アトリエ
自由画魚家(じゆうがおか)雑記

子供の頃「ホラ吹き男爵の冒険」が愛読書だったumeo先生、今日も今日とてひねもすMacに向いて戯作者となり、心に映りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつくるなり。その虚実皮膜の様、あやしゅうこそものぐるほしけれ。

  • 40            
  • デザイナーとアーティスト
  • 若い女性
  • ギャラリー自由画魚家
  • I minor 博多の私
  • Macと若い女性
  • 博多少年
  • ガールフレンド1
  • ガールフレンド2
  • 巷の名言
  • オイシャン
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  • 赤ちゃん返り
  • い感化いな
  • 小林君の思い出                  
  • 嗚呼センターシネマ
  • 筑紫中央高校1
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  • 筑紫中央高校6
  • 筑紫中央高校7
  • 筑紫中央高校8
  • 博多のかあちゃん
  • 中山オケラ街道
  • 諸岡山とコガ・コーラ
  • 昨夜見た夢
  • 貧乏党さん、金持ち党さん
  • 「ととと」とモンチ
  • プサンハン流星群special
  • 少女偏・16歳の夏休み
  • 続少女編・泪のシベリア水


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    40  

    40歳になった。何故か心がはしゃいでいる。家人に「バカに嬉しそうじゃない」と云われヒッヒッヒッと鼻毛を抜きながら肩を揺すって見せたら、みっともないから立派な40になってくださいと指導された。20代よりも30代が断然楽しかった。40代はもっと面白くなる期待で一杯だ。よく青春時代に戻りたいなどと云う人がいるが、私にはとんでもない。学生時代、東京は下高井戸の家賃4000円の陽の当たらない3畳のアパートは近所から幽霊屋敷と忌み嫌われた代物で、元左翼活動家のアジトだったらしくたまに警察が見廻りに来た。そこには詩人や哲学科の学生、パチプロ、流し、あやしげな独居老人などが住んでいて陽が暮れると誰となく集まりコップ酒を片手によく議論した。アインシュタインの相対性理論からギャンブルの確率の問題、天文学から民族学、マヤ文明、昭和歌謡史、辻芸人、等々談論風発した。いずれもすごい知識人で、世の中にはいろんな人がいるのだなと知った。私も一端の芸術家気取りでARTや文化について彼等と渡り合った。それは私の生きた学校でもあり、得たものは美術学校の授業に匹敵するほど大きかった。美術と云う世間からも親からも煙たがられるようなものを勉強し、これから自分の人生はどうなるのかなと思うと不安と悩みで一杯だった。グラフィックデザイナーになったのは良かったが2年目で首になった。「君には才能がないから田舎に帰ったら」と云う理由だった。ボロボロに夢破れて福岡に帰り、給料5万の印刷屋の版下職人になった。22歳にして人生おしまいだと思った。しかし東京で才能がないと云われた言葉が私に火をつけた。もしあの一言がなかったらとっくに他の商売をしていただろう。そんな中で「東京を見返してやれ」と私を見込んでくれた師匠が一人いた。福岡は全体に大ざっぱで好い加減な許容があり、私の肌に合っていたのがよかった。30歳で福岡国体のマスコットが初めて全国公募の最優秀賞に決まった。その夜は師匠が祝酒をしてくれ、二人で涙涙だったのをしみじみ思い出す。私は福岡で芽が出たデザイナーと云ってよい。それからどうにか食えるようになったが、気がつけば福岡も見る見る都会になり、無国籍未来都市に迷い込んだ感さえある。今はデザイン専門学校で19、20の若衆に教えているが妙にクールで無機質だ。きれいだが匂いがない。思い返せば私も先輩からやかましく云われたことなのである。要するに自分が歳を食ったということだ。
    そこで、今の40歳とは何だろうと考えた。もはや戦後ではないと云う昭和31年に生まれた我が世代は2B弾で戦争ごっこをし、風呂敷マントでナショナルキッドのモッコリを演じ、ハリマオを播磨王と思い込み、1日10円のこづかいでためつすがめつネブリクジをし、渡辺のジュースのもと(エノケンがCMしていた)で舌を真っ赤に染め、「朝も早よから弁当箱下げて光るおやじのはげ頭」をスキーの曲で替え歌し、のりたまに入っていた8マンシールを宝物とし、7人の刑事の陰鬱なメロディーに子供ながらに裏社会を感じ、人工着色や甘味料を有難い物のように与えられ、ナイロン製の傘を見せびらかし、インド人もびっくりにびくりし、月光仮面が乗っていたバイクはカブで、吉展ちゃん事件に黒眼鏡(サングラスではない)の大人は皆泥棒と思い、給食にカンユが出て、運動会の前日、馬の糞を踏むと足が速くなると云う迷信を信じ母親に叩かれ、父親はミゼットやスクーターのラビットにしかつめらしく乗り、おじいさんから戦争の話を聞かされおまえ達はいい時代に生まれて幸だとたこができるくらい云われ、東京オリンピックで日本が金メダルを取ると戦争に勝ったみたいに泣いていた校長先生を見てもらい泣きし、力道山が殺されたのが理解できず、ポパイを見てホウレン草だけは食べながらウィーピーが食べている立ち食いのハンバーガーと云うものを初めて知り、学校はいつも旧校舎の最後の世代で、「浜のまさごは尽きるとも我泣き濡れて蟹とたわむる」と石川啄木と石川五右衛門を間違えたり、グループサウンズブームでジュリー派とショーケン派に分かれ、絵は写実的に描かないと先生の評価がもらえず、平凡パンチを友だちと回し読みし、女子はアタックNo.1で目に星を浮かべてべっとりとした友情を誓い合い、男子は巨人の星の如く目から炎を出すほど頑張ったり、学校から堂々と偏差値で差別され、「負うた子に瀬を教えられ」を「大タコに…」と思い込み8本の指でどうして教えられようと意見したり、メンクラでみんなアイビーボーイになり、バイクや車で高校通学し、オイルショックで未だにトイレットペーパーを買いだめしないと不安になったり、日教組が強かったので授業は殆どカットになり、男子はフォークの影響で髪を肩まで延ばし、ディズニーの腕時計をはめていきがったり、少し疲れたので今回はこの位にしておこうと云う40であった。


    デザイナーとアーティスト 

    新孔版画展は初出品でいきなり賞をいただきました。まさかと思いました。ルーキー初打席がホームランという感じでラッキーな年でした。なりわいとしているデザインの方では何度か最優秀賞を受賞していますがARTでは初で、記念すべき一発となりました。直接指導していただいた宗像先生、森本先生、辻先生、表彰式にお呼びくださり親切に応接してくださいました理想科学の皆様、人情篤い東京の会員の皆様、ありがとうございました。そして、審査員の先生方の現代美術に対する理解の深さにも敬意を表わさなくてはなりなせん。私の作品は一部の識者に支持者はいるものの地元福岡では評価されていません。「こげな絵はうちの3歳の子供でも描けるばい」と素人さんに嘲笑れたことがあります。正におっしゃる通りで、私は子供の絵をとても重要視しいています。伸び伸びとした感性、自由な形と色、意外な発想等、いつも子供の絵には刺激を受け、常に私の絵のヒントになっています。誰でも子供のころは自由に絵を描くのですが、次第に「うまい絵」を目指すようになり(教師も勧めた)手先の器用さで描くようになり、殆どが平凡な作品になるのです。思えば、クレーがカンディンスキーがピカソがどんな生き方をしどんな絵を描いたでしょうか、巨匠と呼ばれても彼等は子供のころの感性を老人になっても失わず、それを真面目に研究したのでした。
    私が幼少のころ習った絵の先生が素晴しいアーティストで、「子供の絵はそれだけで天才に値する」と云って子供の絵全てに満点をつけるような人で、子供はもっと外で遊べと絵の時間にサッカーをやらせたりしました。この先生のエスプリは私のART活動の基をなしています。だから小学校の絵の成績は並だったが大会では県知事賞をもらったのを覚えてます。以来私は抽象画を描き続けている。よく石膏デッサンが絵の基本だとしか詰めらしく云う人がいるが、私にはあまり重要なことではない。絵を描く「心」が何より大切で、結局絵や書は好き勝手に描けばいいのだと思っています。別に作品を造らなくても何かを表現しようとする人を私はアーティストと呼んでいます。私の回りにも、わがままなラーメン屋の大将や地面を彫刻しているんだと威張る土方のおっさんや物知りのこんにゃく屋さん等、皆立派な人生のアーティストだなと教えられます。
    普段はシンボルマーク、マスコットキャラクター、パッケージのデザインをしています。これが意外と一般に判ってもらえない所があり、尋ねられると即答に困る。96歳まで生きた祖父にはついにデザイナーそのものを最後まで理解してもらえず、考えた挙句私が看板屋みたいなものと説明すると、やっと合点がいった様子で「高い所に登るときは気をつけろ」と返って来た時には涙が出そうになりました。
    うちの夢魚の由来はとよく聞かれるのでお答えします。デザインの仕事とART活動に歪が生じて来たので本名と分けるようにしました。夢野久作や竹久夢二の夢の字と魚が好きというだけで深い意味はありません。デザイナーとアーティストは同類の如く見えます。アメリカなどではその境がなく面白いデザイナーがいますが、わが国では似て非なるものなのです。デザイナーは元から実利を目的とした商業活動です。だから当然、約束事や制約に縛られ、自分の思ったようにはさせてくれません。クライアントに気に入られなければお金がもらえないので、迎合し、屁理屈をこねてでも説得し、妥協と剽窃の末の産物で、作品は大量にメディアに流される。流れに浮かぶうたかたの如く、かつ消えかつ結びて元に止まりたるためしなし。そこはかとない無常感さえ漂い、あやしゅうこそものぐるほしけれである。しかし、デザインもディレクターやカメラマン、コピーライター、イラストレーターたちと知恵を出し合いながら紡いでいく共同作業は楽しいですね。皆素晴しい職人たちです。それに対し、私にとってART活動は人の意見など一切無視し、自身と対話する作業です。だから、私は自分のART作品を積極的に売ろうという気がないので、あえて高額な値段をつけています。逆に、評価していない他人の作品より自分のが安いというのは堪えられません。この事については因業な画商と喧嘩したことがありましたが譲りませんでした。実際絵が売れたことは一度もなく、友人には只で配っているのです。私が死んだらピカソみたいな値段になるから大事にしてくれよと渡すと、ためつすがめつ受け取ってくれたりするので嬉しい。男の心を汲んでくれる友人なのです。要するに私はビジュアル人間と云いますか、壁画や現代書道、最近はMac(パソコン)で新孔版画もやってますよ。九州デザイナー学院での教育ARTが4月からスタートします。詩人(アーティストと相性が良く、魅力的な人ばかりです。是非友人となられることをお勧めします)や音楽家とのコラボレーションも計画中です。また一方で、デュシャンが云ってた「私は仕事をせずに暮らしていけたのが幸です。私は働くよりも呼吸をしていたい」が頭からはなれません。フランス人、何かを判った人だ。のんびり行こう。


    若い女性 

    先日バス停で若い女性の後ろ姿につい見とれてしまい、バスに乗り遅れた。「私は、どんな鼻の高い美人より頭の良い淑女より、胸の豊かな色っぽい人より何よりも心の優しい女性が好きです」と人前で話したことがある。外よりも内側が大事だと云ったのだ。それがこのざまだ。「嘘つけ!」と云われそうである。堂々と聖人君子の如くしゃべった自分の姿が恥ずかしい。若い女性の外見に惑わされてるただのおっさんではないか。
    友人の個展を観に行き二人で談笑していたら、たまたま訪れた美しい若い女性客に喜々として今日は空が青いですねとか、趣味は何ですか等、高校2年生の初デートじゃあるまいし下らないことばかり我を忘れて話し込み、果ては「海には魚、人には夢、だから夢魚です」と意味不明なことを云いだし、受け狙いで「チーチーフグの嘘泣き」芸までやり、止めは、相手が煙たがっているのも知らずにいい気になって3人の子持ちなんですとどうしようもない余計なことまで云ってしまって終わり、空しく何の収穫もない話にあきれたように出て行く彼女を見送りながらドアに頭をぶつけてさすった時、うかつにも私の目的が友人だったのか女性だったのか判らなくなってしまった雰囲気に気がついたのでした。この何ら脈絡のないドジな男はいつも女性とは縁がない。友人は「俺も好きばってん、あんたも好きやねー」と笑って、男心は男でなけりゃ判るものかと許してくれた。男が若い女性を好きなのは自然じゃないか、若い男性を好きになったらどうするんだと最前のことは棚に上げ開き直り、もし私がすけべだったら世の男性は全てHと云うことになり、私は健全なおじさんなのだ。特にアーティストは美の探究者じゃないか(いばるな!)。しかし、世の中には笑っては許してくれない御仁がちゃんといらっしゃるのでした。さてその謎の怪人とは誰でしょう。以下にご紹介します。

    何かの集まりの席で私が「若い女性が好きです」と小学生のようにあまりにも素直に云ってしまった。これがいけなかった。ほのかに座が白けたようなニュアンス。ヤバイと思ったときは遅かった。かつての若かった女性の耳を忘れていたのだ。かつての方々は、「まあうちのさんたらホホホ」と笑いながらも眼光の奥に鈍く光るものがあった。それじゃあ私達は嫌いって訳?と云う熟女の心理は察しがつこう。にわかに互いの目で合図しあいながら落とし込み作戦は開始された。こうなればアリジゴクにはまったベンジョコウロギも同然である。その後案の定、彼女達の半端じゃないツレション長電話で私のうわさが流された。「うちのさんはロリコンよ」「まあーいやらしい」に始まり、援助交際してるらしい、毎日風俗通いしているらしいになり、かわかぶり、パンツかぶり、男妾、後家殺し、あることないこと云われ、とうとう「さねくりこかしちゃろうかね(やっつけろ)」になったらしく、友人を通して最終的に私の耳に入ってきたときには私はなぜかインキンタムシにされていたのでした。さすがに友人も気の毒そうに私を見たが、二人で涙がでるほど笑った後、二の句がでなかった。一時は名誉毀損で訴えようかとも思ったが、待てよ、確たる証拠があるわけではなく相手が相手だけに報復で今度はどんな深みに陥れられるか判らない。それにこんな事でムキになるほうがうわさが本当のように見えるではないか。さねくりこかされた後では遅い。さわらぬオバタリアンにたたりなし(時として少しさわらなくてはたたられる場合もある)である。避けて逃げていればいいのだが、また次の集まりの中で次のうわさ話になる頃、ふと後ろを向くと背後霊のように横顔が見え隠れするのだ。要するに逃れられない。「あーら、うちのさんお元気」の声にびっくりし背筋に寒気さえ覚える。軽く挨拶していなしておこうとするのだが、その程度では引き下がってはくれない。「うちのさんのキャラクター作品、いつもテレビCMで観てますのよ。すごい人気ですわね、うちの子供もすっかりCMソング覚えて家中でうるさいくらい歌ってますの、オッホホホホ、才能のある方ってうらやましいわ」。今度はほめごろしが始まった。くわばらくわばら。


    ギャラリー自由画魚家  

    ギャラリー自由画魚家とは、私の美術館である。美術館と云っても自宅の玄関回りに架けた、自作も含めた数点の作品のことである。自分で勝手に美術館と呼んでいるだけで、「何でこれが美術館なんだ」と云う人が殆どだが、自由に云わせておく。自分で美術館と思っていれば如何に小さかろうが、変わっていようが美術館なのだから、こちらも自由にさせてもらう。だから自由画魚家と名づけたのだ。わざわざ観に来る人もたまにいる。その殆どが若い芸術家で、デザイナーは勿論、詩人、美大生、彫刻家等、皆熱っぽく持論を語る。未来を見つめる若きチャレンジャーとの会話はスケールがでかく、希望に満ちて気持ちがいい。あるときは憂国の文化人となり、21世紀のわが国は世界に経済よりも文化で感動を与えられる国にならなければと衆議院予算委員会の場と化したり、また、誰もやって無い事をしなければと知恵をしぼり、リヤカーART部隊、記号ばらまき作戦、夢を売る店、事を売る店等、案が出た。彼等と話ししているとつられて若い血潮が蘇る。
    とにかくわが家を訪れた人は、必然的に入館者となる。一般の人が所謂「よく判らない」現代絵画を観て、その反応は様々で面白い。「良いですねこの絵」と素直に興味を示す人に、私は「貴方は子供のころの美術の成績が良かったでしょう」と質問をしてみる。すると、男女問わず10人が10人「ええ、すごく良かったです。よく賞をもらいました」、「美術だけは抜群でした」と返ってくる。この空間は美術の素養があるか否か、リトマス試験紙の役目もしている。興味が無い人は一瞥もしない。なにこの下手な絵とはきすてる人(家人たち)もいる。男性の殆どはやっぱり値段に興味があるらしく、売るつもりはないので、彼等の気持ちを満足させるためにそれなりの金額を答えると作品をしみじみ眺めて腕組みしながら唸り出す。実際は個展に行き、私がこれはと衝撃を受けた新進作家で、1〜4万円で買った。それでも私にとっては清水の舞台ものだった。貧乏アーティストに大金がどこにあろう。しかし、その作品の本当の価値は何倍になるか判らないと自信をもっています。今は若く、無名なだけなのです。作家は処女作に向かって成長すると云われます。作家にとって初期作品が如何に価値をもつかお判りでしょう。 古美術など、定まった作品の鑑定家はいるが、今の作品を鑑定できるのが本物の鑑定家なのだ。浮世絵然り、青木繁(福岡の久留米が誇る29歳で死んだ天才画家の最期はホームレス状態でした。けしけし山に埋めてくださいと云う遺書は涙ものです。何故県が市が守ってあげられなかったのでしょうか市民として残念でなりません)然り、棟方思考志功然り、宮沢賢治然り、数え上げればきりがありませんが皆後に評価されたのです。
    私は作品を造るのは当然好きだが、他人の作品を観るのも同じくらい好きだ。考えすぎて頭が酢になったり暇があると福岡市美術館や県立美術館、その周辺ギャラリー、天神界隈の画廊等にぶらりと出かける。新しい作品の刺激を求めているのだ。「なるほど、考えたな」と云う作品や自分の予想を裏切ったものを期待して行く。しかし、滅多にそんな作品にはお目にかかれない。年間に1.2度位だ。良い作品は光彩を放っていて、一目で判る。私が最も重視しているのはフォルムだ。リズム、バランス、が優れた斬新な作品も、フォルムに欠けたのは評価が落ちる。モンドリアンやポロック、クライン、ロスコ等良いのだがその点が指摘される。独自のフォルムを持ったクレー、ミロ、ピカソ、に比べると弱い。
    入口に架けてある絵を観て、鑑賞に値しないものはパスする。外で呼び込みをしてヒロヤマガタの類を売っているような所へは絶対入らない。その中には、俗人の欲求を満たしてくれる巧妙で綺麗なものが用意されているのです。詩で云えば中味のない感傷的な歌謡曲だ。銭湯の職人芸の富士の方がまだましだ。おまけに、売っている連中は美術の知識が無いかわり、ビジネスマンとして訓練されている。もし、そんな売り込み方を作家が期待していたなら、もうそれは芸術家とは呼べないだろう。自分の価値を自ら下げる行為だ。見栄の強い凡人をうまく欺くことは出来ても、造形美術の基を真剣に学んだ識者の批判の前には脆くも崩れ去るのみである。


