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少し前のことになりますが、出張のついでに、「home」という映画を見てきました。
この映画を撮り監督もした人のお兄さんが、7 年ほど前から家にひきこ もるようになり、ときに家族に暴力をふるうこともあり、父と弟(つま り監督自身)はそれから逃げるように家を出て別居し、残された母はう つ病を抱えるという状況のなか、映画学校で学ぶその弟が、カメラを片 手に実家に戻り、兄や母、父と少しずつ向き合うなかで、兄がひきこも りから外の世界に出るまでの映像を卒業制作として映画にした、ドキュ メンタリー作品です。
あまりいろいろ説明すると、たぶん作品のことをどこかでねじ曲げて、 間違って伝えてしまったり、陳腐に感じられたりするかもしれないので これ以上はふれませんが、さいきんいくつかの雑誌やテレビ番組でとり あげられているので、知っている方もいらっしゃるかもしれません。
東中野という、初めて行く場所にある、小さな映画館でした。
この日は、映画に出てきた、お兄さんと、弟さんのおふたりご本人が映
画館に来られて、かんたんに挨拶をされました。そのあと質疑応答の時
間になりました。
1時間近くだったでしょうか。会場のあちこちから手があがり、何人も
の人がマイクを持ち、話をし、前のおふたりがそれに答えられました。
自分もひきこもりの経験がある、という男の子、子どもが登校拒否だと
いうお父さん、胸が痛いという感想を語った若い女性、またいつか「そ
の後」の映画を作ってほしいと語る男性、など、など‥‥。
その一つひとつに、考えたり、戸惑ったりしながら、お二人が答えてく
ださいました。
終わった後も、たまたま隣どうしだった人が話をしたり、ロビーで待っ
ていてくださったおふたりに次々と質問や話をしたり、という光景が見
られました。
今日この映画を見るまで見ず知らずの人たちが集まっているわけですが
そこに何かひとつのあたたかな「場」が生まれたように感じました。
映画に出てくる光景は、ひきこもり、弟や母と口論やけんかになる兄と のやりとりや、兄を怖がって外にいなくなってしまったり何かあるとし くしくと泣き出してしまう母の姿など、ふつうでないものであったりす るのですが、私には、それは何か特殊なことがらではなく、誰にでも起 きること、自分にも起きえること、というか、遠いひとごとには思えま せんでした。
弟は、いったんは実家から、その状況から逃げ出してしまうのですが、 カメラを持ち、撮り続けることで、カメラを媒介として、弟は兄や家族 と向き合うことができたのだといいます。
兄は、ある日いきなり入ってきた弟が持っていたカメラのレンズが、人 間のように感じられて最初は怖く感じ、そういう自分の姿をカメラで撮 るとは何事かと思ったそうですが、弟が本気に自分に向きあおうとして いることに気づき、途中からカメラなど気にならなくなったそうです。
自分は、家族と、ほんとうに深いところの気持ちを、うれしいことも、
どろどろしたことも、みんなみんな、ぶっつけてきたんだろうか。
両親とはまあまあ仲よくやっていると思うし、それほど親不孝なことも
していないと思う。でもちょっとした波風がたったときに、どこかそれ
をやりすごしてしまっていたのではないか。真っ正面からそれに向き合
ってきたのだろうか、と。
映画を見終わって、自分の家族のこと、自分がやってきたことを、これ
までたってしまった時間の長さにいささか呆然とした気持ちになりなが
らも、会場の人たちの語ることを聞きながら、宿に帰りながら、しばら
くの間考え込んでいました。
でも、時々実家に帰って、顔を見せて、家でふつうの晩ご飯を食べ、テ レビを見たりお茶を飲んだりしながら他愛もない話をすること、できる ことが、当たり前のことであっても、それだけでも幸せなこととも言え るのではないか、とも思います。
もともと出不精でめんどくさがりな私が、自分から映画を見に行くのは とても久しぶりなことでした。あ、もしかしたら人にすすめられずに、 自分から見に行ったのは初めてかもしれません。
★映画「home」公式Webページ
http://www.mmjp.or.jp/BOX/home/
★BOX東中野
http://www.mmjp.or.jp/BOX/
★シネ・ヌーヴォ
http://terra.zone.ne.jp/cinenouveau/
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©てっちゃん 更新日: 2002-12-14