右上。赤テープとフィックスロープに導かれ登り
上がると、
日向神タワー右端の末端岩壁に突き当たる。道なりに岩壁裾を左に進むと第2ルート取付き点で、更に10m奥に進めば
1ルート取付き広場に出る。

◆注意点
日向神タワー・メインフェイスはバージンフェイスでは無く、往年のクライマーが引いたルートが2~3本残っていて、錆びたリングピン
やボロボロのハーケンが見受けられる。今回はフリーに拘ったルート取りとはなっているが、往年のルートと一部交叉しながら
ルート整備した。かつては登られた痕跡はある物の、ここ数十年?はほぼ手つかずの状態であった事は間違い無く、出来るだけ
浮石の除去は行った物の、特にタワー中央部から上部の岩壁には脆い部分もまだあり、浮石、落石の恐れも充分にある為、
登攀にあたっては充分に注意の上、自己責任で登って下さい。




★<日向神タワー 第1ルート>★ 3ピッチ 77m 5.10c  (Oblg : 5.9)

*おそらく往年のクライマーが日向神タワーメインフェイスに引いたルートはこの第1ルートの付近に1本と、タワーの右端から登る1本ではないかと思われる。
取付き点に残っている古いハーケンと、松の木の成長につれて、はち切れてしまって、ほぼ土と同化しつつあるスリングが当時の様子を物語っていた。

■1ピッチ(5.10a : 30m) : 日向神タワー奥の第1ルート取付き点の広場で登攀具に身を固め取付き。最初の一歩が緊張するものの落ち着いてホールドを
探ればルートは拓け、その後は快適なフェイスをスプーンカットやら何やらを拾って快適なクライミングをエンジョイできる。


■2ピッチ (5.10c : 25m) : 出だしは段差のあるフェイスをガシガシ登り、壁が立って来た辺りからが核心。傾斜の強いフェイスを一段登って右に回り込み、
浅いジェードル部分を登り上がる。抜け口の甘いホールドは、初見ではかなりスリリング。当初初見では10d~11aでも良いか!?・・とも考えたがスタンス
もはっきりしてるのでこれぐらいか。


■3ピッチ (5.10a : 22m) :かかりの良いホールドを繋いで直上、問題なく頂上直下に出るが、直下ののっぺりとしたスラブは細かなカチを拾って繋ぎ
最後はカチ握りこみで登り上がると、頂上の終了点に抜ける。 下山は同ルートを懸垂下降~途中で一度きり直して取付き点へ。




★<日向神タワー 第2ルート>★ 4ピッチ 83m 5.11a  (Oblg : 5.10b)

*このルートの取る付き点は当初、低灌木、草付、苔に覆われていて岩肌が覆い隠されていた箇所を、下村、坂根により大規模な掃除を繰り返した所、
中々面白そうなフェイスが出てきた。周りの樹木の状況も変わっているようで陽の当たりも良好で、適度に登ってさえいればおそらくは自然に戻る事も
無いのでは・・と思われる。尚、この第2ルートの1ピッチ目はショートルートとしてルート名、アヤグモ(5.111a)としても登ってもらいたい。


■1ピッチ (5.11a : 18m)*彩雲* :当初、この1ピッチと2ピッチをリンクして整備していたが、曲面に引いたルートの為ザイルの流れが悪くコールも
通らないのと、下部と上部のグレードが大きく違う事から2ピッチに分割した。取付きは日向神タワー右側(広場の一段下)から取付き、何とも明確な
ホールドスタンスの少ないフェイスをじわじわ登る。中間テラスまでも緊張するが、核心はその上位、終了点間際はかなりスリリングなムーブを起こす。



■2ピッチ (5.8 : 15m) : 草付が除去された階段状のフェイスは乗り上がるようなムーブでぐんぐん登る。時折ヒヤリとするポーションもあるが
落ち着いて登れば問題なし。


■3ピッチ (5.10a : 25m) : 頭上に見えるハング地点まで直線的に登りハング下へ。ハングは左端から越えるが小さめのホールドを押さえ込み
ながら乗り越えるが、ちょっとスリリング。後は終了点まで階段状を登る。


■4ピッチ (5.10b : 25m) : 出だしは瞬間、左の段差にスタンス・ホールドを求めるが、この左側の箇所は浮石が多く、早めに正面から右よりの
フェイスに乗り移るのが良いが、細かなカチを数手繋ぐ事になる。一段乗越っしてテラスに出た後は、右よりに回り込みホールド豊かなフェイスを
直上すると終了点に達する。 下山は第1ルートを懸垂下降するのが良いが、第1ルートにクライマーが居る場合は、第2ルートを懸垂下降し、
3ピッチ目の終了点で、一旦切り返した方が無難だと思われる。60ⅿザイル 2本であれば2ピッチ目の終了点まで届くか。



整備日記※
偵察時はタワー裏側から登ってタワーのてっぺんに出たのだがその途中に、大人の足首~ふくらはぎ位はあろうか・・と思われる松の木の
根元に、古い錆さびのハーケンが打ってあった。松の木の立木は、大人がぶら下がっても充分に耐えうるほど丈夫な物で、この木にスリングを
巻きランナーとしたが・・・なぜこんな立派な木があるのにハーケン?? と想い巡らせていてハタと気が付いた! おそらくこのハーケンが
打たれた数十年前は、この松の木は細い指くらいの太さのブッシュで、ランナーを取る気にもなれなかったのでしょう。当時のクライマーと同じ
箇所を登っていて、何だか月日の流れを感じた次第です。









  




  




  



     ■日向神タワー 全貌  
     






■開拓整備時期 : 2016年11月20日~ 2017年3月12日
■メンバー : 磯辺、千々和、戸叶、下村、西垣、田坂、坂根、芳賀、大串、白河、勝野




















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