    I minor 博多の私  1998

    秋風が立った。好きな季節である。芸術の秋、私にとって一年のなかで最も忙しくなる時期だ。書き入れ時と家人に発破をかけられ、はりきって仕事をするのだが売り上げは思ったより上がらず、火の車の家計簿を見せられ我の商才のなさに落ち込み、ままよ今年こそはと正月に誓いを立てる三日坊主パターンを毎年繰り返している。そもそもアートと云うお金とは直接結び付かない聖職に就いているのだから仕方がないと開き直ってみるのだが、自分より若くしてうまく財を成している同業者もおり説得力に欠ける。「清く貧しく美しく」と云う言葉を何処かで聞き、感動したことがある。そうだ、庶民の中に幸せがあるのだと意気込み、この国の政治家や官僚の汚職が悪いのだと問題を旨くすり替えるのも庶民の楽しみである。如何せんとおめでたい頭を絞るのだが妙案は頓挫し、まいいかと明日に回して今宵も物思いに耽り一献と云う事となる。
    熱燗が妙に旨くなるのがこの季節だ。水炊き(博多の鶏鍋)をつついて猪口を傾ける。「秋の夜の酒は静かに呑むべかりけり」先ずは牧水。虫の音の庭で風流人と化し、月を観るが無い。これは李白の月下の独酌に限る。杯を上げて名月をむかえ、我と我の影で三者を成し、我舞えば影零乱し、三人で天の川を徘徊すると云う旨の漢詩。李白は仙人だ。宇宙を感じる雄大さ、実に良い。もっと良いのは陶淵明。「菊を東籬の下に採り、悠然として南山を見る」隠棲の枯れた喜びの如きを感じ、晴耕雨読に憧れた。そして陶淵明とくれば帰去来の辞に止めをさす。役人の職を辞し、田園に帰り農夫となる時の感慨を詩っている。高校の漢文の授業で出会って以来強烈なファンになった。些細なことで挫けたとき、この辞は悟りをくれる。長江の如くゆったりと流れる文章は常に平明で穏やかである。私の家も代々の百姓であった。私が幼少の頃までは、絵で描いたような農村風景だった。祖父は馬に鞭入れながら一人で田んぼへ出かけた。一仕事終え、ちょっと一杯やり、馬車で昼寝し、目が覚めたら馬小屋だったと今はなき祖父から聞いた。馬は道を覚えていて、事故も起こすことなく自分で帰ったのだ。福岡市内の話しである。今からは想像も出来ぬくらいのんびりした時代があったのだと思うと、祖父の時代が良かったのか今の私の生活が良いのか一概に云えない。文化は英語でカルチャーであり濃業から来ているのだ。農が絶えたとき人類は滅びると云う。
    ほろ酔い気分になってきたのでいつものように近所のいきつけの店へ行く。焼酎一杯250円のチャンポン(長崎名物五目海鮮麺一杯430円。博多は食べ物が旨くて安い)屋で、常連客(土方、高校教諭、印刷屋、よく判らない雑貨商、大手サラリーマン、ご隠居さん、トラック野郎等)がカウンターに陣取り、すらごと(ホラ話)に花が咲く。茶々を入れ煽ぎ立てる人、まってましたとシャレを叩き込む人で店内は爆笑の渦になる。昭和一桁の名物大将は頑固一徹。いつもニコニコ優しいが、からむ客には「金儲けでやってるんじゃないんだ。二度と来るな」と言い出すような人で、皆でなだめる。「全く今の若い奴あー。俺のするのをよく見てろ」と若衆に発破をかけながら、よく釣銭を間違え、ひんしゅくを買っている。赤線や闇鍋の話等は絶妙の間と流し目演技、柳腰で自己陶酔するような表情まで交え、体験者でしか話せない情緒があり一つの芸術品だ。拍手をするとやめなくなるので、こらえて控えめにする。元々大工で、店のテーブルから内装まで全て自分で造った大将は、食堂アートと云う作品を造ったアーティストなのだと私は思う。落語家を目指していた料理長は、博覧強記で話のまとめ役。「橋本(総理)のバカチン」と時として、囲炉裏端会議が白熱し、国会の如き論戦の場と化すこともある。意業種間なので気がねなく云いたいことが云える。嘘をついたり愚痴ったり、大風呂敷で天下国家を語るのが、如何にストレス解消になり爽快であるかをこの店で教えてもらった。たまにつきあいで中州あたりで呑むこともあるが、大枚はたいた割には奥歯に物が挟まっているみたいで物足りない。それに近頃、夜の中州や天神親不孝通りは強悪犯罪が多発しており物騒だ。結局このチャンポン屋で呑み直することになる。
    ごま鯖(博多の秋鯖は最高)をあてにしこたま呑んで、お代1,200円也(あまりに安い。また大将が計算違いしたのだろう)を払い、ふらふらと家路につく。今宵は月も出ぬそうな。


    Macと若い女性  1998

    私の作品は一般に理解されないので褒められたことがない。特に自分より上の世代には、一部を除き、確実に煙たがられる。家人にさえ「綺麗な絵で、売れるのを描いて下さい」と云われる(売れればもんくはないらしい)。私の造形世界が簡単に判る訳がないと思っているので、まわりの雑音は聞き流しておく。フォルムをつきつめると記号になり、観念でもある記号は豊かな造形イメージを与えてくれると云っても何のことか判らないだろう。また、自然にできた、にじみ、しみ、かすれ、はじき、したたり、とばし、等が私にとっては重要な素材となります。それらには、人間の危うい技巧を超えた、堂々とした趣があるのです。もう、見たものをそのまま再現する描き方はかなり前にやめています。
    そんな私でも最近になってちらほらと美術学生や意外な超若い層にファンが出てきた。モヒカン髪を七色に染め、鼻や唇や乳首にピアスやリングをはめ、入れ墨したりしている、私と20以上も違う彼等に言わせると「なんとなく今い」そうな。過日、そんな若衆にのせられて、アメリカの東洋音楽家デヴァカントとインド舞踊家と私達美術家グループで異色のライブコラボレーションをした。生演奏と踊りの中で、私達が大きな紙に次々に即興でペインティングするものだった。首尾よく終わってほっとしていたら何と、ルーズソックスにミニスカートの女子高生たちからサイン攻めにあったのである。意外な展開に面映ゆかったが、まんざらでもなかった。そうか、これからはエンターテイメントをめざそう(単純な男である)、ディズニーワールドに対抗して、ゆめおワールドなるブランドを勝手に造り、若い女性のアイドル(のぼせるな)になろうときめた。サインした女子学生の一人から電話があり、「ムギョさん(ゆめおと最初から呼ぶ人はいない)の絵、大好き。アトリエに遊びに行ってもいいですか」とのこと。OK、OK、いつでもお気軽にお立ち寄りください、 特に若い女性は大歓迎。我が自由画魚家は、開かれたART空間です。からかわれているとも知らずに、どこまでもおめでたいおっさんである。「愛人28号になりたい」とおばさんまで調子にのせてきた。もういいかげんにしてくれ。
    Macの画面とにらめっこの時間が多くなった。仕事が遊びのように楽しくなった。鉛筆描きのアイデアスケッチをブラウン管に取り込み、増殖させたり、歪ませたりの変形を加え、色を付け、シュミレーションを実験してみる。Macは、「愚痴も言わずに女房の小春」と云った風情でいじらしく働いてくれます(ここ一番でヒジテツの如き爆弾もよく落していただけます)。時として、1日分、3人がかりの作業を一瞬にして目の前に表わしてくれる。電子の粒子たちが思わぬ面白い画像加工をやりぬいてくれる度に「すげー!」の連続である。しかし、アメリカ人が造ったこのありがたいオモチャのおかげでさまざまな障害を患った。数えあげればきりがないが、肩こりと腰痛と頭痛と切れ痔と神経衰弱と鬱病と対人赤面と妄想と高所恐怖に閉所恐怖と言語障害と夜間頻尿とノイローゼとアル中とチックとフケ症と情緒不安定と物忘れとしゃっくりと白髪とうすらハゲとイボにホクロにシミにソバカスに鼻詰まりと目ヤニと口臭とワキガと虱と入れ歯と下痢と便秘と冷え症と不感症と生理不順(うそつけ)と不眠症になった。この雑文もAM2:02にキーボードを叩いている。カーソルの点滅が「はやく入力しろ」とせかしている。あっという間にAM2:30になっていた。そろそろ寝よう。芸術は長く人生は短い。


    博多少年

    博多の人は、呑み事が好きである。居酒屋がやけに多いのでも判る。夜仕事をしていると、中洲村から友人の電話がかかり「ちょっと来んね」のお誘い。またかよと思いながらも直ぐ行く。既に中では、早速天下国家の議論が白熱している。いろんな論客がいて騒がしい。玄界灘の気性のせいか時として喧嘩になり、そこはかとなく幕末の池田屋さえ彷佛とさせる。勤王の志士が襖を破って斬りかかっててきそうなニュアンスさえある。そこで「デザイン都市福岡を造る会」と云う会が、建築からファッションまで、あらゆるジャンルのデザイナー仲間が集い自然にできた。と云う事はいつか自然に無くなる会でもある。決め事は呑みながら決定しているので、いい加減。会則はだいたい下記の旨だが、皆忘れている。

    ●階級を造らない。

    ●ひそひそ話は止めて、全てガラス張りにしよう。

    ●お互いを先生と呼び合うのは止めよう。

    ●運動不足に気をつけよう。

    ●呑み代は全て割り勘。

    ●思想、言論、報道、表現の自由。

    ●基本的人権の尊重、戦争放棄。

    ●食後の歯磨きの励行。

    ●右の頬を打たれたら左の頬を出せ。

    ●嘘ついたら針千本飲ます。

    ●一日一膳。

    ●旅館での枕投げは禁止。

    ●二日酔に気をつけよう。

    ●年に一度、健康診断に行こう。

    ●乾杯の音頭は短ければ短い程よい。

    ●いやよいやよは好きのうちかどうかは判らない。

    ●爪噛みはやめよう。

    ●君子危うきに近寄らず。

    ●仕事し過ぎに気をつけよう。

    ●異性とは清く正しくつき合おう。身体に触れてはいけない。

    ●他人の悪口を云う時は最後に「でも良い人よ」と云おう。

    当初5〜6人の会だったが、何と1年で70人の無邪気な呑み助の会となった。全員の名前も覚えきれないほど大所帯となり、益々訳の判らない会になった。無くなるどころか、この会は快感ですと若い女性(本当の歳は判らないが)まで入って来た。となると、自然男性会員も増えるのも当然。デザイナーと云う人種はよっぽど「遊び人」なのです。いや、「遊び心」を持った人がデザイナーになるのかもしれない。かようにして、福岡のデザインシーンは居酒屋で夜造られる。
    東京の有名デザイナーが講演等で博多を訪れると、たちまち我ら博多デザイナーのFAX連絡網で「◯◯先生を囲む会」が結成され、その夜は酒盛りとなる。東京の先生方も遠足気分なので、気さくなサービス精神を見せてくれる。私がかけ出しの頃は憧れであり、写真やTVでしかお目にかかれない雲の上の存在であった大家達である。そんな大物と酒を酌み交わし、冗談を交え談笑し、時として意見を交換する。どなたも流石に人物の幅が大きく、話題も広い。とても楽しく、勉強になる。しかし、彼等に自分の作品を見せ、評価を得ようとは思わない。それが何の為にもならないことを私は知っている。自分の世界は自分だけにしか造れない忍耐と汗の産物であり、その世界では何人もかなわない。話をしているうちに人間の実力は、中央にいようが地方に住んでいようが変わらないと云うことに気がついた。天才に見えた大家も自分と変わらない人間だった。人物が問題であり、住んでいる場所は関係ない。我も人間、彼も人間である。スーパーマンはいない。
    学生時代、”有名なデザイナー”をめざして上京した。底辺で溺れていた。しかし、有名ではないが凄い実力の先輩達を見て、これが本物だと判った。22歳で東京を離れるとき、俗に云う名誉欲は羽田に向かうモノレールの中に捨ててきた。世界は自分を中心に回っているがごとき思い上がった人がいる。権威に弱い人がいる。彼等には本質が見えていない。世の中には無名の達人が沢山いるのである。
    大きな農家の隠居部屋で育ったせいか、高校時代から隠居に憧れていた。「方丈記」のゆく川の流れはたえずして…と云うくだりはぞくぞくするほど俗世間から心を引き離してくれた。また、愛して止まない永井荷風散人の名作、「墨東綺譚」に感動した。秋風の立つ頃に読み返すと、今は無き日本の美が薫る。あんなじいさんになれることを夢見ている。ヘミングウェイの「老人と海」にも感動した。あんな元気な老人に早くなりたいと思った。遠い記憶の中、農業に生きたの祖父の生活は悠々自適に見えた。力が抜けていた。私は10代の頃から「今の日本人には風流心がない」と、ジジ放談のジジーみたいに愚痴っていたのである。


    ガールフレンド1  

    私には70代から10代まで幅広い層の友人がいる。中でも両端の70代と10代の友人はタイプが不思議と似ているのだ。片や隠居の自由人、此方は学生と云う自由人。総じて、ご隠居は金はあるが体力気力が続かない、学生はエネルギー有余るが金がない。共に経済社会、俗世間とは距離をおいた存在である。故に互いに純粋な文化人としての存在が可能な大義名分がある。これは、禁欲主義と快楽主義は両極端に思えるが、真実の快楽(精神的)を突き詰めると禁欲と同じロジックだと云うのに似ている。私にとっては、どちらもとても羨ましく魅力的な人達である。今回は70代の粋人Q氏について記す。
    Q氏とは行きつけの店の呑み友達である。私の父より年上なので友達と云うのはおかしいが、その位若い。子供のような好奇心と不思議な老人力を持っている。作品を造る風では無いが、Q氏の人生そのものがARTだ。のらりくらり飄々とした風貌にヌエ的雰囲気が漂う。唐津の置屋に生まれ、祖父は女衒だったそうだ。ゼゲンと云う響きだけでも私の想像力は一気にかき立てられた。鶴田浩二風の渋い着流し姿が脳裏に浮かぶではないか、娼妓衆を船に乗せ、上海あたりの大陸の食いつめ人と渡り合う壮大な男の姿が浮かぶのだ。Q氏は芸者衆に可愛がられて育ち、いざ自分がお世話になる年頃に店は終わったそうで「あと何年か早く生まれてればな」とその事をいつも悔しそうに話す。
    過日、いつもの居酒屋でQ氏の様子がそわそわして妙なので尋ねると、Q氏はそっと小指を一本立てた。
    「ガールフレンドが来るからね」との旨。ここにガールフレンド呼んでるらしい。
    Q氏は今流行りのバツイチでもある。逃げた奥さんは元モデル、ミス何とかと呼ばれたそうで、「僕はこの美貌だから若い時からもててね。色男はつらいよ」とポール牧のように髪を撫でながら云った。これには周りの連中も煙たがって聞き流していた。喜々としているQ氏を横目にひそひそ話が始まった。
    「立つかよ?」
    「いやまだ大丈夫らしいよ」
    「タオル掛けOKて」
    「バイアグラか?」
    「イヤダー、ウッソー!」と我が意を得たか、バイアグラの直立不動でテント張ったまま腰引いて歩き、小便もできず、ズボンにおさめようにもままならず、往生したと云う人の話まで出たところで「ハーイ」と、ガールフレンドなるご婦人が現れ、Q氏の横に座った。
    ストッキングの脚がしなやかに伸びた。場が静まり返った。何と彼女は本物のガールなのである。むくつけき男の酒場に一輪の花が咲いた。聞けば、高校出たばかりの19歳の看護婦さんで、Q氏が以前入院した時に知り合ったそうだ。歳の差50いくつ、どう見てもジイチャンと孫娘である。これはもう犯罪ですよとはっきり云う人もいたが、Q氏は婚期の遅れている男達のるつぼに向かい、「あんた達若衆は、おなごの一人や二人連れてこな男じゃなか!」と返した。悔しいがQ氏のセリフには説得力があった。晴天の霹靂、強烈なパンチ喰らった感じ。Q氏は思春期のような恋心を持って、ガールフレンドと接していた。
    この時ほどガールフレンドのいない我が身の情けなさを痛感した日はなかった。次の日、当って砕けろと、知り合いの心当たりのガールに電話で「ガールフレンドになって下さい」とシンプルに頼むが直ぐ切れた。めげずに何人かにアタックしたが全てふられた。中には「いくらで」と云う女もいたが止めた。空しい疲れがどっと出た。Q氏のひそみに倣おうとしたが結局ダメだった。私はガールAではなく、限り無く理想化されたガールA'を追い求めているようだ。素晴らしいA'をどれだけ造り出せるかが私の仕事でもある。竹久夢二なんかそれを真剣に実行し、大正浪漫を造った人だった。彼の内なる女性像は究極のメタフィジカルだ。それをモデルとして次々と求めた。しかし、男にとって都合の好いそんな女子、現実にはいないのです。

    それからしばらくQ氏を見ないと思っていたら、どうも彼女の愛想が悪いらしく、今度は恋患いで再入院していると、バイアグラ持ってお見舞いに行ったと云う人に聞いた。また、病室のベッドでガールフレンドに熱く看護されているのだろうか。男と云うものはいくつになってもこう云うものなのか、女子と云う幻影から逃れられない哀しい生きものなのか。
    秋風立ちぬ、諸行無常の響きあり。


    ガールフレンド2  

    いつもの呑み屋で、
    「そう云えばQさん、最近見らんけど」
    「それがたい…」
    「どうしたと?」
    「ストーカーになったげな」
    「えーーー!まさか」
    その後のQ氏であるが、無事退院したのはいいが、かのガールフレンドにふられたらしく、病状は意外な方向へと展開を見せた。恋煩いが高じたか、彼女を追う老人ストーカーへと転身したらしいのである。Q氏を見かけた人の話によると、Q氏は塀の陰にしがみつくように隠れ、まんじりともせず通りをうかがっていたとの由。ハンチング帽にサングラス、双眼鏡を持ち、何故か懐中電灯まで首にさげ、ぱっと見は「日本野鳥の会」のいかさま会員になったポール牧と云ったいでたち、あまりにも奇妙な格好なので「何ばしござあと?」と声かけると、Q氏は人さし指を口にあて、片手であっちへいけの仕草をした。どうもそこで、通勤帰りの彼女を待ち伏せしてるようだった。直感で「かなりきてるな」と云う印象だったと語った。
    「男は溺れる、と云うじゃない」
    店内では、にわかに噂話が始まった。
    「歳とってからの女狂いは直らんて」
    「バイアグラ、癖になっとっちゃなかろう」

    ある日、渦中のQ氏がひょっこり現れ、ガールフレンドの写真前に置き、しばらく大人しく呑んでいたが、片腕に突っ伏して急に泣き出した。セミのような泣き声。
    「レナちゃん(ガールフレンド)忘れられん」70過ぎの男が子供のように泣いている。「ストーカーは立派な犯罪やけん、やめたがいいよ」大将が諭した。
    もののあわれを誘った。この人の頭は18で止っていると思った。泣きじゃくるのをそっとしておいたが、一人が声かけた。
    「あ、レナちゃん」
    「どこ?」Q氏は急に真顔になり、辺りをせわしなく見回した。
    「うそたい。」
    また泣き出した。手のつけようがない。見かねたか、たまたまそばにいたおかまの健ちゃんがQ氏の肩をやさしく撫で、なぐさめるように言った。
    「よかよか、あたしがさせちゃるけん」
    「本物がよかー!」
    とたんにまた滝のように泣きじゃくったが、よく見ると泪が出てない。
    「うそ泣きやろ」別の一人が云うと、
    Q氏は開き直ったように最後の一泣きを絞り出し、何事もなかったように「花も嵐も踏み越えて〜」と鼻唄で出て行った。不思議ないじいさんである。Q氏のいなくなった店内は秋の海のように深閑となった。
    「子供みたいな人やね」
    「純粋な老人」
    「女子も罪作りやね」
    現在、Q氏の恋煩いは完治し、ストーカーからも足を洗っている。仏門に入ったと云う噂も聞く。


    巷の名言

    私の周りの友人達も随分巾が拡がった。いろんな人がいる。時として、巷の凡人こそすごい言葉を何気なく言うものだ。いや、凡人だからこそ説得力のこもった響きで迫ってくる場合もある。酒場や会議、遊びの日常の中でふいにとび出す巷の名言。
    以下にその心に残る名言達を思いつくまま記す。

    ●言いたい事が言えないような酒席には出席するな。身体に悪い。 呑み屋の大将

    ●明日死ぬかもしれないから今を楽しもう。 スペイン帰りの友人

    ●人の倒し方は教わったが、人の愛し方は習わなかった。 元自衛隊の友人

    ●背広着ている人より肉体労働者の方が身体が絶対清潔だよ。必ずフロに入るから。 
     呑み屋の女将

    ●仕事が嫌いという事は悪い事ではない。フランス人見てみ。 画家の友人

    ●最近、格好だけ、口先だけのデザイナーが増えたなー。 先輩

    ●ベッドで煙草を吸わないで 消防士の友人がよく歌う歌

    ●泣くも一生、笑うも一生。どうせ一生なら笑って生きたい。 近所の婆さん

    ●シュワチャンはあんなに人を殺してて、なぜ警察に捕まらないの? 幼稚園の息子

    ●バカがいるおかげで利口がいられる。ブスがいるから美人は存在できる。 我が母

    ●父ちゃんとうちの息子だからこの位でいいよ(私が成績悪かった時)。 我が母

    ●アメリカ人は思った事をストレートにずばっと言う、イエスかノーの国、なんて嘘。
     とても礼儀正しく、オブラートに包むようにして、本音なんて言いませんよ。 
     アメリカ生活10年の知人

    ●これからの戦争に勝ちも負けもない。ただ大量に人が死ぬだけだ。 先輩

    ●日本人の批判は易いが、その反対の事を言える人がいないんだよね。 先輩

    ●本物の有機栽培無農薬の野菜は土と虫が汚く着いているんです。
     店で売ってるの、あれ皆ウソですよ。 農業者

    ●箸より重いもの持った事がないと云うけど、私たちはトラックで箸を運ぶのです。
     箸より重いものあるのかねと云いたいね。 箸製造業者

    ●結婚してしまえば、相手の顔やスタイルどうでもいいよ。
     だって、どっちみち飽きるんだから。健康が一番。 先輩

    ●見合い結婚は元々恋愛が無いので、それが壊れる心配も無い。日本人の知恵。 先輩

    ●並の男は「女」を見てるが、ぼくは「女の人」見てるわけ。 先輩

    ●貞節とは恋ができない人の言い訳。 隣で喋っていたおばさん

    ●政治家が「前向きに善処します」と云うのは何もしないと云うこと。 先輩

    ●銭のために作るな、銭にならぬものを作るな。 大師匠

    ●金は溜めるより、使う方が難しい。 隣で喋っていたおっさん

    ●やさしい人って、結局損してる人なのよね。 隣で喋っていた女性

    ●絵なんて好き勝手に描けばいいんだよ。 画家の友人

    ●若い時に女遊び経験した男は結婚したらまじめになる。
     問題なのはその逆だよ。 税理士

    ●本当のお金持ちはお金の事、口にしません。 隣で喋っていた女性

    ●コンピューターって、あれバカですよ。 コンピューター博士

    ●ぼく、小学校しか出てないけど国立大学のデザインの教師やったよ。 大先輩

    ●デザインって遊びだよ。 先輩

    ●国内じゃチャンピョン、世界では予選落ち。こんな日本人よくいるよね。 先輩

    ●日本の絵画はグラデーション。 韓国のartist友人

    ●男と女はないものねだり。 隣で喋っていた女性

    ●人質は女性から解放されるでしょ。あれって男性差別だよな。 どこかのおっさん

    ●学校で一番大事な学科は家庭科だよ。 主夫の友人

    ●女で悩んだらいつでも相談して。 おかまの健ちゃん

    ●電車で女のチカンに尻触られた。大声出したら恥なので悔しかった。 男子学生

    ●流行は女子高校生が作っているのです。 アートディレクターの友人

    ●恋人にプレゼントするような気持ちで作品作ってます。 ファッションデザイナー

    ●生活習慣病は刑務所に入ればベストなんだけどな。 かかりつけの医者

    ●失恋の歌なんかすぐにできるけど、楽しい曲はなかなか作れない。 音楽家の友人

    ●判りやすく簡単な詩ほど作るの難しい。 詩人の友人

    ●暗い時は、戦争時代を思えば世の中バラ色に見えてくる。 呑み屋の大将

    ●歴史上の人物は永遠に死なない。なぜなら既に死んでいるから死なない。 先輩


    オイシャン

    博多ではおじさんのことをオイシャンと云う。そこはかとなく愛嬌を感じる呼び方である。「どげな(如何)オイシャンかいな?」「ボサーとしてアゴたんのこっぱずるごと(壊れる)せからしか(うるさい)オイシャンたい」「なしな(如何して)?」「木登りしよってくさ、さるくりこけなったげな(すべって落ちたとさ)」と、博多にわかではこんなセリフで笑わせる。
    「オヤジ」と云うイメージには女子から煙たがられ忌み嫌われる脂ぎった中年の姿が浮かぶが、「オイシャン」はそれよりやや低いレベルにあるように思える。
    そんなオイシャンに私もさしかかった。デザイン業界でも、中堅と呼ばれる世代に入った。同年のデザイナーの中には若作りの二枚目がいて、ホストの如きべったりとしたやさしさで女子に接し、派手めな子にによくもてる。永遠のナルシストと呼んでいるのだが、彼は水泳で身体鍛えていて、競泳用の七色の三角パンツをもっこりとはいて何とプールサイドの女子の目の前を行ったり来たりしているのだ。羨ましいとも思うが、そこまでしてああはなりたくないとも思うが如何。
    私もさすがに彼のような大胆なまねはできないが気持ちは20代、ゲーセンでプリクラでもして、携帯で「ゲンキー?」とやりたいのだが鏡を見るとちゃんとそこには40代の顔があった。ひょっとこのような顔を作ってみると、ぴったりはまる役柄になった。目がたるみ、皺がはっきりし、まだ禿げてないが髪が減って白髪が増えた。疲れやすく身体のねばりがない。歯から血が出る。目の焦点が合わない。先輩に、それはハメ何とかだと茶々を入れられた。どうも原因は、女子にある。女子から相手にされなくなると自分の容姿どどうでもよくなってきて、半ばやけくそぎみに我が道を行く自分がいた。他に次のようなオイシャン現象に気がつく。

    ●ズボンのチャックを閉め忘れる。●つばをつけて新聞をめくる。●すりむいたらつばをつける。●黄色をキナと云う。●原稿用紙にフケを落とす。●切手をなめて貼る。●目上の人に妙にペコペコする。●アメリカ人に「ほったいもいじるな」と云って通じるか試す。●コンビニを購買店と云ったりする。●もったいないからと一度使ったティッシュをポケットに入れる。●卓球をピンポンと云う。●水を買えない。●同じ柄のネクタイばかり選ぶ。●片手を腰にあて、牛乳を飲む。●フェアレディーZを乙と間違えた。●おしぼりで顔を拭く。●小便が近くなった。●歩いている途中で急に立ち止まる。●テレビ見乍ら文句や独り言を云う。●巨人の元木を見ると「人間モドキ」を連想する。●若者のことを若衆と呼ぶ。●女子の前で箸を転がし、笑うか否かで歳を判断する。●鼻毛を抜いて吹き飛ばす。●ランチの後、楊子をくわえて店を出る。●隠し芸で、お下げ髪の歯抜け婆さんが跳び蹴りでこけたところで、オオトリケイスケの腹話術をする●おならの連発を友人と本気で競い合う。●大口開けて高笑いする。●三匹の豚のぬいぐるみを見ると「あ、ブーフーウー!」と云う。●今でもマーブルチョコレートをつい買ってしまう。●傘でゴルフスイングする。●広場の絵を描くと土管を入れたくなる。●歯磨きはたて磨きの癖が取れない。●飲み会でまっ先に女子の横に座ろうとする。●「今日も元気だ煙草買うまい」や「はっぱふみふみ」や「ウーン、マンダム」や「そんなばなな」や「まいったんぐよね」や「あたりまえだのクラッカー」と、古いギャグで周りをしらけさせる。●オランダ人を南蛮人と云う。●ハリマオの主題歌が歌える。●歴史として東京行進曲や小唄勝太郎、市丸を知っている●マッカーサーを松笠と書いたりする。●偏差値で人を判断する。●田代美代子なんかに今でも色気感じている。●モーニング娘と聞いて、対抗してモーニング息子を作れば良かろうと意見する。●赤い靴はいてた女の子は「良い」じいさんにつれられて行ったのだからめでたしと、今まで聞き間違えていた。●女子バレーのユニホームをブルマと云う。●高校時代、日教祖が強く、授業がストになり殆ど勉強しなかった。●ロシアをソ連と云う癖がぬけない。●エンブレムのついたIVジャケットを着たがる。●IV姿の女子を見ると固まってしまう。●20世紀あなたの心に残る出来事はと聞かれると、三島由紀夫事件と答える。●寺山修治の映画を見たがる。●Tレックスのマークボランを忘れない。●コルゲンのカエルを見て泪が出そうなくらい笑った。

    60代の人から見れば40代はすごく若い。その60代も80から見れば「花ならつぼみ」である。金さん銀さんから見たら皆小便臭いガキに見えるのではないだろうか。お二人は長寿の祝い金をもらって、老後の為に貯金しますと云ったそうだ。すごい!今を老後と思ってないのだ(これを書いている最中に金さん逝去、合掌)。ピカソ、ミロ、ダリ、スペインの巨匠は90代まで生きた。老境に入っても制作意欲は衰えを知らなかった。そのひそみに習い、明るく、清く、正しいオイシャンになろう。風のニュアンスを感じ、質素と心安きを旨とし、慎みと畏れに向かっていよう。

     


    ゾータンノゴト

    「冗談じゃないよ」を博多ではゾータンノゴトと云う。雑譚の琴と云う居酒屋もあるくらいで、大仰な博多弁の中でも親しみのある面白い言葉である。前回、「追うた子に瀬を教えられ」を「大蛸に瀬を教えられ」と間違えて大恥かいた話をしたが、思い返せば他にもかく間違い覚えに幾つか気付いた。
    「あの…ロシアの棒高跳びのチャンピオン…誰だったかな…そうそう、ブースカ」
    「ブブカだろ」と指摘され、大笑いされた。これは怪獣ブースカで育った世代にしか笑えない。
    周りでも我が意を得たりと笑いながら自分にもあるあると共感を示す人もあり、聞いてみるとゾータンノゴトと云われそうな抱腹絶倒の勘違いがぼろぼろ出て来た。奇妙なもの、バランスのずれ、中には意味がり楽しませてくれる。自分の教養の程度を晒すのは忍びないが、周りの人のも含め正直に思いついたままを告白し以下に列記することにする。
    恥の上塗り覚悟でご協力いただいた諸氏に感謝申し上げます。市井の愛すべき面々、お名前発表したいのですが名誉の為割愛させていただきます。読者の皆様にもここまではないもののいくつか思い当たる節ございませんでしょうか。

    ●飛んで火に入る夏の虫→飛んで木に居る夏の虫●取らぬ狸の皮算用→虎の狸の母さん用●立つ鳥後を濁さず→服部後をよござす(良いですと云う博多弁)●弱肉強食→焼肉給食●豚に真珠→舞台に心中●青天の霹靂→晴天の辟易●関の山→石器の山●堰を切る→咳きを切る●焼け石に水→焼け死に水●猫に小判→にこにこ番●世は情け→酔わない酒●一石二鳥→椅子席二丁●命あっての物種→命あって呑もうだに●雲泥の差→運転の差●絵に描いた餅→絵に描いたキムチ●瓜二つ→売り二つ●勝手兜の緒を締めよ→買って兜のおしめを●亀の甲より年の功→亀の子より愛しの子●海千山千→海線山線●海老で鯛を釣る→海老で逮捕する●水を得た魚→水を得田植え●医は仁術→医は忍術●三日天下→三日電化●かかあ天下→ははー殿下●無尽蔵→無腎臓●駆けつけ三杯→掛け付け三倍●風の便り→風の頼り●勝てば官軍→勝てば漢軍●身も蓋も無い→三も二も無い●我田引水→我田飲水●矛盾→無純●身を粉にする→美代子にする●風が吹けば桶屋が儲かる→風が吹けば置屋が儲かる●虫が付く→主が付く●明鏡止水→勉強し過ぎ●士農工商→死のう交渉●竹馬の友→竹輪の友●単刀直入→担当直入●痘痕もえくぼ→あなたもえくぼ●坊主憎けりゃ袈裟まで憎い→坊主憎けりゃ今朝まで憎い●眉唾→きんつばの如き和菓子と思っていた●付和雷同→不笑い堂●身から出た錆→身から出たわさび●ミイラ取りがミイラになる→皆鳥がミイラになる●背水の陣→排水の人●桃栗三年柿八年→首振り三年かき八年●断腸の思い→脱腸の思い●抱腹絶倒→報復絶倒●待てば海路の日和あり→待てば懐炉の火よりあり●粋な黒塀見越しの松に→粋な黒兵衛神輿の祭り●餅は餅屋→持家持家●下手の横好き→下手の翌月●負けるが勝ち→負けるが、勝ち(一勝一敗)●母は強し→母は剛史●虎の威をかる→虎の胃をかる●灯台下暗し→灯台下暮らし●天衣無縫→店員無法●過ぎたるは及ばざるが如し→杉樽は泳が猿が如し●前門の虎後門の狼→前門の虎肛門の狼●亭主関白→亭主淡白●太鼓判→大小判●高飛車→高美者●断末魔→旦那妻●子は鎹→子はかすが良い●鉄面皮→鉄仮面●木賃宿→キッチン宿●虎穴に入らずんば虎子を得ず→おけつに入らずんば孤児を得ず●唐人の寝言→当然の寝言●カエルの子はカエル→カエルの子は帰る●鉄は熱いうちに打て→鉄腕厚いうちに打て●一宿一飯→一泊二食●千里の道も一歩から→仙人の道も一歩から●虎の緒を踏む→虎の子お文●辻説法→辻鉄砲●渡る世間に鬼は無い→渡る世間に老いは無い●追いかけて雪国→お湯かけて雪国●破竹の勢い→八九の気負い●八方美人→八頭美人(八頭身)●腹八分→腹は恥部●美人薄命→美人吐くめえ●柳に風→柳に貸せ●屁理屈→減り靴●間髪容れず→散髪いらず●嘘も方便→嘘も方言●大衆食堂→体臭食堂●氏より育ち→宇治より空知●鰻登り→鰻の堀●少年よ大志を抱け→少年よ妻子を抱け●南蛮人→棒棒鶏(バンバンジー)●おくんち祭り→ぼくんち祭り●若秩父→若乳恥部

     


    赤ちゃん返り

    かつて勤めだした頃、社長に「あんたは電話の声が小さい。フロの中で屁こいたような声出すな!」と注意された事がある。そうかと反省し、大きな声で元気にしゃべるように心がけた結果、今度は声がきついと云われ、そんなに怒鳴ったような言い方は先方に不快感を与えると指導された。どうも私には中庸が欠いるらしい。ほどほどの感覚を知らない。特殊な専門的仕事一本でやってきたせいか一般常識に弱い。世間からすぐ奇人変人に見られ、「大丈夫、噛み付きませんから」と云っても容易に信用してもらえず、散歩に出ると、いい歳のおっさんが昼間からぶらぶらしてると煙たい目で見られている。
    最近も友人に指摘された。私の電話の第一声が「はい、うちのデジャインでごじゃいまちゅ」と聞こえるそうで、ちょっと軽すぎるとの批判。自分としてはいくらかでもお客様に好印象と親しみを持ってもらうための営業用の招き言葉のつもりなのだが如何せんである。そう云えば40過ぎた辺りから歳取る度に丸くなると云うか精神年齢が下がると云うか、いやむしろ赤ちゃん返りの如き症状が顕著になった。「〜でしゅ」とか「〜でちゅ」や「〜だよーん」、「〜でっしゃろ(何故か関西弁)」等の語尾をつけるようになった。他にもこの現象に関連する事項が次々と頭角を表して来たので次に列記する。

    ●ばたばたとじだんだ踏んで悔しがる。

    ●九九を間違えるようになった。「葉っぱは何枚?」と7歳の息子に聞かれ、「ハッパ62!」と自信満々に答える私に「違うよ、64だよ」とがっかりするような声が返って来た。私も肩を落とした。

    ●友人と旅行の計画中、おやつは何持って行こうかと喜々として尋ねてしまい、どんぐりまなこでまじまじと顔を見られた。

    ●ある日、幼稚園児の息子とTVの「にこにこプン」を見ていてどうでもいいような拙いことで言合いになり、豆飛ばしで勝負しようと云う息子の提案で鼻の穴に豆を詰め、片方の穴を指で押さえて飛ばし合いしたが決着つかず、それではにらめっこでかたをつけようと、オコゼの顔面麻痺、イカのポンポン焼(文では表現不可)、モチズキ音頭(これも不可)、はさみ焼きのおっさんの髯剃り(これも無理)チーチーフグのぼやき、写楽の唇ひねり2回転半、立松和平の海中中継、おかまの嘘泣き、アチャコのむちゃくちゃでごじゃりますがな、とりは18番のヨイヨイ爺さんの出そうで出ないくしゃみの豪華10本立てD難度演技で笑わせて勝ち、親の威厳を保ったかのような得意満面の私に家人の呆れたような白い目が突き刺さった。

    ●仕事の関係で、女子学生たちがよく行くサンリオ等のキャラクターショップに入り、セーラームーンの弁当箱や着せ替えセット、お得なニコニコセットをためつすがめつうっとりと眺めている処を店員に不審な目で見られた。

    ●スーパーでおまけグリコとマーブルチョコレートを買って食べてたら、家人に「か、わ、い、い」となじるように腹を抱えて笑われた。

    ●いつか、ふと気が付くと指しゃぶりしていた。

    ●付録やおまけに弱い。

    ●腕をまわしてジャカジャカじゃんけんをする。

    ●嘘泣きし、覆った指の間から相手のようすをうかがう。

    ●何となく乳恋しくなり何気なく「おっぱいがいっぱい」と「ちちちちち牛のちち」の歌を口ずさんでしまい、そばにいた子供に軽蔑された。

    ●赤ちゃんを見ると思わず顔を七変化させ、あやしている自分がいた。

    ●トム&ジェリーのふりかけを常備している

    ●「パン(拍手)ツー(ピースサイン)マル(頭上で腕を丸く組む)ミエ(指でめがねをつくる)」を幼稚園児の息子に教えてもらい、処かまわずやっている。

    私だけの問題ではなく、思えばこの国そのものが幼稚化しているようだ。19、20の学生達見てもそれがかなりきている人もいる。ガングロのミニスカで、リカちゃんバッグみたいなのからプリクラ帳出して一心不乱にプリクラ貼っている。それを開いて見せられ「先生どれが良い?」と聞かれ「これかな」と指すと「フーン」と返って来た。その「フーン」が如何にも幼い。感化されやすくなっている私は早速その「フーン」が口ぐせになってしまった。いったいどこまで落ちてゆくのだろうか。平和と云えば平和である。


    い感化いな

    生まれつきどうしようもなく感化されやすい性格である。他人のちょっとしたしぐさや癖に影響受けやすい。根が単純でおめでたいせいか自分でもよく判らないが、すぐつられてしまう。感化されやすい人も大抵の人は感化のみで終わるのだが、私の場合は直ぐそれを実行に移してしまう処が並と異なる。熱しやすく冷めやすいと云う特技もあるのでそれはある一時期の現象で終わるのだが、冷めるまでは大変である。
    子供の頃はもちろんアニメのヒーローになっていた。おじいちゃんに買ってもらったセルロイドの七色仮面をかぶり、風呂敷マントと新聞紙丸めた剣でテーブルから飛び下りた。戦争ごっこではサンダース軍曹になり、土の爆弾や2B弾投げていた。力道山になって空手チョップ、ブラッシーの噛み付き、デストロイヤーの四の字固め。時には女子にままごとでサザエさんのかつお役やらされ、砂のごはんをうまそうに食べなければならなかった。そう云えば、中にはお母さんが看護婦と云うませた女子がいて、お医者さんごっこしたっけな(経験あるでしょ、きれいに砂をまぶしたりして)。ルーキー新一の芸、両胸を摘んで「イヤーイヤー」をやり、大人達を狂い笑いさせた(今でも続いているが)のを覚えている。
    唾をピュッと真一文字に地面へ飛ばす人がいて、それが何故かかっこよかった。すぐに練習し、道端のカエルめがけ一直線にひっかけられるまでになった(これも今でもやっている)。止めた方がいいよとよく云われるが、なかなか足を洗えない。眉間にしわを寄せるのが渋いと、訓練してたら終に癖になり、痛い位の溝状のしわになってしまった。アリスの「チャンピオン」と云う唄の間奏セリフが「ユーキムキムチ」と聞こえると云う人がいて、それは面白いと口癖になり、今でもふとした時にそれが突いて出る。「それ何?」と聞かれるが説明すると長くなり、語るに値せぬ稚拙な事なので韓国のおまじないさとうそぶいている。オーデコロンにこった時期もある。周りで、顔の前でワイパーのように手を振り、まぶしそうな目をした人をやけに見るようになった。自らの臭いのせいとも気付かず、新着の流行かと思い、笑顔で振って両手ワイパー三回転半ひねりで返した。韓国の友人に、謝る時の「済みません」は「シラミダ」と聞き、早速それを連発していると、慌てて自分の身辺見回している御婦人がいた。映画には随分喰らった。ヤクザ映画から出てきたら目がすわり、どすのきいた声でつかみかかるようになった。恋愛物を観ると、街で知らない女子に「君の瞳に恋してる」とか何とか云いながら片っ端から声かけている。和田誠の映画「麻雀放浪記」にもろ感動し、カラオケで岡晴夫を唄いながら「どさ健」や「出目徳」の無精髭のぼさぼさ髪で楊子くわえて麻雀やチンチロリンしてた時期あり、これには今でもはらはらする。「オースティンパワーズ」と云うバカ映画が気に入り、小指を口元に「僕のモジョを返して」とやっている。おならの三連発でドレミを鳴らせると豪語する人がいて感心し、隠し芸にしようと習う事にした。基本の腰のすかし方から教わった。ある時その人が、ドレミッチャンハナタレ〜と鼻唄唄いながら調子良くやってる最中に微妙な沈黙があり「あ、ドの前にミが出た」と尻を押さえた。言うと思った。
    最近は若者に感化されている。そろそろ親子位の歳の差故新鮮な発見があり、宇宙人見ているようである。パラパラ教えてもらい、やったが、それはバラバラですよと笑われた。歩きながら携帯で「ゲンキー」とやっているのを見て我が意を得たりと、アンテナ伸ばし首をかしげてやってみたら「キショイ」と切れた。このところ携帯の声がやけに静かになったと思っていたらIモードでメールしてるそうな、早速やらねば。電車の中や道端でキスしているのを見て、ソッコウ実行に移そうと先方に顔を近づけたら、目のさめるような平手打ちが往復で飛んで来た。ズボンを少し下ろしてパンツを見せる「ハミパン」と云う代物が若者の最先端らしく、現在ねらっている処である。いったい何処まで感化されて行くのだろう。周りは非難の罵声かまびすしいが如何せんである。


    小林君の思い出

    「オスッ!」後ろから肩を突かれた。
    「おお、小林」私は振り向いてハイタッチで返し、「元気かよ」。
    「つったく、今日の授業かったるくってよ。どっかで遊びてーなー」とステップ踏みながらファイティングポーズの小林君。
    「蜘蛛の巣掃除するか」と私。
    「せんずりかいて寝な」とボディーに一発パンチ喰らわし、引きつるような高笑いで去って行った。
    小林君というのは学生時代の女子のクラスメイトである。身長170位(私より少し高い)で、バレーボールで鍛えたごつごつした筋骨型の体躯。上4人が兄の末っ子で育ったせいか質実剛健。奴をキャツと云う横浜育ちの「浜っ子」で、肩はボクサーの如く張り、胸の筋肉(脂肪ではない)は逞しく盛り上がっていた(故にペチャパイ)。腕相撲で彼女に勝った事はない。
    その頃は友人同士で各々のアパートを転々と寝泊まりしていた。金のない貧乏学生故、皆ホイトの一歩寸前みたいなファッションだった。四畳半にただ無目的に集まっては新潟出身者の元祖柿の種や浜松の奴のうなぎパイ、私の辛子めんたいを摘みながら焼酎で酒盛りし、好きな女子の話や学校の笑い話で盛り上がった。時々、競馬場に行ったり点1で麻雀したりした。真冬、ドテラ羽織ってシケモク摘んでコタツ囲み、ジャラジャラやってた友人たちの顔思い出すと胸が鳴る。
    そのむくつけき男子寮の如き雰囲気の中に混じって小林君もいた。誰もが、彼女が(彼女自身も)女子であるという事を忘れている風でもあった。ある時、全員で着替える場面があった。皆淡々と脱ぎ始める中、一人「小林、止めろ!」と叫ぶ声がした。鼻唄でシャツを脱ぎ捨て、パンツに手をかけていた上半身ダビデ像の如き小林君は大胸筋をピクピク動かし、きょとんとした顔をした。やっと気付いたように「見たくない?」。他の全員が首を縦に振った。思えば、酷な言葉である。うら若き女子の健康な裸体、常であれば男子の本能故注目するに決まっている。しかし、小林君が女性器を有していると想像するだけでも何か寒いものを感じた。結局、彼女が着替え終わるまで全員後ろを向くことにした。舌打ちする彼女の一連の動きに振り向く者はいなかった。それは見てはいけない物であり、怖い気がした為だ。
    何故かは忘れたが小林君の広い肩幅に腕を掛け、厚い胸板に顔をうずめて思いきり泣いた事がある。ちょっぴりレモンのパフュームの香がした。わずかに女子の部分も残っているのかと感じた。真夏、かすかにいびきかいて眠っている小林君を見ていたら、暑さのせいか何を迷ったか彼女の顔に顔を近付けている自分がいた。よく見ると二重瞼だったりピップクリームの如きも塗布されいる。女っぽくないが絶対に男ではない。そんな新発見が刺激になったか、ゆっくりと引き込まれていった。唇と唇があと2ミリまで異常接近した処で我に帰り、ニアミスはあぶなく回避された。海で危うく溺れかけ、小林君の片腕に抱かれて助けられたこともある。申し訳なさそうにする私に「ぶらさげてるのに泳げねーのかよ」と笑った。ふられた時、「女なんか星の数ほどいるんだから、女の一人や二人でくよくよするな」と肩を叩き、女子との付き合い方のアドバイスまで彼女は丁寧に教えてくれた。
    この外、小林君との青春の思い出は多い。卒業後、彼女は単身で渡米し、連絡も途絶えた。彼女だったら屈強な米人と対等に渡り合っているだろう。女子は男子にとって憧れであり、永遠の謎であり、神秘であり続ける。近付きがたく、逃れられないのっぴきならぬ存在である。私にとっての小林君は唯一それとはかけ離れた例外だった。女子との間に友情が成立し得た稀なケースである。お互いにまだ無邪気な子供でいられた、恥ずかしいくらいピュアな時期だった。あれから幾度となく女性に傷付いて来たけれど、ボーイッシュな小林君との思い出は爽やかだ。25年経った今から思えば、吾娘のようにかわいい純な19歳の女子の姿が蘇る。どうしているだろうか、もう遠い思い出である。肩幅の広い女子を見ると小林君を思い出す。

     


    嗚呼センターシネマ

    センターシネマと聞いて感動を覚える福岡人はもう旧人類に属する。今は無き幻の映画館である。その入口で気のよさそうなおばちゃんがポップコーンの製造直売やってた頃を知る人はかなりきている世代である。かつて、今の天神ソラリアプラザの地に、かまぼこ形屋根のスポーツセンター(大相撲九州場所、アイススケート、ボリショイサーカス、歌謡ショー、演劇、各種見本市等が開かれ、福岡の一大文化ホールであった。まだ美術館、博物館、国際センター、シティー劇場、博多座、等の文化施設は一切無かった時代である)があり、その並びにぴょこんとセンターシネマはあった。こじんまりした中に堂々とした風情を持った佇まいだった。封切りからしばらく経ったものを安価で再映していた。小学校6年の時だから1968年頃、友達と自転車で観に行ったのが始まりで、題名は忘れたがトニーカーチスが出ていたサンタモニカ何とかと云う、子供にはまだ意味の判らぬ代物で、子供料金が60円だったと記憶している。ポップコーンは30円位で、100円の小遣いで充分楽しめた。勤めだしてからは仕事帰りに気軽に入った。以来、30半ばまで随分お世話になった。最後に観たのが「ブルースブラザース」だったか。2階は薄暗い卓球場で、あの暗い場末の趣は温泉宿のそれ同様、思い出すと泪が出そうになる位懐かしい。
    西鉄のガード下は小さな呑み屋がのれんを連ね、末尾には今は跡形もないがストリップの東洋ショーがあった。高校生の頃、私服に着替え大学生のふりして友達と学割で入った事がある。かぶりつきで見てたら不運にも何と先生とばったりはち合わせしたと云う奴がいて、怒られるかと思ったらお互い内緒にしとこうとなったらしい。先生も恥ずかしかったのだろう。先生も男なのだ、男同士の暗黙の了解か(男でなけりゃ判りません)。2階の楽屋の窓から化粧しながら手を振る裸の金髪ダンサーを西鉄電車から見かけたと云う友人もいた。思わずVサインで返したとか。今思えば随分無邪気な時代である。
    地下は味のタウン。これは西鉄駅改築でソラリアステージとしてその姿を一新し「味のタウン」と云う旧名は残ったものの、もう以前の面影はない。注文するとすぐ出たナイルカレー(今は辛口もあるがオールドファンは昔ながらの甘口をたのむ)。角にあったお好み焼きの甲子園。大福うどん、因幡うどん、英ちゃんうどん(えび天うどんのファンだった)と、3軒の名物博多うどん屋が軒を競っていた。前を通ると鰹節のだしの香が舞っていた。ひょうたん寿司(ここのジャンボ定食は満足もの)、銀寿司、東京ラーメンの豊久(博多には珍しいしょうゆラーメン)、牛丼の牛心、名前は忘れたがおでん専門点もあった。とにかくどこも安くて旨かった。センターシネマで映画観て味のタウンで食べて帰るのが博多少年のささやかな楽しみだった。
    他にもセンターシネマのような映画館は中州や呉服町に「富士映劇」とか、周辺郊外にも沢山あった。博多駅には線路下にステーションシネマがあり、これはひどかった。電車が通る度に轟音と振動がスクリーンを揺らし、劣悪なフィルムと機器のため、時には途切れたり、キズやゴミがちらちら映し出された。平気で煙草吸う人、唾吐き、痴漢、脚を前席に掛ける者でマナー最悪。足下をねずみが駆け回った。しかし名作もかかり、ここで煙たがりながら観た長篇「風と共に去りぬ」は印象深い。
    五木寛之のエッセイで知った桟敷席の木造建築「大博劇場」は中学卒業の頃壊され、惜しくもその勇姿を垣間見ることはできなかった。如何せんかかっているのがピンク映画(これ死語)とヤクザ映画の3本立とかばかりだったので素通りするしかなかったのである。飯塚の嘉穂劇場のように文化遺産として残してほしかった。リバレインに博多座が完成したが、大博劇場の風格にはおよばない。ああ、文化遺産として残して欲しかった。各地方都市が合理的にリトル東京化し、すっきりと綺麗だが個性のない退屈な街になっていく。夢野久作描く浪漫の背景の如きごちゃごちゃした博多の街が好きだ。
    だが、そのエッセイに出てくる、呉服町旧寿屋裏路地の白地にスミ文字の大きな提灯が目印のうどんの老舗「みやけうどん」は今も現存し、時々寄る。がらがらと木戸を開けると昭和初期の映画のセットに入ったような錯覚。えび天うどん330円、凄い。しかもすり鉢に入ったネギ自由盛り、凄すぎる。この一徹なサービス精神こそ博多の心意気だ。もうこれは商売と云うより文化だろう。
    最近また映画館の数が増えたが、とんと映画館に行かない。映画はもっぱらレンタルビデオ屋で借り、ビール呑みながら家で観ている。どうせ観るなら昔の中州東宝会館にあったスカラ座の大画面で観たいものだ。シリアスなものより、スリルアクションや「オースティンパワーズ」とか云う軽いギャグものが好きになった。
    センターシネマや富士映劇を青春の1ページに抱いている方、湖月カレー食べた経験ある方、ディスコ「カルチェラタン」、キャバレー「チャイナタウン」「ミナミ」「月世界」「赤坂」、軍国酒場「戦友」知ってる方、60、70年代の博多に少年的郷愁寄せる全ての方、旧き良き時代の博多をしみじみと語り明かしませう、泣きながら。


    筑紫中央高校1 

    「ねえちゃん、もんじゃろうか(揉んでやろうか)」
    道を歩いていたら、うす汚い痴漢のおっさんにいきなり後ろから抱きつかれ、乳を揉まれた。
    「なんや、ペチャパイか」と吐きすてるように去って行く後ろ姿に石投げつけたかった。
    高校時代の事、長髪故女子に間違えられたのである。悔しかった。犯された女子の憤りが判った。ペチャパイ女子の悩みが痛いほど判った。処女を奪われた時の乙女の悲哀とはこの事か。お嫁に行けない身体にされた屈辱とは(もういい!)。
    その頃、吉田拓郎の「僕の髪が肩まで延びて君と同じになったら結婚しようよ・・・」と云う歌詞のフォークソング「結婚しようよ」が流行っていて、女子にもてたいがため、ギター抱えた男子の長髪があふれだし、私も長髪延ばし放題で「嫌よ好きよ蓮華の密よ...」とか訳の判らない自作の詞に曲をつけ講堂で歌ってた。コードはAmとDmとE7しか知らなかった。要は女子にキャーキャー云われれば満足だったのである。何せ少年ナルシズム最高潮の年頃である。美容院のばか息子でパーマかけた奴やロッカー気取って化粧してるのもいた。柔道部の丸坊主までが母親のお古のカツラを借りて長髪に見せかけていたが、汗にまみれ、天日干し昆布状態になっていた。それを斜に冠っているのでゲゲゲの鬼太郎のように見えた。延ばし放題でホイト寸前まできてるのや怪傑ライオン丸(古いか)か石川五右衛門みたいな猛者もいた。髪を延ばすとそこはかとなく女性化するニュアンス感じ、休み時間など鏡の前で女子生徒と枝毛見つけあったりして、列になって首かしげ、髪をといていた。整髪料は資生堂のギャラックやカネボウのエロイカ等つけていた。その中で一人、柳家の丹頂チック塗付けてる奴がいて、笑わぬ者はなかった。実はその時私はポケットに母の化粧台にあった「椿油」を隠していた。

    友達と学食の70円のカレー食べ(コーラが30円)、校庭の裏で酒飲み煙草吸ってたら妙に大人になったような気がしたものだ。筑紫中央高校、名にしおう武田鉄矢出身の自由な校風である。今ではとても考えられないが、校則は生徒会側で勝手に作り替えていたので無いが如し。制服に反対しGパンで通学する女子生徒会長、下駄履いて意気がる奴(私だが)、サボってジャズ喫茶にたむろする奴、かぐや姫の「神田川」のせいかバイトしながら彼女と同棲してる奴までいた。他には、ナナハンに彼女乗せて通学する奴、3年生になると自動車通学する者もいて先生よりいい車だったりした。農家の跡取りで、野菜積んだポンコツトラック運転して来るのもいた。要塞みたいな生徒会執行部室には怪し気な左翼系のOBが出入りし、夜遅くまで灯がついていた。先生も落ちこぼれの我らには愛想つかし、ほったらかしにしていた。いや、日教組が強く、授業は殆どカットになり、先生も世と戦っている風情でもあった。おかげで大学進学には魅力感じなくなっていた。既にデザイナーへの進路ははっきり決まっていた。今から思えば私にとって、大学のような高校であった。
    過日、80周年の同窓会に招かれ、懐かしの下大利駅前を通り20年ぶりに母校の校門をくぐった。制服が代わった、吾子のようにかわいらしい在校生見ながら、かつての自分や友達とダブらせた。「こんなに若かったのか」としみじみ思う。講堂で後輩達の校歌吹奏を聴いた途端、恥ずかしいくらい泪が吹き出た。殆ど歌った事も無い、歌詞も忘れた校歌故に慟哭が止まらなかった。隠れるように校庭の裏をそぞろ歩き、旧校舎の片隅で独り、煙草を吸った。
    今度来る時は学食のカレーを食べたいものだ…あのジャンクな味、もう無いだろうが。


    筑紫中央高校2 

    高校時代、「美少女を見る会」なるものを我ら落ちこぼれグループで勝手に作った。共学のマンモス校で、1学年14組もあったので全校生徒1,800人はいた。その半分が女子であった。女子に興味津々の思春期真っ盛りである、各クラスの美人を見て回り、目がああだ、鼻がこうだとか、自分はこれがいいが君はどうだと、友人と思い思いに愉快な品評会をしていた。蓼喰う虫も好き好きと云うが見る方にも個性があって面白かった。また、帯に短し襷に長しで、完璧な美人はそう簡単にはいないと判った。
    そんな中、「凄い美人のおるクラス見つけたぜ」と、自信げに云うやつがいた。
    「本当やろうな」一人が聞いた。
    「あたり前たい」
    「嘘ついたらおかまにほらすけんね」
    「よかぜ」
    早速そいつの後について皆で見に行くことにした。廊下の窓越しに頭を出したり引っ込めたりして教室を見渡した。
    「どこにおるとや」
    「あそこ」
    「どこ?おらんやないや」
    「ほら、あそこ」
    「ほらあそこて、おいお前、ホラ、あそこて、たぶらかし(騙し)よろ」
    「前から3番目たい」
    案内人は、男子の席を指していた。
    「男?」
    「そう、K君」
    皆の息が一瞬止った。本当に綺麗だったのである。むくつけき男子の群れの中、逆光に照らし出されたK君の姿はしなやかに輝いていた。色白、薄い眉、涼し気な二重瞼、すっきりとのびた鼻、完璧とはこのことか。美少年と云うより美少女の方が当っている。少女マンガに登場する、目にキラキラ星の浮いたヒロインが現実にそこにいた。皆で顔を見合わせながら、
    「綺麗だな」
    「うん」
    「お前は?」
    「バッチグー」
    「レディーボーデン喰わせてやりたか」意味不明のこと云う奴がいたが、こいつはピーマンなので聞き流した。
    以来、私たちは度々K君を見に行った。気づかれぬよう遠い所から見ていた。どの角度から見ても、どんなしぐさをしても美しかった。おとなしく目立たない性格で、話しかけずらかった。我ら悪ガキとは別の世界に住んでいるようだった。
    修学旅行の宿で我らはK君と同部屋になった。おしゃべりし、枕投げも一通り終わり、さあ寝ようかと云う時、誰かがK君に吸い寄せられるように近づき、衝動的に抱きついた。すぐに離れたが、すぐに連鎖的に何名かが同じ行動をとった。予期せぬ一瞬の展開であった。私もその中の一人だった。思春期の倒錯か、高鳴る胸の鼓動を押さえてK君の両肩を抱いた。人を抱くと云うのは初めての体験だった。その間、何秒だったろうか。時間が止まっていたような気もする。K君は伏せ目がちに「やめて…」と静かに云った。その一言で皆はふと我に返り、最前の出来事を忘れ去ろうとするように、何事も無かったかのように各々寝についた。そして、あの日の事をしゃべる者は誰もなかった。あのときのドキドキ感と「やめて…」は不思議な思春期のエピローグとなった。
    私はK君より美しい少女を未だ見たことがない。


    筑紫中央高校3

    「Σって 何かいな?」と友人に聞くと、
    「シグマたい」
    「バカ、ひぐまの事たい」と別の友人。
    「そうか」
    数学の時間、3バカトリオと呼ばれた我ら落ちこぼれ組の低レベルな会話である。頭叩いたら「カーン」と軽い音出そうなシーンだ。中学時代の成績はクラスで10番内だったが、高校に入って最初の実力テストで45人クラス中39番だった。けっこうショックだった。そもそもこれが落ちこぼれへのプロローグだった。以来3年間、好きだった美術と歴史と国語以外は殆ど勉強した覚えがない。特に理数系の授業は問題の意味さえ判らないレベルまで堕ちていた。先生の言葉がお経のように聞こえ、眠気をさそった。見事な0点だった。途中からカンニングを覚え、赤点は免れたがよく卒業できたと思う。学校側もこんな不良学生はとっとと追い出したかったのだろう。
    授業をサボるようになり、類は類を呼び、自然と落ちこぼれ組が結成された。隠れて煙草吸ったり酒呑んだり友人の隠れ家で麻雀したりと云うお定りの不良行為。私は後髪を背中まで延ばしたぼさぼさのウルフカットに赤い鼻緒の下駄履きスタイル。「不潔」なのがなぜかかっこよかった。要するに並じゃ嫌だったのである。
    普通の女子からは完璧に煙たがられた。というより嫌われていた。お嬢様タイプ女子からのゴキブリでも見るかのような視線を感じたので鼻くそほじくり丸めて飛ばして見せたら、二度と前に現われなくなった。別のまじめな女子の前では大きなオナラをこいたことがある。机に顔伏せて泣いていた。いや、笑っていたような気もする。棒をさすりながら「ああああよか、あよか、よかよかよかよか〜」とヨカチン節を歌っていると「汚い歌やめて」と鮮やかな女子の字で伝言メモが届いた。
    思い返せば、ずいぶん恥なことしている。今からだと判るが、高校の3年間は狂っていた時期だ。しかし、悲しいかなその時点では気づかない。「親の意見と冷や酒は後からじわじわ利いてくる」と先輩の言、かなり利いてきた。

    過日、20何年振り38歳の同窓会でかつてのグループに逢うと、皆しっかりおじさんおばさんしていた。かなり髪が薄くなってるのや中年太りの太鼓腹が目立ち、見分けつかない奴もいた。性格は基本的に変わってなかったが一様に丸くなっていた。
    ただ意外だったのが職業である。名刺交換すると各々立派な仕事に就いていた。通販でエロ本買っていたAは県警の課長、廃車寸前の直結カブ(キーの壊れたバイク)に2人乗りで通学していたB は大手スーパーの店長、吊り上げパンツとロケットブラジャーに化粧べたべたのC子は市役所職員、おやじのウィスキーくすねて酒盛りしていたDは後を継ぎ寺の住職、いつも裸足で泥まみれのラグビー部のEは中学校の先生、登校せず留年寸前までいったFは銀行員。逆に、秀才だったやつが小企業の平凡なサラリーマンだったりした。ちなみに、上記のまじめでおとなしい女子は行かず後家だった。
    学校の成績は人生の成績とは比例してないものだ。


    筑紫中央高校4  

    「俺の女に手を出すな」ヘビの腐ったような目でがんつけられた。
    「…………」やばい。
    やっとできたガールフレンドと下校の田んぼ道、いちゃいちゃ歩いていると、3、4人の番長グループに待ち伏せされた。番長は私より1.8倍位身体がでかかった。ヘビー級ボクサーのように見えた。怖かったが女子の手前、すぐに引き下がるわけにはいかなかった。ここで決闘せねば男がすたる。乗るか反るかの一発勝負だ。20%の勇気を振り絞って中指1本立て、がんつけ返した。しかし、いきなり番長に胸を突かれ尻餅ついた。後ずさりしながら立ち上がると再びにやりと笑いながら押し倒された。絶体絶命もうだめだ、降参するかと思ったその時、片足が何かにズルッとすべった。生温かいものを感じた。振り向くと肥だめ(野つぼとも云う、今はない)に片足を完璧に突っ込んでいた。その瞬間、止めの拳を固め前進していた番長が「やばい」と悟ったか、一歩引いた。拳がバイバイに変形し、くしゃみ寸前のような顔に変わった。
    「やる気か、コノヤロー!」私は120%開き直った。
    「来い!」下から番長を睨み上げ、拳を顔の横にアントニオ猪木の挑発ポーズになっていた。
    ゆっくりと黄金の足をぬかるみから引き抜き、逃げる番長にブルースリーのような軽いフットワークで回し蹴りを入れた。黄土色の飛沫が鮮やかに散乱した。汚物の斑点の番長の顔はほぼ泣きそうに見えた。
    「俺の女に手を出すな!」私は本物の超男臭いリベンジャーに変身していた。
    「喰らえ!」更に、手元にあった柄杓でたっぷりすくいあげ、逃げる番長と子分たちに向かってまき散らした。悲鳴と共に戻っては来なかった。気がつくと彼女の姿も消えていた。

    それからの事はよく覚えていないが、自分の姿と臭いで、2回位戻したと思う。家に帰って母親に平手打ちされたような気もする。
    この幻の決闘以来、番長グループを独りで倒したダーティーヒーローとして私は学内の伝説になった。そしてしばらく私の周りに寄りつく者はいなかった(彼女さえも)。
    ある時、こっちにがんつけてる奴がいたのでそばにいた友人が、
    「おいこら、なめたらいかんぜよ(当時の流行語)!お前、何も知らんとや?」
    「知るか」
    「こいつはな、あの、コエの内野ぜ」
    友人の言葉を遮ろうとしたが事実故どうしようもなかった。
    相手はドングリ眼で飛び離れ、くしゃみ寸前の顔で
    「すんまっしぇん。なめません、絶対に!」
    またある時は、初見の清潔な感じの下級生女子に
    「内野さんって歌上手ですってね」
    「いやー、それほどでも」
    「素敵です」
    「でも何で?」
    「だって、声の内野って呼ばれてますから」
    うまく誤解してくれたのが唯一の救いである。


    筑紫中央高校5

    RCサクセションの「僕の好きな先生」と云うフォークソングが流行っていて、型破りな先生に人気があった。県立高校なので先生は公務員でもあるわけで、ほとんどは堅い教科書型の先生ばかり、眠たくなるような退屈な授業が多かった。でも、国語のN先生だけはちょっと異彩だった。一見並のおっさんに見えたが教科書からはかなり脱線していた。おもむろにしんせい(煙草、今あるのか?)吸いながら、けだるそうなしぐさが何となく良かった。坂口安吾や太宰治、織田作之助、檀一雄等の無頼派文士の様相を呈していた。
    「先生、夏目漱石がボディービルやって身体鍛えてたら文弱の徒のような晩年の暗い小説書かなかったと思います」
    現代国語の時間、手を挙げてN先生に質問した。実はその頃かぶれていた三島由紀夫からパクったものをそのまま云っただけだったのだが、
    「うーん、それは面白い意見だ。君のような批判精神も大事だ」と先生はえらいほめてくれた。以来ますますN先生が好きになった。授業後に「実はあれ、三島由紀夫から取ったんです」と正直に云うと、
    「そうか」先生は目を細めて笑い、遠くを見るようにしんせいを一服ふかせた。
    「だったら軍国酒場へ行くか」
    先生は中州に連れて行ってくれた。今からでは考えられないが、高校生と先生が軍歌喧しいむくつけき酒場で酒酌み交わし、文学談義していたのである。話は芸術文化まで拡がり、果てを知らなかった。思えば、私はかなり生意気な若造に見えた事だろう。国士舘の学生や戦友会の老人等でごった返す中、いきなりカウンター内からマスターが殴りかかってきた。
    「出た!カウンターパンチ」と先生。
    「待ってました、先制攻撃」マスターは笑いながら先生と握手した。今で云うおやじギャグだが大人の世界を垣間見た気がして面白かった。
    先生は赤紙一枚で二等兵として中国戦線に応召した事や軍部の不条理について語ってくださった。戦場を実体験した人の話は説得力があった。「このままでは日本は経済だけの国になってしまう」と云われたN先生の言葉が印象に残っている。何かに挫折したままの知識人のあきらめみたいなものを感じた。
    当時先生は49歳とおっしゃっていたから今は80近くになっておられる計算になる。N先生から教えていただいた事は大きい。「我が師の恩」を思う時、N先生が浮ぶ。お元気ならばもう一度酒場でご一緒したいものだ。


    筑紫中央高校6

    高1の頃、アイドル歌手・浅田美代子( 歌のへたい少女アイドル全盛期だった。よくあれで売れたものだと感心するが)の「赤い風船」が流行っていた。そのせいか、風船を持ってくる者が女子を中心に一人二人と増え、次第に拡がっていった。風船を投げ合い、ただ無邪気に遊んでいた。大胆なストライプや花柄のついたもの、派手な広告もの、置薬のおまけ紙風船までとびだし、校内に色とりどりの風船の花が咲いた感があった。そんな中、やけに大きなピンク色の水風船を持ったおとなしい清純派女子グループがいた。その異様な大きさは注目に値した。他の風船が色あせて見えるほど目立った。
    「それ、どげんしたと?」
    「手洗場の蛇口に落ちてたので、水入れたの」
    伸張性が良いのか、かなりの水量が入っている。よく見るとギザギザのステッチが入り、先端にポコンと突起がついていた。
    「ふーん、なんか面白い形やね」
    「いいでしょ」
    「うん、よかよか」
    女子たちはニコニコ顔で自慢げに校内中見せびらかし回った。校内の好奇の目を奪い、その大きさに吹き出す者もいた。だが一部に、ドングリ眼で腰を引く者や顔を覆い固まる不良女子がいた。それをよそ目に風船女子グループはそれに頬ずりしたりキスしたりして、はしゃぐばかりだった。
    次の日、その代物は何故かきれいに消えていた。何事もなかったかのようなニュアンスの中、全体が言わず、見ざる、聞かざるの3ザルモードに突入。
    「あれ、どうしたと?」
    女子に聞いても返事がなかった。元気なくちょっと泣きそうな顔になるのを見逃さなかった。それ以上訊ねるのを止めた。そのうち校内の風船ブームは終わり、巨大水風船も全員の記憶から忘れ去られた。

    後日、それがコンドームだったと判ったのは私が高3になってからだった。その時の風船女子グループも当時はそれを知らなかったのである。知っていたらそんな赤恥にはまるわけないではないか。うん、絶対に。


    筑紫中央高校7

    「レマン湖」が言いにくい東京人、「お目こぼし」がだめな関西人と同様、往年のプロレスラー「ボボブラジル」の名を大手をふって言える九州人はいない。
    性に目覚める頃である。性教育を全く受けていない世代なので、異性への謎は深まるばかりだった。どこで手に入れたか「性解剖図」の類いの本持ってくる奴いて、あまりにも医学的正確な絵で、ドキドキしながらページめくったものだ。その中に「これが陰茎、これが陰嚢、わーこの図、勃起してる」とキャッキャ云いながら女子もいて、そうか女子も異性器に興味津々なのかと判った。
    「その…、自転車乗るときなんだけど…」
    ある日、開けっぴろげでおしゃべりなA子にこっそり質問された。
    「なに」
    一瞬間があり、小声で、
    「タマつぶれない?」
    「え?」
    「サドルにまたがったとき」
    女子の感覚からは、タマは後ろの方についていると思っているらしい。そう云えば、男子から見ると女子のは前についてる感じだが実際は後方である。さらにA子の素朴な疑問は続いた。
    「男子に、お尻の穴あるの?」
    「なかったら、どこからウンコするんだよ」笑いが止らない中、
    「右下がり、左?」
    「何が」
    「タマ」
    「そんな事どうでもいいじゃないか」
    「オンスってある?」
    「判らん」
    今度はA子に聞き返した。
    「女子ってさ、自転車乗ってると、感じない?」
    「バカ」
    これは答えてくれなかった。
    「穴いくつある?」
    「3つ」
    「ふーん」
    女子からすると3つの穴は一連の感覚なのかと思った。
    「その〜」聞く方もだんだん恥ずかしくなってきた。
    「マタワリとかした時…」
    「何よ」
    「痛くない?つまり、大きく開くわけじゃん」
    「ぜんぜん」
    腹を抱えて笑われた。男子からすると、女子のフラットな股間は何となく「切り取られた」後みたいで痛そうだし、あれは縦に「切れてる」そのもののニュアンスで、もっと痛そうな感じがした。
    あれから一男性として何十年か生きてきたが、未だに女子は神秘であり謎であり続ける。


    筑紫中央高校8

    3年生の頃、下校の途中、校門の辺りで「キャー」と云う声に振り向くと、4人組の女子が蜘蛛の子散らすように逃げ去った。下級生女子グループに待ち伏せされたのである。面映かったが嬉しかった。自分の内実知られてる同級生女子にはけむたがられたが、下級生からは憧れとして迎えられたようだ。もてたくて文化祭でギター抱えて歌ったのが実ったか、友人とにわかまんざいしたためか、長髪の赤い下駄ルックが受けたか理由はさだかではないが、人気出てきたことは確かだった。
    「先輩のファンクラブつくりました」と、そのグループ。
    「ありがとう、でも、どうして?」
    「何となく面白そうだから」活発そうな一人が云った。
    かっこいいからとかを期待してたが、面白そうな人か、やっぱり二枚目の線では勝負できないのかと思いつつも単細胞の私はますます有頂天になった。
    「鬼ごっこでもする?」

    ファンクラブと云っても何の活動するわけではなく、ただひやかしで遠目に私を見てるだけだった。照れかくしにキタロウのパパのまねやチーチーフグの嘘泣き芸して見せたら、ばか受けした。
    しばらくピエロの如くアイドル演じていたが、中に一人、清純できれいな子がいた。美しい少女にひかれていくのは男子の常である。しかし、N子と云うその子に好きと告げると嫌と云われ、ファンクラブもたちまち解散してしまった。じゃあねバイバイ、ただそれだけ。以来、言葉を交わす事もなかった。女子の嫌の意味も判らずに何と硬直的か、これがナルシズムいっぱいのガラス細工のような青春時代と云うものだ。
    アガサクリスティーだったか、「そして誰もいなくなってしまった」のニュアンス、人気と云うものはかくもはかないものだと悟った。
    N子にふられ、できた歌が「N子ちゃんNo.2」。大好きだった小林旭の「純子」や古井戸の「さなえちゃん」に対抗してつくった。さびで「N子ちゃん」と連呼する曲で、恥ずかしい位センチメンタルな詞だった。講堂で歌ったが、しらけた。受けなかった。でも観客の中にN子がいた。何も云わなかったが感激した表情だった。私の中でN子は一つのカタルシスとして昇華された。今でもその歌口ずさむと、あえかな少女の姿がせつなく浮ぶ。

    それから数年経ち、冬の街角で大人になったN子を見かけた。もっときれいな23歳になっていた。オーバーコートの白い襟が目にしみた。懐かしく、声かけようかと思ったが止めた。今となっては実物のN子の如何は、さほど重要ではなかった。彼女とおしゃべりしたとて何の意味があろう。彼女がどうしてこうしてこうなったかなど、知って何になろう。それより、あまりにも美しい思い出の我が内なる永遠の少女へのオマージュにキズをつけたくなかった。いや、再度嫌と云われたら立ち直れなくなるではないか。目を伏せ、そのまま通り過ぎた。「N子ちゃんNo.2」胸の中で響かせながら。


    博多のかあちゃん

    以下は1986年の育児手記。全国公募入選作品。

    世の中に、几帳面な完全主義と云う人がよくいるが、逆にいい加減な不完全主義者とでも呼びたいのが昭和一桁生まれの吾母である。「よござっしょうなこて(この程度でいいでしょう)」と何事にも無頓着。かように細かい事にこだわらないルーズな性格を博多では「オーマン」と云う。「あの人くさ、オーマンたれかぶっとんしゃーもんね」と荒っぽいが親しみを込めた云い方で笑い話の種にしたりする。概ね博多人の性格は大仰で開けっぴろげ。故に母は何処にでもいそうな典型的博多のかあちゃんである。しかし、私の成長過程に於て何故かこの大らかな母の性格が「良かった」と思えて来るのである。平凡であるが、かなり非凡な人である。
    私が小学校低学年の頃は、どこかぼけっとした子供で、通知表はオール2に近いような代物だった。先生は「お前は頭が悪いから成績が悪い」と涼しい視線で嘲笑した。自分が何のとりえも無い下等な人間に思え、落ち込んだ。そんな暗さを抱いたまま家に帰り、通知表を母に見せたが、まともに母の顔が見れなかった。
    「よかよか、父ちゃんとうちの息子やけんこん位たい」
    母の言葉は不思議な説得力で迫って来る。
    「バカちんのおるおかげで利口のおるったい」
    何か悟りに近いニュアンス。
    私は肛門の筋肉が緩むような安堵感に包まれた。本当は母もがっかりしていただろうが、気にしなかったのである。洋裁が特技だが、ボタンの縫いミス、寸法違い等しょっちゅうである。私の制作の不器用で大胆な部分は母の血である。
    そして、通知表を何処かにしまいこんだまま忘れてしまうような母だった。「頭の良い子の育て方」の類いの育児書などとは、およそ無縁の人だった。のびのびと育てられたおかげで中学卒業時の成績は中の上位の成績になっていた。
    時は経ち、私の長男が生れ、産院から帰ってまもない赤ちゃんを母がお風呂に入れたときの事。
    「ありゃりゃんこりゃりゃん」突然大声と笑い声が一緒になって風呂場から聞こえて来た。
    「どうした?」
    「アポたれた!」
    母は湯の中に散乱したうんこをすくいながら「うんの着いてさい先のよかばい」と笑っていた。「孫がこげんかわいいとは」と風呂上がりの赤ちゃんを前に、両手にガラガラを振り、顔を5段階位変化させながら阿波踊りのような格好であやしている。自分の乳までくわえさせようとするので慌てて止めた。それを見ながら私は「大きな九州男児に育てよ」と心の中で呟いた。その思いを込めて息子には「大輔」と命名(本当はヤクルトの投手、荒木大輔から)。
    今はもう半年が過ぎ、人が近づくと丸いおなかを叩いて歓迎の意を表している。気にさわると頭を床や壁に打ちつけている。塵と芥を拾い集めてちまちまと工作している。チョコボールを鼻に詰め込みレロレロ踊りしている。椅子の脚にかぶりつき離れない。ひょうきん大ちゃんと呼ばれ、大人を爆笑の渦に巻き込んでいる。将来はお笑い芸人なるのではと思っている。


    中山オケラ街道

    「麻雀、パチンコ、ゴルフはやめたがいい。人生の時間の無駄」と、忠告してくれた先輩がいた。今はその類いは一切しないが、東京生活の19〜23歳位までよくやっていた。青春時代と云うものは時間が有余る感があるが、けっこう貴重な時間を浪費しているものだ。後に悔いてももう遅い。パチンコで暮らしていた一時期がある。
    「仕事は何なさっていますか?」初対面の人にインタビューされた。
    「パチンコ」
    「パチンコ!ですか…」相手はいかものを見るような視線を向けている。
    「目が勝負です」ポール牧風に斜にかまえ、目を細めて見せた。
    「ほう…」感心している。
    「玉と釘と引力のリズムとバランス、と云うより調和かな。つまり打つ地点をAとすると落ち去る玉はA'です。しかるに天釘通る玉はB、チューリップに入るのはB'。BがA'に反抗する時、新たな出玉Cが生じる訳です」遠くを見るように煙草をふかした。
    「さすがプロ」
    「なあに、お天道様に背を向けて歩く馬鹿な人間ですよ」鶴田浩二風に肩をゆすってニヒルに笑った。
    「手を見せてくれますか」
    「これです」レバーをひねる手の形を作った。
    うそ八百。実は近所のパチンコ屋で、いつもよく出る台を何台か知ってて、それを適当に回ればその日の生活費位は稼げたのである。
    土日は競馬もよくやった。後楽園の場外馬券売り場へはよく通った。中山競馬場へ学生時代の友人と行ったことがある。大橋巨泉の「競馬エイト」と云う新聞片手に赤鉛筆耳にかけ、1万円位の範囲で馬券を買った。立ち食いそばすすりながら新聞の枠に見入っていたのを懐かしく思い出す。テンポイント、ファンタスト、メジロファントム、岡部騎手と、断片的に当時の名前が走馬灯の如く浮かぶ。
    最も印象に残っているのは中山オケラ街道。出口にはタクシーが止まっていて大勝ち組は背伸びして乗り込むが、大半は駅まで続くオケラ街道の列に吸収される。田んぼのあぜ道を黒っぽいコートの疲れた男達がうなだれて黙々と一列に歩いた。国葬クラスの葬式の行列のようにも見えた。泣いたような夕焼け空にカラスの声がかそけく響く。あまり話をする人はいない。口を開くとみじめだから、お互いの寒い心をかばいあうように押し黙っていた。この中には月給使い果たしサラ金に手をつけた人、会社の金に手を染めた人、やばい筋から取り立てられている人等、いっぱいいただろう。あやうい浮き世の人間ドラマを感じながら私はまだ21歳、これからどうするあてもなかった。デザイン会社クビになり職もない、彼女も無い、ただ東京の片隅に漂う不器用なボヘミアン。駅前の傾きかけた幽霊屋敷のような居酒屋の縄のれんうをくぐり、モツ煮込みをあてに焼酎呑んだ。
    「これからどうする?」と友人。
    「どうしようかな」
    「デザイナーの夢捨てたのか」
    「わからない。ただ自信なくしてる」
    「諦めるなよ」
    「うん、でも博多に帰ろうと思っている」
    「淋しくなるよ」友人は下を向いた。
    帰郷し20年以上経った今でも東京の友人と私はデザイナーから足を洗えないでいる。


    諸岡山とコガ・コーラ

    「福岡の山で一番好きな山、何ですか?」と訊かれた。
    「諸岡山」
    「モロオタヤマ?」
    「違います、モロオカヤマです」
    「ほう、初耳ですな」
    「小さな山ですからあまり知られてません」
    諸岡山を知ってる人が福岡にいくらいるだろうか、おそらく地図に「諸岡山」とは載っていないだろう。山と云うより丘の方が当っている。しかし、かつて小さな子供だった頃の私から見ると立派な山だった。初登頂は小学1年生の頃、遠足で達成した遠い記憶がある。桜散る土手で、ドングリや珍しい古銭を拾ったりして遊んだ。落ち葉の中からヘビの抜け皮見つけ、財布に入れておくとお金がたまると云う迷信を信じ、母親に悲鳴あげさせたこともある。山頂に小さなお宮があり、古い絵馬が掛けてあった。半分欠けている物もあったが、戦国時代の合戦図や日露戦争の日本海大海戦の図、富士山風景等が巧妙に描かれていた。絵が好きだった私は、それをずっと見ていても飽きなかった。描かれている木や道一つだけでも幼い想像力は軽く時空をさまよった。宝島や海賊、忍者、騎馬武者の図にワクワクした。かように空想の中で遊ぶような少年だった。歴史好きの萌芽もこの頃に垣間見られる。
    過日、暇だったので運動がてら何十年振りかで諸岡山を駆け上がった。なんだこんなに小さな山だったのかと笑ってしまうくらいかわいい山である。笹の葉のささやきに風のニュアンス感じ、木漏れ日の香を肌で受け止めた、諸岡山は私の郷愁の山だ。故にその場所は秘密にしている。屋久島を例に出すまでもなく、メジャーになってしまったら一発で荒らされるに決まっているから。
    閑話休題。
    西日本新聞で読んだが、久留米か大川の古賀さんが製造販売していたと云う幻のコーラ「コガ・コーラ」なる代物が昭和30年代頃ひそかにあったらしい。製造会社は既に無く、現物も残っていない。新聞では世紀の剽窃コーラ「コガ・コーラ」を捜索して一大叙事詩の如き展開を連載していた。「黒地のビンに白一色でコガ・コーラと確かに書いてあった」と当時を知るオールドファンはしみじみと回想していた。
    やったー!古賀さんのこのユーモアパロディ精神、それに着目する新聞記者、かような人たちが私は好きである。昔の日本人にいなかった個性派タイプではないか、古賀さんの手作りARTパフォーマンスとも言える、いや当時のAウォーホルに挑戦状叩き付けたJポップアーティストとも言えよう。Aウォーホルはただコカコーラ並べただけだけど「コガ・コーラ」にはこれしかないオチがぴしゃっとついとう!古賀さんお見事!現在私なりに解釈した「コガ・コーラ」に寄せた昭和30年代visual浪漫を再現中である。その時代は私が8歳迄の幼年期に当り、郷愁と共に甦る。敬愛なる古賀さんに捧げます。

    無理矢理だが、私にとっての「コガ・コーラ」が「諸岡山」なのである。


    昨夜見た夢

    よく夢を見る。覚めると忘れてしまうのだが、すぐにメモをとり、夢判断のフロイトの如く、その記述をしてみた。夢は深層心理によるものらしいが、かなりあやしい。思いつくまま以下に列記してみた。

    ■エレベータ降りると誰も居なかった。しばらくして掃除婦のおばちゃんが通り掛かった。
    「ここはどの階ですか?」と訊ねると驚いたように去った。
    掲示板によく判らない英語のポスターがあった。エレベータのボタンを押したが、この階には止らなかった。階段は行き止まりだった。窓から外を見ると夜の中に三日月が浮いていた。肩に触れられ振り向くと、さっきの掃除婦が
    「おいくらになさいます?」と英語かフランス語か不解なメニューを開いた。
    「何の事ですか、いったいここは何処?」と訊くと、おばちゃんはすっと消えた。
    三日月も見えなくなった。やっとエレベータが止り、1Fに降りると何かの工場だった。溶接工がこちらを振り向き逃げ出した。やがて大勢の男達がぞろぞろやってきた。その一人が
    「おいくらですか?」
    気味悪かったのですかさずエレベータに乗り、適当な階を押した。そこは鏡の部屋で私の姿が幾重にも映し出されたが、それは見事な体形の女子の全裸姿だった。男達が追いかけて来た。そこで目が覚めた。

    ■公園でブランコこいでる白いレースの服の少女に「How old are you?]と聞かれ、
    「何歳に見える?」と問うと、
    しばらく間があり「判りません」と返事。正直に自分の歳を答えると、
    「私の母は2つ下」と云ってただ笑うばかりだった。
    「君はいくつ?何処から来たの?」と聞いても笑い続けるばかり。
    「じゃあね、ばいばい」持っていた携帯デジカメのシャッターを押した。
    翌日見ると皺だらけの老婆の笑顔がゆっくり映し出された。

    ■公園の芝生でビール呑んでたらいつのまにか眠りこけてしまった。何かが身体に当ったので目を覚すと、
    「すみません」野球選手が球を取りに来た。背番号がM-17とあった。こんな所に野球場あったかなと思いながらまた眠り続けた。夢の中で大ファールがスタンドの外に消えて行くのをぼんやり見ていた。
    「夢の中のデジャブですよ」と突然さっきの人が去来した。背番号が文字化けしていた。その夢から覚めると
    「球飛んで来ませんでした?」リトルリーグのかわいらしい少年が球を探しに来た。
    「ぼうや、この辺りに野球場あった?」少年はけげんそうな顔で去った。
    背番号を見ると画面が表れ「おいくらですか?」とスーパーイン文字が流れ続けていた。

    ■女子とその店に入ると、たのみもしないのに豪華な鯨料理が出て来た。食べると旨かった。
    「AコースになさいますかそれともB?」と云うマスターに
    「この鯨おいしいです」と食べながら云うと何時の間にか客が誰もいなくなった。
    しばらくして女将さんらしき人が「もうすぐ皆帰って来ますよ」
    かなり待ったが女将と二人だけだった。
    「何故誰もいなくなったのだろう?」
    「どうだっていいじゃないですか」と鯨の刺身を出した。すごくおいしかた。
    「めちゃ旨いです」
    「そうでしょうよ」笑いながらそう云ったきり女将は何を聞いても答えなかった。

    ■「今日は早めに帰ったがいいよ」天神の街角で靴磨きのおっさんに声をかけられた。無視して信号待ちしてるとバイトのねえちゃんにポケットティッシュを渡された。それをよく見ると「夢を売る店」とあり、「戻りたい、戻れない」とキャッチフレーズ。地図があり、行ってみるとただの和菓子屋だった。
    帰り道、最前の靴磨きは跡形もなく消え、近くのゴミ箱にポケットティッシュがいっぱい捨ててあった。その一つを取ろうとしたとこで夢からさめた。

    ■「つかぬことをお伺いしますが、恋の悩み買います」と云う妙な人あり
    「もしかしてあんた、諸岡から来た人じゃない?」
    「いえ、違います」とびっくりしたようにとまどい、逃げて行った。
    「じゃあね、ばいばい」
    その夜いたずら電話が「文句あるか」と一言かかってきた。

    ■白熊マークのバーでサラリーマン然とした人と隣になった。
    「何処からですか」と尋ねられ、
    「諸岡」私は嘘ついた。
    「帰ろうかな」その人は淋し気に云った。
    「もう少しの辛抱です」と私は引き止めた。
    「おいくらですか」
    「判りません」
    「ハワイに島いくつありますか」
    「知りません」
    トイレから出ると、去って行く刈り上げ頭がちらりと見えた。
    「もう戻れません」その人は自嘲した。

    ■刺だらけの薔薇の庭をくぐりぬけると見知らぬ海岸に出た。白い建物があり、バルコニーからサングラスの人がしきりに「あっちへ行け」と云うしぐさをしている。とたんに何百人と米軍が上陸し、銃撃しだした。恐怖に身を伏せじっとしていた。しばらくして辺りを見渡すと、金塊が散乱していた。「誰にも言うな」とサングラスの人からその一つを渡され帰った。薔薇の庭で金塊を出してみたらたちまち液体になりあっという間に蒸発した。

    ■「商売世界汚いですよ」と語りだし、やけに物知りな人がいて興味が尽きない。話は科学からスポーツ芸能まで展開した。「その話題どこで仕入れたのですか?」と聞くとやや間があり
    「九スポ」と素直に返答。
    「もしかしてあなたは天神で靴磨きしていた人じゃないですか」
    「何をおっしゃるうさぎさん」そそくさと去った。
    その夜、スポーツ新聞如何ですかと女子の声で電話セールスがかかってきた。
    「何新聞?」
    「九州スポーツです」
    「あなた、天神でポケットティッシュ配った事無い?」
    一瞬間があり「いったい何のことですかオホホホ」いきなり切れた。

    ■何処かの街の古本屋で「私の記録」と云う妙なビデオを見つけた。「おいくらですか」と主人に訊ねると、一瞬ギクッとして「只ですどうぞ」。
    早速映してみると、黒い画面に胎内スキャンか宇宙か判らない画が延々と流れていた。おかしいなとパッケージの表示をよく見ると賞味期限が過ぎていた。

    ■砂漠を何日も歩いていた。とうとう力尽き、眠っているうちに意識不明になった。このまま死ぬのかと思った。でも、思うと云う事はまだ意識があり、まだ生きていると云う事か。まいいかとそのまま眠った。綺麗な模様のヘビが鱗を星の光に反射させサラサラと渡って行った。

    ■ここはアラスカかシベリアか判らない大雪原。木陰から突然熊が出た。とっさに死んだふりし、まんじりともせず伏せていると、お尻を触られ、小便をかけられた。そろっと目を開けると熊は去っていた。いったい何のまねだったのか、思えば熊は冬眠してるはずじゃないか。

    ■気がつくと女になっていた。早速姿見の前に立った。
    「やっぱりペチャパイだったか…」
    女になると今まで色っぽく見えていた女がただの人に見えた。またにひっかかるものがないのが何となく頼りない。女風呂に入っても何も感じなかった。
    「当たり前じゃないか、女なんだから」
    高笑いしながら街に出ると男どもの視線が突き刺さる。このスケべおやじめ、つんとしてると
    「おい、ブス」とある男に云われた。
    途端にその男をグチャグチャに撲殺していた。翌日の新聞を見ると、その男とは女になる前の自分だった。

    ■江戸時代か平安か判らない風景である。丹塗りの大きな神社の前にいる。時代劇のエキストラたちが賑やかに行き交っている。私は森の石松のような股旅姿。前から夢によく出てくるシーンである。自分の前世なのか。

    ■友人に「プールバーに行かないか」と誘われ、「OK」と即答。「やあ」水泳パンツ姿で手を振ると、いきなり全員から大笑いされた。プールがビリヤードとは知らなかった。大恥かいた。


    貧乏党さん、金持ち党さん

    「うちのさんってお金儲けヘタなんですね」
    何かの会話の中で、ある女子に何気なく言われ、返事に窮した。と云うより、かなり心臓にきた。ズバリ当っているだけに笑ってごまかすしかなかった。でも逆に「お金儲けがうまいですね」と言われたらどうか、竹下さんのほめ殺しみたいで気持ちよくない、これも喜ぶ人はいないと思う。
    弱点である営業能力の欠如か、そもそもお金儲けをしようとしてないのか。この金欠生活からの脱却を計画し試みるのだが、一向に先が見えない。いつもボランティアばかりやっている。
    「友達の店のキャラクター作ってくれない?報酬ないけど」と友人から電話。
    「ハイ、OK」即答。
    「私の名刺に入れる似顔キャラ描いて」と別の友人。
    「ハイハイ、OK」
    「うちの玄関に掛ける絵、何かくれない?」
    「ハイハイハイ、OK」
    いやと言えない性格、いつも二つ返事で了解。お金はもらった記憶がない。版画は友人たちに只で配っている。ちょっとカット描いてと頼まれ、只みたいな値段で渡したキャラがしばらくしてメジャーなカラオケ屋の大きな看板になっていたことがある。そのキャラが大きく入ったバスまで見た。当事者の友人に訊くと自分も知らなかったとの由、やられたと思った。
    「プロなのだからちゃんとそれなりの報酬もらわなきゃ、自分で自分の首絞めてることになるよ」と先輩デザイナーから助言あり。判ってるつもりなのだが。
    デザイナーの友人の中には何人もスタッフ抱え、税金対策に悩むほどボロ儲けしてる人もいる。高級住宅地に城のような自宅を構えている。噂だが、妾宅も何処かに隠してあるらしい。着てる服も如何にも高そうな代物で、何となく寄りつきにくい。いつもキョロキョロ周りの様子をうかがい、自分有利な位置を取ろうとぬけめない。かくタイプのデザイナーには何時陥れられるかわからない。designと云う意味には「陰謀」も含まれているのだ。と思うのは貧乏デザイナーのひがみか。
    逆にアーティストの友人は「清く、貧しく、美しい」清貧と呼びたい。売る為の作品ではないので必然的にお金がない。故に殆どが何らかのバイトしてるようだ。
    「地球の穴に土管一発ぶちかましてきた」
    ヒゲづらで大笑いし、土方のバイトしてる人もいる。
    「ちょっと古い土だったのでつばつけてした」
    とプロレスラーのような肩を震わせて豪快に笑った。貧乏を楽しんでるようにも見える。
    孤高の画家Mさんは異色で、ギター抱えて街角に立っていた。
    「Mさん、最近見た?」とアーティスト仲間に訊かれ、
    「そういえば、おおとらん(会ってない)」
    「博多駅でゴミ箱に片手突っ込みよったげな」
    「とうとうきたか」
    時は流れ、次に私の耳に入ってきたMさんの噂は、
    「道端でキリストのような格好でホルモン焼きよった」とか
    「厚化粧で女装し、駅前でポン引きしようて」
    「福岡ボートのノミヤらしい」
    「ストリップに出てたの見た人のおるげな」
    「顔歪めながらタバスコをただ飲み続けるだけの大道芸しよった」と云う類いのものだった。
    今年Mさんから久しぶりに年賀状がきたが住所が博多駅前の公園になっていた。かなりきてるな、逢ってみたいような気もすが怖い気もするし、躊躇している。自分も何時かく状況に陥るか、可能性ゼロではない。漠とした不安がどこかにある。


    「ととと」とモンチ 

    書店で欲しかった本見つけ、女子店員に言った。
    「これ、モンチしときますけん」
    「モンチ!」
    店員はそりくるかえり、吹き出しそうだった。
    「知っとう?」
    「知ってますよ。ハハハハ」
    二人で笑いながら、
    「福岡市内生まれ?」
    「はい、子供の頃言ってましたね」
    モンチが受けた。嬉しかった。モンチ一言でこれほど盛り上がるとは。如何に親しまれ愛され続けた言葉であることか、面白かった。モンチには、えも言われぬ博多少年の郷愁の響きがある。嬰児の寝顔に頬ずりしたくなるような、何と云うしおらしさよ。その店員は23歳くらいに見えたが、モンチを知ってる世代はどの辺りまでだろうと興味がわき、小学生の息子に訊いたが知らなかった。もう消え去った代物なのか。

    モンチとは「ととと(取ってます)」と同意であり、keepである。語源だが、何かの集まりの機会に広く訊ねてみた。「私の物(もん)」からとか、フランス語のモン(英語のmy)からじゃないか、いや音痴から、問痴かも、と各々好き勝手な仮説が論断風発したが不明のままだ。こうなるとモンチの全貌を徹底解明せずにはいられなくなった。内なる研究心に火がついた。もしや福岡以外にもモンチ使っている地域があるかも、「モンチ分布図」でも作成してみようか。この際「モンチ」を博多の絶滅危惧用語に指定し、後世に記録として残そうではないか。古いやつこそ新しいものを欲しがるものでございます、モンチに心当たりある皆様、お気軽にご一報ください。
    「二度モンチしたら何と云うか判る?」と友人に訊ねた。
    「再モンチガーファンクル」
    「サブ」
    「何?」
    「モンチッチ」
    猿の顔してうそついた。ハハハ、バカな人間でございます。


    プサンハン流星群special 初の韓国・釜山紀行

    昨秋の福岡アジア美術館での「日韓米アート交流展」での韓国側アーティストのお誘いで、友人アーティストの釜山での個展鑑賞兼ね初の釜山への旅へ。ビートルの広い座席で免税ビール飲みながらスイスイ3時間。韓国第2の大都市がこんなに近かったとは。港内の銀行でさっそく円をウォンに換える。窓口行員が見つめるハングルのパソコン画面がやけに新鮮に映った。インターネットやデジタル環境は日本より進んでいるそうだ。いや、日本が遅れ過ぎとも聞いた。1万円が10万ウォン強になり、なんだか得した気分。インフレのトルコかどこかに旅行した人の話で、換金したら億万長者になったが比例して物価も驚くほど高く、散財したと云うのを聞いたことがある。でも韓国の物価は安定して安かった。
    案内してくれた版画家の安永燦(AN YOUNG CHAN)氏は福岡でも数々の個展を開いている親日家で、美術大学の教授でもあり、日韓アート交流の橋渡し役的存在。大阪芸大の留学生だった経歴あり、日本語堪能。安氏は日本では「あんさん」と呼ばれ、やくざ言葉みたいだと笑い、韓国人は「ひ」の発音が言いにくく「は」になり、「ひげ剃り」を「はげ剃り」と云って大笑いされたと云う人の話を楽しそうに語ってくれた。
    昼寝したくなるような竜頭山公園を通り、活気溢れる国際市場からチャガルチ市場へとそぞろ歩く。道のまん中にオムニ(おばさん)の屋台(韓国版、西新のリヤカー部隊か)が並び、300ウォン(30円!)のオデンやチジミを若者たちが囲んでいた。商店では高級ブランドのコピー商品を堂々と売っている。ロレックスをはめ、ヴィトンのバッグを提げた学生を何度も見かけた訳が判った。
    釜山の人々は一様に気さくで明るくタフな印象を受けた。道を訊ねても親切に教えてくれ、店に入っても良心的だった。韓国人と日本人観光客とは外見が同じで私には見分けがつかなかったが、現地の人にはそれはすぐ判るようで、不思議だった。
    タクシーに乗った。仄聞していたが運転の荒っぽさは交通マナーが悪いと云われる福岡の比ではない。後部座席で固まってしまった。クラクションで通行人蹴散らし、ちょっとの隙間をこじ開けるように割り込み、カーブでタイヤ軋ませ、高速料金所のカゴに小銭を叩き入れた後はひたすらぶっ飛ばす流星コースターと化していた。どの車もハンドルが太く(女性の運転は無理だろう、見かけなかった)、頑丈な滑り止めグリップがしっかり巻いてあった。でも料金は安く、40分走り高速代含め7,000ウォン(700円)位。韓国をレンタカーで回ろうなどと軽く考えてる人がいたらやめたがいい。甘かろうぜ、なめたらいかんぜよ(古いか)!あの流れに乗るのは命を賭した人にしかできない。交通取り締りの警官を見たが、腰に提げた立派なピストルがやけに目立っていた。さもありなん。
    親睦の酒席となり、教科書問題等で反日感情を心配していたが、韓国側アーティストから「言葉は通じないが、私たちは作品で対話できるチングー(友達)」とすごい歓待受け、感動。お酒も皆さん強いです!真露(韓国焼酎)を生で何杯もお酌されるが、ペースについていけなかった。釜山港での別れ、泪くいとめれなかった。日本の「和」に対して韓国は「情(ジョン)」との由、こんなにやさしい国だったとは。

    釜山の皆様ありがとうございます。名物料理、熱々の参鶏湯(サムゲタン、餅米や人参等の具を鶏肉で包み石器で煮込んだ物)うまかった!おみやげの金箸とアカスリタオル今も愛用してます。カラオケで「釜山港へ帰れ」選ぶようになりました。またお会いしましょう。カムサハムニダ。 


    少女編・16歳の夏休み

    日曜の昼下がり、萩原朔太郎の「猫町」を調べていたら「つかぬことをお伺いしますが」とある理系のH博士よりお誘いあり、むかごと綱のありかたとコカコーラの曲線についての話を訊くが、私レベルの学力ではついていけない博覧強記、パラドックスの連発。二人で近くの縄文遺跡へ散歩し講釈受けるも、ここが死刑台のエレベーターに似てて云々と、さっぱり判らない弁。頭良すぎて狂った人か、バカと天才は紙一重か。でもこれが「ツインピークス」のDリンチ監督の如くメタフィジカルで遊べる男子世界かも。ストイック女子が平凡な結婚してお定まりの賢母に適応するように、こんなわがままな男こそやさしい美男子よりフェミニストかも。
    お待たせしました、鬼才H博士プロデュース、北の銀河に描いた☆のスケッチ。umeo大河浪漫ダイアローグspecial第1弾「少女編」、いよいよ始動。春浅き日、風の音に驚く泪の2002浪漫派女子の皆様へ贈ります。さて、貴女の胸には何がのこるでせう、部屋を暗くして読んでください。

    produce●H博士
    cast●きつね●彼氏●ぽたぽたヤギ●おばーちゃん(ステファニー)●星屑●鹿の親子●ガラス 他

    special thanks●諸岡3丁目商店街●ホワイトベアBAR●コータイC●K食堂●おばーちゃんの店 他 

    見上げると夢のやうなさやかな宵ですありがとう!月灯りの影、きみは何処からきたんだい?ずっとあっちの方ふーんあっちから何処へ行くんだい 1972年春 自分で前髪切ろうと思ってます ふーん

           つかのまの諸岡3丁目だけど starlight bar 白衣のマスター カンパリソーダを

    ハワイに島いくつありますか モロカイ島は?  知りませんが 帰り道くらいは知ってます そうかい爽快 そう書いとって
    じゃあね★see youばいばい
    ★何が見えたんだろう、海岸で独り
    あさて あさて サティは南京   どうして同士よ

         まっててね ★いけません★そうかなかえろうかな★籠の中の鶏はいついつ
    ★ねえ        
    なに     もういい  そろそろおらぼうか  いまなんていったそうだな★お小遣いおいくらですかそんな、こわいの? ううん、気持ちが悪いんだよ★彼女は素直に云った 
    ばかねそうだよ

    ★つかぬことお伺いしますが、いつもここでなにをなさっているのですか  別に じゃ見せていただけるのですね  ちょっと値が張るよ   おいくらですか ☆安いよ、安いよ!

         諸岡3丁目、友田外科前で降ろしてください   ☆
    いつもあなたの
    諸岡商店街 ☆ 不知火ビルはheとmeのデパート   ☆そうかな   ☆    ★げんき?

         今は見たくないです  ★下手よりワラビ餅売り登場

         まちなさいよ、あんたに話す事があるわ       もう許してくれてもいいじゃないか  ☆     おいくらですか
        ファンの皆様おめでとうございます   ヨイヨイ!  

      かえろうかな   じぶんの身体大事にしろよ

              ☆                あの、お勘定まだですが

    ★風の音聴いてるだけ  ★あれ、トイレじゃなかったの?  ★もう、いいの…

    マッチいりませんか☆混じりませんか★まちがいありませんか★べしべし もーしもーし嫌いなんだろ このあまのじゃく どうだい具合は 話してごらんさあね わかりません 地獄耳なのね なに? 聞いてるの? うん(老婆がこける)★はい足をあげて 息を吸って 吐いてそんな死んだマネなんかして勉強がしたいの? あたりまえだのクラッカー サブ★しまっとくんだねそんな素敵なこと(看護婦の巡回の後、時計の音と雷鳥のスライド画)
    三日月好き? そうでちゅ蜜柑好き
     ありがとう!お礼なんかいわなくてもいいわよ おやすみじゃあねばいばい

    つかぬことをお伺いしますが え? あなたの趣味は? 温泉とグルメ 歯茎から血が出ませんか? もんじゃ焼 おいくつですか  いや草加せんべいを2ヶくださいうふふ そうかなー そうだよ★なんていやなやつ 帰ろうかな★いーだ        この車どこまでいくのだろう  まいったんぐよね〜

    きみは女子なんだよねなんにも知らないんだから まったく本当に?助けて! 手錠ネックレスをあげよう 
    その新聞紙に包んであるものは? おもちゃ
    ★毒薬じゃ? こいつは薬になるんだ 毒じゃないほほほ、ほら見てごらんなさい!ひひひ 夜霧の街できつねがお店のチラシを配っていた★いらっしゃいませようこそ 鹿の店へガラスの店内★本日のお勧めメニューはこちらです 

        越中富山の薬売り回転special それチュチュンガチュンあなた神経質な方?★ううん、
    肩の凝るつき合いが嫌なだけ
    柔麺替え玉一丁 ヘイ! ネギも? そうだよ シナチク入れようかな

    ★ちょっと散歩してくる 鹿の親子が通り過ぎる★内容のない男ほど退屈なものはないわね★いいじゃないか 人間だもの ★淋しい?
          
    2番線より南福岡行が発車します   弱いね かすみ草かな 月見草かな よくわからない ☆なによ なにも見えないくせに
    あサティ あサティ あサティはなんきん

    ちょっと待ってよ あれあなたのううん  雨だね☆雪になりそうね そうかな 帰ろうかな もういいのよ  かすかにふるえる風に泣いている  hahahahahahaha ホワイトベアの扉に何を語りませう☆もう夜明けだよ あてはないけど☆そうだね見上げてみたいな
    木陰ゆらゆらねむの木らららガラスの北の国かな いえいえ小樽のビール工場です シベリアソーセージくださいねむたいね☆ららららららっ
    星屑「どうしたの」

    きつね「いや、そうかな」
    鹿「きみきれいだね」
    ワラビ餅売り「おねえさんはいくつ」「三つください」★どこへいくの  べつに
    星屑「素敵だね」
    きつね「彼は?」

    いつかのいつかのいつか   独りの夏の遠い道  白いシャツが長い影ひいて☆
    きみに云ってたかげろう lonly lonly lonly lonly girl in the moon
    なもなもなもない花に 飛んで砕けた海賊船長K★いらっしゃいませようこそ 海の見える部屋でございます ごゆっくりどうぞ
    すまねーな どのくらい獲れた? 大きいの逃しちまった 
    いい日もあれば悪い日もあるさ 坊や歳いくつだい? 11 今度船に乗せてよ 

    8番乗り場から列車が通過します 危ないですから白線の内側にお下がりください

    麦の穂ゆらぐ風のニュアンス☆昨日きみをちらっとテレビで見たよ いつか終わるはずだったのに
    ☆きみのうちが判らない
    この虫どこへ飛んでゆくのだろう   ボタン一つはずしていつかのいつかのいつか ★なもなもなもない花に

    プラタナスに眠るガラスヤギのたよりなさ。
    きみが見た雨の夜のトム・ソーヤ、富むそうや、虚無僧や、混むそうや、
    寒そうや 
    ☆するとお前そこにいたのかよ と彼氏は云った☆聞いてる? 
    いい人だこと あんな奴どうでもいいじゃん 吐きそう  こいこいこい ラジャー! おばーちゃんのポタポタヤギ

    待っててねご自由にお持ち帰りください。のAにしようかのBにしようかな。★電気焼きにする?
    今日はdesign会議です ☆しんちゃん本当? 
    懐疑的な人ね ★明日のdesignの方向を探っていきたいと思いますので参加をお待ちしています なんでこれらはコレラか★どうして彼らは枯れ葉か☆  毛ガニ食べ放題、飲み放付! 限定コース やったー!いいじゃん このポスターの黄色バックって飽食感あるし 明日は支笏湖と札幌だね ★皆さん苦しいと思いますよ  私はもう随分前からここにいます _― ̄ ̄―_  馬の眼ってよく見ると哀しいと思わない そうかな  
    むかごって何ですか? ただいま  青い火影の16歳文月 踏みつけられた影 おかえり ☆また前髪自分で切ったよ★花は美しいが花の美しさはない 誰ですか? ★下界ではそれはしかたないことなんですよ 芸術家の一生がどう云うものかお判りですか☆ あなた外科医なの? ★   誤解だよ 三角屋根と丸テーブルの魔術師ですよ 建築家ってこと? いえただの商人ですよ お上手だこと 先生の話には女子が全く出てきませんね やめなさい! 娘がいない人には判りません★ ★そうかな ようするにカエルの子はカエルだよ    帰るとするか☆  北キツネに餌をやらないでください

    ☆さあいらしゃいませ皆様お待たせしました、銀河流星の滝ですわー〜〜_― ̄☆ ̄―_┯☆┿    写真撮ってもらていいかな  やめてください苦手です キムチ   すべりやすいので足元にお気をつけください☆ シベリア水飲んでみようかな あ、こんな処に親子の星が落ちてる☆おや、この子、ほしいの?ふーーん  おじゃまします★   あの子はこの子でこの子は能古の子であの子の能古の子  三日月には桔梗が似合うね  いったいどうすればいいの私  もしかしてK氏に惚れてる?彼氏を軽視してるわけじゃないけど  それ、さよならってこと?  ☆ううん  もういいの  すみません   もういいの終電は?   諸岡交差点を右に曲がってください  はい、ここでいいです  雪だ! ごめんね  白い襟 細い肩 淡い影 白樺の細道  もう来ないのね ☆ばってん、あん人たちまだ帰って来なれんばい  最前のきつねは?  一番右のお嬢様、もう少し寄ってください☆見れるといね  仕事は? ☆かわいそうに   ∴☆∵ わーかわいい!   ちょっと、きつねに餌やっちゃいけないんだよ  ☆いいじゃん、ちょとくらい☆裾がからんでるよ 気持ちいい?  feel so good☆ あんたのお母さんはおんなさる? うん え、あんたのお母さん、女の猿やったと?ちゃんとあやまりばいうてきんしゃい★21、なんちゃって☆ よくいうよ  もっと丁寧にやれよ!  それでは浣腸します ガチョーン∴☆∵★∴      

    ガラス「もうすこしいていい?」
    きつねううん
    星屑「ちゃんと見てくれたかな」
    ガラス「え、そんなに見せたいの」
    きつね「もしもーーし」
    ガラス「もしかしてK氏だったら?」
    枯れ葉「いじわる!」
    コウタイC「この席
    交代していただけますか」
    きつね「もうすこしでいいのよ、オホホ」
    八百屋「女の口から言えるわけないじゃん」
    彼氏「
    うそ八百

    いつのまにか彼氏はきつねを見失ってしまった。シベリア水飲んでしまったきつねはくねくねとした路を白い森へと帰って行った。銀河の雫は凍てついたままで、星屑は遊びほうけ、夜霧は気取っていた。翌朝、おばーちゃんの家に鹿の親子がみやげに訪来た。背戸の鶏小屋に丸いお月さまがぽっかり浮んでいた。

    きつね「淋しい?
    ステファニー「ううん」

    靴の紐がとけてるよ☆それじゃ、ホワイトベアBARで待ってる  俺ビールがいい★髪、友達に染めてもらいました☆何にする?  ☆わー、夜霧が出てる  Cソーダのお客様お待たせしました★K氏は?  連絡なし☆ありがとうございました  またお願いします☆ 諸岡まで歩こうか? うっそー、ヘイタクシー☆夜桜+三日月+=_― ̄☆ ̄―_★すみません、そこの醤油とってくださる ★で、あなたどんな仕事してるの?  design ☆肩こりそうね きつねはなんだか居ずらくなってきた  ☆∴☆∵坊や、2回目の合図で決めな  明日は晴かな  そんな事やってて人生のムダと思わない?  あんた江戸っ子だってね∴☆ 女っておんなじね こんな字って女字? 仁和寺じゃ? on energy そうかな☆  じゃ、あなたがきつねなの? ☆なわけないだろ じゃ、彼氏?★ 21なんだよ! 分ってくれたかな  そんなに言わなくても  娘ってこと? みたいなものかな いや妹にしといてよ   君がいた去年の夏★遠い街の灯 汝が刈ったきみの髪   lonely lonely lonely boy ああ、また靴の紐がとけてる ★21がどうしたって言うの まあまあいいじゃないか  その角っこを左  懐かしい店だね  気に入った?  〜☆〜どうかな _☆ ̄_  
    コータイC「
    ぼぼくはですね…」
    きつね「なに?」
    ぽたぽたヤギ「そんなに私を買い被らないでください!」
    彼氏「
    じゃ、バイバイキン
    星屑「あのヤギさんは?」
    ステファニー「どぎゃんもこぎゃんもなかばいた…、さあ、上がってはいよ」
    星屑「彼氏とけんかしちゃった、謝ったほうがいいかな?」
    ガラス「きみたちには空気みたいだろうけど」
    ヤギ「よーとろ(酔ってる)?」
    彼氏「本当は淋しいんだろ」
    きつね「
    判る?
    おばーちゃん「女のカンたい」

    それって泣いた赤鬼でしょ ☆What?  親友の赤鬼のために青鬼が悪者の芝居して犠牲になる ☆鬼が島を去った青鬼は何処へ放浪したのだろう ★いや それならスリーピーホーローかな  首なし騎士の? カルタゴの将軍は  ハンニバル うん ヨーロッパとかの森がいいじゃん 赤頭巾ちゃんとか白雪姫の  ぼくは野菊の墓かな  Be silent! そんなTVゲームなんかして虚しくない? もしやおたく女子じゃ? きみには赤が似合うね  月見草ってこと?ホワイトベアBAR行かない? いいね  _― ̄_ マスター、電気ブラン☆  わたしはビールを  へいお待ち ☆それでは河村長次郎先生のリーダーの時間です レッスッン2の32頁を開いてください ☆tiger tiger shineing bright ★ たいがいにしてよ☆    only you don't worry   Cソーダを一つ   何聴いてるの?  moon river  この人ちょっと仕事が雑だね  じゃあ演出誰にする?  しんちゃんらじゃ?  ラジャー!  ちょっと、デザイナーってそんなに甘くないのよ! バカね∴☆∵わたしピンチ ☆だって21世紀なんだよ そうだね  春の宵にはかすみ草が似合うね ぼくはタンポポだね  白い? いや黄色い  彼氏は仄かにうつむいた  〜☆〜12時回りました そろそろ閉店です 皆様ありがとうございました  今度絶対誘ってね お願いよきつねさん  OKキムチ 何よそれ?  きみは女の子なんだよね   花残る能古の陽にのこのこと能古の子になってみませんか?

    ★開かれた春の茶室 お宮の坂道 枯れかけたスイセンの花 16歳 独り

    「ここはどこですか」自転車を押して通りかかった女子に道を訊ねられた☆ 
    「わかりませんが、
    曇りになるだろう
    「あなたはどこへ行くのですか」ころころ変わる彼氏の心は判らない☆
    「あっちへ」
    「ふーん、あっちへ…」星屑にとって夜霧とは何だったのだろう 
    ∴☆
    「行けません」
    シベリア水はどこにあるのですか」
    「あのポストの角の養鶏所にあります」長く青い道の中☆青い風に草いきれが立った★ 
    ヤギ「あんた、
    彼氏の何なのさ

    もう七日なのよ そうなのか  ★そうだよ また遊ぼうね  きつねさんどうしてるかなもうずいぶん逢ってないけど  もし私を騙すなら騙し続けてね じゃバイバイ  井尻駅の踏切越えて右  白い看板が目印です  それもしかしてホワイトベアbar?☆いらっしゃいませ ありがとうございます 乳が出ますー ヤギがミルクを出した  When from here?  She said,since1969 ★ 忘れるために来る人と思い出すために去る人 ここは天国かそれともエデンの東か  月が青いから遠回りして帰ろうかな   もう忘れるんだな

    出口はどこだろう こんにちは世界の国から   おっと!シャープ兄弟にブラッシーが噛みついた!そしてグレート東郷が下駄を持って現れた! ☆あ名犬ラッシーだ! バラバラ食べてね  老練者ー いっちゃいや サインはVよ あたし愛のためなら死ねる… ズルッ!∴☆∵警戒警報!モンスターが脱獄!緊急配備につけ! ミニスカポリスに人体実験カクテルお願いします  醤油もね  いや酢醤油にしょうかな★ 隣の席に狼男とDr.スミスが座った  仕事中?  うんぼくはいつも仕事  コンピュータばかりね  好きなの? まあね  でもきみは女子に生まれて楽しそうだね そうかなー男に生まれたかっただよ  あー父さん母さん あー感謝してますちろちろと燃えるピートの火  バスのヘッドライトに照らされた眉☆長い影 川面のリズム 白樺の小道 青い風のリズム眠る街でゆれていた前髪 髪まだ切ってないの? くしゃみくしゅん 見せてあげないもんだ  意地悪! ☆雨降りお月さん エレキギターでツェッペリン!  いいじゃん  パイプラインいっとく? T-rexのメタルグルーある? 音楽と美術でコラボtogetherしない? うち、つるんとした人より男っぽい人がすいとっちゃん  ☆「つるん」って彼氏のこと? いやだー  何と云う俗っぽい女! バイバイ きつねは一歩引いた 「ウェーン、サミシーヨ−」と星屑より突然携帯mail入る  「ヨシヨシ」と返送  「遊べる?」と今度は船長  今度俺絶対誘ってくださいね ゼッタイですよ! 蜘蛛の巣張って待ってまーす  面白い女子だねきみは  そうだよーん 女の子であるのです☆ そろそろ出獄のお時間です   次の信号曲がるとさよならだね いやです   どうしたの  ううん それに関しましては記憶にございません ☆もしかしてデジャブじゃ? 今夜は春日部の哲ちゃんがお届けします  woman dam  ウーン、マンダム
    横尾のシュウマイ子だくさん
    次はばーちゃんspecialでシャウトしようぜ 笹原駅に7時 歩10分  カステラ1番電話は2番下の山バス停前☆このアトラクションは何回くらいあるのですか  決まってません  もう誘ってくださらないのね

    コータイC「じったんぼにうっぱずまって どぎゃんもこぎゃんもなかばいた」
    ポタポタやぎ「口コミの
    ラーメン屋行こうか
    コータイC「あごたんのうっぱずるごつうまか」
    彼氏「替玉しない?」
    きつね「
    もういいの
    夜霧「あー閉っとう!」
    大河内伝次郎「
    オョョ

    今どこ?博多の人よ すぐそこ 伯方の塩よ ☆チカリタビー   いらっしゃいませこんにちはビールにお弁当如何ですか  ここはどこですか  よく判りません☆  あ 満月 モチヅキ音頭いっていい? よかくさドドンガドン ☆虎のパンツはしましまパンツ 見えすぎちゃってこまるのすみませんが私ここで失礼させていただきます ああわがまま娘 これっきりですか バイナラ ☆倍ならどうしてもう少し待ってくれなかったの 今のあたしには死ねと云ってください そんなにお金が欲しいの ああこれからも娘thank you 花はいりませんか 青い☆もあるでよ  ☆夢が見たかったらお金持ち過ぎちゃいけません  たとえ貧乏でもあなたといたい  ガラスの部屋のお嬢様★この指輪この次絶対はめてきてくださいね ☆プリクラも?  女友達と呼ばないで   〜☆〜どうして早く眠らないの  オリオン座で遊ぶ☆たちは 亜麻色の長い髪でからみつく  幼い兵士は目を伏せて やさしい眉を浮かべてた  きつねどうしてるかな☆バイト終った?  今どこ? 彼氏ああ見えてけっこう浮気だね  ☆えりゃムシャんよかー 花から花へと行った人   お持ち帰りできましたか? きつねに惑わされてる彼氏は間抜けに見えるが星屑に騙されてるヤギは哀しい  きつねはうつむいた★ あんた泣いてんのね だから云ったじゃないの  アフターサービスはしっかりしてるの?  もしかして…アナブキンちゃん 男と女は無いものねだりさ  どなた様もお忘れ物にお気をつけください★のってけのってけ    あられちゃんのがっちゃん知ってる? うん  「ポアイ」っていってたのは?  なによそれ  次の試合負けられないからね  相手は? チー坊! 夫と出ましたオットト★夢の小道は半端じゃないのよ  右ストレート叩き込みたい  ケン、とめりー  わわわ輪が三つ  ワァオ!モーレツ☆ワイター  空手をピシッピシ パンツをスルッスル     立つんだジョ−ーー!  あ、道場破りだ さあドウジョ  同情するなら金をくれ
    彼氏「
    青い☆をください」
    マーガレット「しばらくおまちくださいませ」
    彼氏「これは楽器じゃ?」
    マーガレット「え、すみません、ここにはございません」
    コータイC「
    まうごつ出るばい!
    イカポン「おいもいーく」
    彼氏「What?」
    ウルトラ萬太郎「おてての手話と手話をあわせて 
    シュッセ
    ☆  
    中庭で踊る人々、テーブルで談笑する数人  ∴☆∵夜光虫のように光っていた
    ヤギ「彼氏、あたしにすごく甘えてくる」
    チー坊「
    いいなあ
    きつねはヨヨと泣きくずれ「だって淋しいんだモン」
    コータイC「そぎゃんがまだすと 
    うっ倒すばい
    夜霧「このあいだ君を新聞で見たよ」
    船長「このボトル
    処女じゃん、ラッキー」
    ポパイ「
    ワオ、なんてこったい」

    遊びほっつき歩いていた星屑はいつのまにか知らない街に迷いこんでいた甘く湿った狭い商店街をぬけ マーガレット咲く庭の白い柵を過ぎると  光の国だった  ガラスのリズムとエメラルドたちの鬼ごっこ  オレンジ色の遊び相手は泪だけなの☆  遮断機をくぐるとどうすることもできない風の丘 たんぽぽの小道独り  どうしたの  眠たいだけさ誰かさんと誰かさんが麦畑  泣きまねしていたきつねは彼氏の車に乗った  悲しい出来事が起らないようにバスルームにルージュの伝言   どこへ連れてってくれるのかなウフフ   井尻ばーちゃんspecialバージョン2   What?  出ましたコータイCのスクイズ! ファンの皆様これからも応援よろしくお願いします  老人と子供って似てるね  いつかはおばーちゃんになってしまうんだから そんなに云うとかわいそうだよ    俺もうすぐ22なんだよ  えー、かわいくない★意地悪!  いいの ふられるの慣れてるから だってこれがあたしの原寸大 もう泣きまねなんてできないよ  おっと、チー坊が泣いています、あのチー坊が泣いています! レギュラー現金満タン入ります  横顔見つめる彼氏の視線 もうあえないのね  恋の意味さえ知らずに 星屑は気のないそぶりして仲間に加わった
    星屑「彼氏のおしりかっこいいと思わない?」
    夜霧「うちジャニース系が
    好いとっちゃん
    船長「あんたらそんなことしたら、いつかケガするよ」
    チー坊「そんなに彼氏にほれとうと?」
    星屑「ううん、彼氏にはきつねさんいるもん」
    ヤギ「彼氏、きみにかなりきてるみたいだよ」
    星屑「あたし 自分からいくタイプ でもつまみ食いされたらいやだよ」 
    コータイC「はい、
    もう終り!

    あなたは夢のお城に住んでいる  青い天使がささやいた彼氏はきつねの横顔をのぞきこむ 草原の輝き ゆれる眼差し★オレンジは好きかい  鏡さん みんなに会せてくださいな  おやおや八百屋さん  会社って男の遊び場さ☆たまらん たまらん たまらんぜ たまらんこけたら皆こけた もうここから先は自分でゆくのよ ハンカチ持った? 水筒は? もしあたしのこと思い出したら声を聞かせて  何も足さない何も引かない∴☆∵世の中思い通りにはならないが、なるようになるささっきの電話彼氏でしょ ∴☆∵女の意地なの 
    女の子に生まれた事 あなたを知ってから誇りなんです  あなたはやさしい人ね  ☆花の命の短さ
    知ってるの?  夜霧はふせ目がちに それは云わない約束でショ!   ただの季節の変わり目の頃  と、あなたに云っているのに  まだ春なのに   そうかな ☆「この扉いつ開けてくださるのですか」と、きつねは訊いた  門番は無言のままうつむいた  とうに20は 過ぎたろに   ∴☆∵最後の宝石をあの部屋へ届けておくれ、つばめさん  ★本当にいいのですか これっきりですよ ☆どうせ短いあたしの命 ☆ある朝 花は枯れていたよ 白いページの中で埃にまみれたつばめ 忘れられた部屋の片隅
    うつむいてた彼氏は仄かなスピカに訊いてみた  ☆ 草原の輝き  スカンピン冒険者たちの寝床  すみれの丘に映ってた夜霧の影     ☆   星屑の戸棚に檸檬の儚きオブジェ
    スピカ「眠れないの?」
    彼氏「みたい」
    スピカ「もうすぐ
    22だよ」
    彼氏「だね」
         
       風に揺れるポプラ ああ君の前髪やうだ         
    それで          ★     終ります
              
    君が見てた月  僕に充てた海  天使は微笑み 夜霧はおどける 裏山の猿と泣いた赤鬼はいそいそと、宵祭りの街へ下りてゆきました 

     さあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい のぞき窓の後姿が蛇喰い女だよ ヒヒヒ 隣は青鬼に育てられた狼少女だ お代は出口で後払い いらっしゃい いらっしゃい 
    角の見せ物テント淋しい?  
    _ ̄☆ ̄―_ちょっと疲れただけさ    二人は猿に生れた哀しさと赤鬼に生れた空しさを知ってしまった
    猿「青鬼さんへおみやげ買う?」
    赤鬼「この
    提灯にしようか
    「このガラス細工もかわいいよ」
    提灯さげた二人はお宮のわきをぬけ 月影の川を渡り 山へ帰りました_―
     ̄☆ ̄―_
    ある日 久しぶりに青鬼の家を訪ねると扉に
    貼紙あり
    よかったね いつまでも二人仲良くやってください 私はまた遠い旅に出ますsee you  from青鬼

    25年後、きつねが降り立った街は雪に埋もれていた  おーーーい_― ̄☆ ̄―_   エゾ松から落ちた雪塊の中に小さなガラス細工が出てきた  ピンク地に銀のストライプ  これはどこから来たのだろう  だれかが隠したのか   ぼくちゃんのです と突然チー坊が取って逃げた  数日後チー坊にFAXが届いた
    その品は貴方に差し上げたいが、この世に唯一つ故次宛先の持ち主へ返却乞う  u-00014-moon1584

    ライダーック
    ライダーャンプ

    きつね「あたしは女」
    王子「何故」
    彼氏「それ以外は男」
    「まめだね」

    ある日、服に止った小さな蝶とお話をした  _― ̄☆ ̄―_  いつでもいいよ
    燕「何故ここに来たの?」
    蝶「ブローカーに、日本いっとく?と云われて」
    彼氏「じゃ、1本いっとく?」
    蝶「何よそれ」
    彼氏「古賀コーラ」
    蝶「シベリア水にしてください」
    彼氏「え、知ってるの?」
    「ホームページの検索で」
        
      花を飾り、毎日、蝶を観察した   いけません やめてください
    燕「together OK?」
    蝶「そりゃ 
    ムリ
    彼氏「めでしょ!おいたしちゃいけません」

           ある朝、蝶は蟻に運ばれていたよ      でも ここが好きです
    木漏れ日ちろちろと踊る公園の砂場
    王子「花の宴あり together如何?」
    蝶「え?こまっちゃうな 
    どうしよっかな  ちょっち待っててね
    きつね「あんた 女の道なめたらけがするよ」
    王子「何故?」
    きつね「女のカンたい」
    彼氏「赤い
    スウィ−トピー入れて」
    燕「
    亜麻色の髪の少女いっとく?」
    聖子ちゃんの
    ブリッ子泣きは如何ですか? いやいや _― ̄☆ ̄_   もっと感傷的であればいい

    報われない彼氏はいつも夢につかれている     船長はその判断に苦慮した

    王子「あの娘へ届けておやり」
    燕「
    またですか?

        待ちくたびれたきつねはもう帰ろうとしていた  白雲なびく丘の上 マロニエ並木 

                    燕「いや
      彼氏「
    甘えるんじゃない!

    きつね「燕さん、あなたはやさしい人ね」

    街は仄かな秋色に染まりつつあった  あれからどのくらい経ったのだろう  数時間かも 何億光年かも いや何秒かもわからない  _― ̄☆ ̄―_時はどこから来てどこへ去るのか、だがそこに何の意味があろう 昨日の今日と明日の昨日 宇宙の流れに何変わろう  今観ている☆は紀元前からの光かも  そうだよ  
    きつね「女の子は甘えんぼで意地っ張りなんです」
    燕「あんた 何言い出すの」
    きつね「好きな人には素直になれないの」
    彼氏「ふーん」
    いつか彼氏が薔薇の道
    歩いていたよ  ☆ あの赤い屋根のガラス工場の?  うん   へーえ  それであなたは?   見てただけさ  声もかけずに?   見てただけ  あなたはやっぱり夢のお城の住人なのね  ☆いや まだお城に入ったことないんだ  もうやめてください   長い貨物列車が通り過ぎた ☆草陰でコーロギ鳴く 

    ∴☆∵★∴

    少女編第1話はこの辺で筆(キーボードだけど)を置きます。冬〜春〜夏へと移ろう風のニュアンスに映し出されたumeo星座スケッチ如何でしたでせうか。大好きなロッテの小梅ちゃんイメージして、きつねの淡く儚い影を銀河に映し出しました。この国のべったりとした私小説を打破し、21世紀の戯曲をとめざしてからそろそろ1年になろうとしていました。2002、何となく内容濃い年になりそうです。窓から月を観れば半月、電線にやさしく分割されていました。

    女子に生まれてしまった哀しみ背負うきつね、男子である空しさにうつむく彼氏の風雅感じていただければと、浪漫派女子へ贈ったつもりが意外に男子の支持者多く、そうか確かに女子には難解だろうなと思い、いや判るわけないとも、いやいや判らなくていいんじゃないかな、ベッカムにキャーキャー云ってる女子はベッカムにも判らないように、理解必要なのは学校の試験だけでいいし、重要なことは判らないことの方かも知れません。

    気がつけば暮れなずむ街は満月さやかな秋風立つ宵になっていました。初の北海道の旅から生まれたこの浪漫、博多育ちの私には銀河の北の大地は絵にも描けない美しさで迫り、毛ガニとジャガバター食べ、シベリア水に☆浮べてはいつも夢みました。初めて見た夜霧、白樺の小道、雪原さまようキタキツネ、素敵すぎます!

    ご指導いただいた少年ARTの巨匠H博士に何より感謝、H博士こそは大人になってもフンコロガシ追い続けるファーブルか、農業改良に勤しむ宮沢賢治の生まれ変わりの如き非凡な科学者なのです。「そうかなー」とどこか宙をぼんやり見てるような人です。そのH博士に出逢ってなければこの作品はなかったでせう。そして沢山の反響寄せてくれた浪漫派少年少女ファンの皆様、ありがとうございました。「癒されます」「シベリア水素敵です!」「バックの紺と☆目にしみます」等の評、嬉しかったです。皆様こそ淋しさ知ってるあえかなきつねであり、気まぐれな彼氏なのかもしれません。いや幸福な王子、もしや燕か、泣いた赤鬼かも。グレードアップした第2話でまたおあいしませう。お楽しみに!see you ☆

    ps:「亜麻色の髪の乙女」聴いてたら、マッチ売りの少女と野菊の墓に山茶花の宿浮び、シャリー・マックレーンのアパートの鍵貸しますから果ては森鴎外の山椒大夫にまで拡がる次期少女編構想仄かに浮上。
    忍び泣く悲劇のヒロイン像を☆究極のぶりっこタッチで描くスペクタクル巨遍、悲恋のストイック浪漫「無法松の一生」に対抗した、続少女編「泪のシベリア水」進行中、キャッチコピー「秋に恋した人から読んでください」、無欠の21世紀少女めざす皆様へ贈ります、乞うご期待!

         


    続少女編・泪のシベリア水

シベリア水に泪ぐんだ少女編ファンの皆様、お待たせしました!女子のpure魂描き出すumeoダイアローグspecial第2弾「泪のシベリア水」愈々始動。かそけき月夜浪漫の諸岡三丁目から生まれた物語です。ご協力頂いた下記の二名のお友達へ深く感謝申し上げます。
筋金入りの浪漫派のお二人なしにはこの少女編は完成しませんでした。月を仰ぎ、星の調べ感じ、花に泣く、美しい日本の全ての浪漫派少年少女達へ心を込めて贈ります。もう還らない十九の春にどうぞ泣いてください。

    ●produce:H博士●special thanks:コータイC

    道端の小さな花にきつねが訊ねた「気持ち良い?」
    花はしばらくきょとんとして「うん いつも(^_^) へへへ」
    きつね「ワァーオ!」
    花「見て 見て」
    きつね「わー 花!」
    花「うにゃあ!!?それって何何?お返事プリーズぅ!!」
    見上げれば東の夜空に半月 電線にやさしく分割されていた
     

    おやすみなさい(^o^)/よい夢を…☆  今までどこにいたの?  これからどこに行くの? 年々男子closedになる傾向感じる。ホテルカリフォルニア聴きながら ☆ 細かいな どうでもいいじゃん だって女の子ですもの めでしょ いけません ちょっぴり灰色の空だね  ああまた主語がない!  訳がわかりません(^_^;)もう子供じゃないの☆日本人クチブエ吹かないね  からたちの棘かな  わー素敵!∴☆∵ それって月子と云う芸者と出撃前夜ピストル心中した青年将校だろ? 永遠のアイドルめざした女子かも いや超ナルシストじゃ  いやいや廓の四季に詩情映す墨客の風情が女子に判る訳ないよ へへへそりゃーちと判りませんなーΘ_Θ  ☆サンフランシスコの夜霧かな 銀の鞍のラクダの月の砂漠の方かな   何故?_― ̄☆ ̄―_★じゃ私に何ができるとおっしゃるの?   とにかくあの角を曲がろう 淡きバイオレットの風だよ  すてきです(^o^)/ゴメンナサイ、今日はダメ子なんで、泣きまする。あ〜女に生まれて良かったわー( ^^)Y☆Y(^^ )な〜んちって(^▽^ゞ
    うぃ〜す!こんばんみ〜です('∞') 今夜はのってるかい? イエエーーイ!! 歯磨いたかい? イエエーーイ!! 今夜お届けするナンバーは「only you」です  ピッチャーでビール頼まない? お客さん新発売「人体実験カクテル」如何ですか  角煮とトンソク2つお願い かつおの袋たたきも 最近彼氏連絡ないけどどうしてる? あまり冴えないみたい ふーん  うち身体弱いねん designerなめたらいかんぜよ!  幼い頃ばーちゃん子だったよ 今は各種の先生たちやって来る井尻barちゃんspecialでブレイクしてるだよ 諸岡specialもよろしく 真っ赤に燃えた太陽だから、ばーちゃんこそ本物の少女がむき出しになってるのかもね  ステファニー「まっかなウソ!designerってステキです  コータイC「あとはどうなろきゃーなろたい」キャラ的にはあっさりノンフライ系だと思うのですが…?チー坊「了解ーっ!!ピコピコピー☆♪☆」

    本日のご来店まことにありがとうございます 明日のおこしをお待ち致しております    元気ふっかーつ!こないだはヘコんでありゃりょでしたが完全復活でぃす! 今宵は三日月だね 工事現場の鉄骨って何となくうら哀しいと思わない? ☆うち弱いねん  あほな女はかわいいのよ そうかな  そこんトコも話しやがれ(^_^) では明日頼みます。へへー。m(_ _)m☆ 株式会社のドアが一斉に開く どなた様でも入れますが出るのは容易ではありません   微妙だけど、元気に夏ばてしてま〜ス。!!(@v@)vVああ!あの頃の情熱がなつかしい…( ̄ー+ ̄)キラーン

    (^ο^)この番組はいつもあなたの銀河製薬とご覧のスポンサーの提供でお贈りします
    ●古賀商店のコガコーラ●いつもの「マル」●イカポン●練馬ヘンタイクラブ

    彼氏「happy birthday 22」
    きつね「うれしはずかしトンソクあります?」
    王子「ちょっち待っててね」
    彼氏「じゃね バイバイ」
    燕「それは運命なのね」
    きつね「風邪ぶっこいて、かなり死に気味でマイッチング。うんぎゃーです。(*_*)」
    王子「多くの凡人のために独りの天才が存在している」
    きつね「元気になりやした!!(^o^)/。うれしいゾ、うれしいゾ、なんだかとってもうれしいゾ!!?
    燕「もう済んだことだわ」
    王子「じゃ サインは?」
    きつね「Vよ」

     

    _― ̄☆ ̄―_

    香港グルメspecialツアーへようこそ  客「この肉料理は何ですか」 ハクビシンの丸焼です、よろしくです。m(_ _)m 客「お願いします。(^-^)うふ☆」

    20世紀がささやくお前は何してるのだと

    彼氏B「意地悪」
    彼氏A「どうしたの」
    きつね「だって何と返していいのか判りません」
    ハリマオ「ああもう22になっちゃった」  ありまー☆ビミョーにしょっく
    ステファニー「皆、幼い頃を抱き締めながら今日を生きてるから(^-^)*なんちて」
    コータイC「とつけもなか」
    H博士「経済って汚いですよΘ_Θ」
    燕「ってか今気づきました。*~(゜д゜)あーりー?」
    彼氏B「つまらん!お前の話はつまらん!

    時間ここで止ってくれればと  いやそれは時間の問題でしょ あなたは何処へ行こうと言うのですか   え゛っ( ̄▽ ̄; てか、それって有っスカ?(ノリノリ♪(^o^)/  _― ̄☆ ̄―_ただ青空で口笛吹きたいだけさ  長い道のりですね  いったいいつになったら開くのこの門は… 門番「1972年以来開いたことがありません」 チー坊「ラジャりやした☆♪☆」  OKキムチ!  彼氏「こいつら、わけわからん!」  チー坊「またっすか?*(゜∀´)帰ります。(T_T)あーうー。」
    そこは夜霧の街ですか   いえ 誰もいない月の港です 次の信号を右に曲ってください 今度コスプレとかどう? きみは看護婦が似合うね 婦長っぽい えー、それって超ビミョーー☆何のことですかぁ!!メチャ気になるー!!(>_<)いまヒマ星人してまーす  健康のためにピンポンエクササイズ如何ですか  わー行きたい☆ピンポン球ください  白がいいかな、黄色にしようかな 彼氏「どうでもいいけど早くしろよ!」 チー坊「そんなにいらつかなくてもいいじゃん」  コータイC「えりゃん、むしゃんよかばいた」オツでした。明日も頑張りましょう。

    「回転禁止の青春さ」経験値を積んだ彼氏は薬草を手に入れ、花を飾った「かおるちゃん、遅くなってごめんね」 
    まったくどこへ行ったのですか お月さま 花は遅かった…  _― ̄☆ ̄―またたく間に  女子かと問えば女の子と云々  本当は女子が好きなんでしょ H博士「好きですよ」   いつか踊り場ですれ違った女子はいくつになったやら
    きつね「あなた、隠し事が多いのね」
    彼氏「書く仕事が好きなだけさ」
    王子「いや、恥をかいただけ」
    チー坊「それは言わない約束でしょ。昼ごろには行くと思います。よろしくです。(^_^)/」
    ステファニー「あたし客寄せパンダするっちゃん」
    彼氏「ほんとかよ?」そして誰もいなくなってしまった。バキャローー!
    チー坊「今から行きますが、だめっすか!!(T_T)」
    きつね「うちもいきます!!もー遅いっスカ(;_;)」
    彼氏「廊下に消しゴム落したのは誰だろうか」

    もう帰らない 遠い遠い下総中山の帰り道

    帰ろうかな ほのかにゆがむ眉の線

    君がいた夏は何処へ白い花

    駿河台マロニエ通り きみが檸檬

    上北沢のとんかつ屋 今もあるかな

    まだ? もういいよ

    帰ろうかな おいくらですか

    雀はやめなさい

    ゼッタイ電話してくださいよ

    風にじゃれるはがれかけた電柱のビラ 泣いているのか笑っているのか

    それではこれから夢みます おやすみなさい

    草いきれ 名もなき道 白い雲

    赤煉瓦館 丸いノブ きみがいた夏

     

    三日月が電線の雲にとけてゆく

    月が見たい 南窓を開ける

    はなだ色の宙に白ぬきの半月

    謝ったほうがいいかな お月さま

    もう諦めようかな お月さま

    公園のいてふ絨毯のヤンキー座り

    a bus stop 車窓に映るにび色の半月

    夜空を仰げば☆2つ出ていたよ

    月待つ宵の亜麻色の乙女

    月なき宵は淡き瑠璃色の風 19 lonly lonly lonly girl

    港浪漫・長浜ラーメントワイライトspecial 言葉がみつからない

     

    いてふ舞う雨の舗道の風の音

    帰ろうかな ビニールの相合い傘で

    雨上がり ポプラくんにさようなら

    傘忘れた ☆ どうするの 濡れて行く

    長雨に長めに引いた汝が綺眉

    にび色の空に るり色髪飾り

    銀鼠の小雨したたるバックミラーの☆ひとつ 

    雨の夜の舗道の端の傘にいて

    斜の雨が細い線でブラインドのストライプにしみつけてゆく うろこのやうに

    眠っているかよ雨蛙 逢えば別れがつらくなるものを

     

    ここ、ここ、こコガいいのよ。そこ、そこ、そコガいいのよ。
    ああ、あコガれのコガコーラ。

     

    ここでsaveしていいのですか もう前へは戻れませんよ

    縄と綱の違い判りますか 

    象さんもいいけどきつねさんの方がずっと好きです

    君には青が似合うと云った泣いた赤鬼

    Don't you never lonely night

     

    燕「君たちやけに仲がいいんね」 ブローカー「だって仲買人ですよ」「ラジャりやした♪*(゜∀´)
    彼氏「君たち女の子」go go go  きつね「あなたに女の子の一番大切なものをあげるわ」  
    今も思い出す度怖くなるわ 女の子に生まれた事、あなたを知ってから誇りなんです  
    とまどいの豚万2つください  オツです。誰もいない、なぜだーさみしー(T_T)∴☆∵草「葉、臭いかな?」白菜「よかくさ」  人の欲は よくわかりません ごめんなさいm(_ _)mあー帰りてーっす*~(゜д゜)
    もうこのままになるなら蒙古のママになりたい 母「わがままはmy mother」 水炊きしようかな 豆腐半丁入れて  あ 豆腐がない(゜д゜) 納豆でも入れるか コータイC「おじゃまします」 いもは黒霧いいね 「おいもいーーく」やさしい宵です それは二階堂だろ  麦100% 昨晩のとんかついっとく? 大将、店狭くなったんじゃないの? アッチチ また遊びませう☆(^-^)*

    チー坊「少年兵はなぜ哀しく孤独なのだろう」 トム・ソーヤに対抗して虚無僧(こむそう)アクション巨遍「虚無僧屋の冒険」近日大公開お楽しみに!体壊されぬようご注意めされ。お疲れさまです(^-^)*☆ 推敲してるのか酔興してるのか推古天皇  おせんにキャラメル焼如何ですか ウーロン茶サービスしますよ 「カレーないかな」彼いないよ_― ̄☆ ̄―_どうせならナイルカレーにしてくれない お待たせしましたプ−&ウ− トークショー開演です  「緑のおばさん質問ありますか」 ぴったりパンツのドモホルンリンクルあげよう どのホモにする? いやロイヤルスターにしてよ  オタコ「ぼくの靴匂う?」 わけねえだろ!
    あなたはこの事実を直視できるか カメラが捕えた衝撃の映像の数々2時間special 金曜日夜8時スタート お楽しみに!けして一人では見ないでください… しんちゃん2「真実には信じ2あり」  ハマコー「何歳ですか?へへへ」まぁいいやー☆わははのはー♪ぶりっこ入ってるかな ちょっとね でも感じいいですよ、私の胸に☆ズキューンドキューン!!   ☆something夢であえたらいいですね  素敵な事ね  恵まれない子供たちへ募金おねがいします それでは明日の天気を化粧協会のチー坊に伝えてもらいます  大胸腫れるでしょう 香水確率は10%〜2割  ヤギ「また乳が出ましたー!」 チー坊「じゃ、
    モンチしときますけん」 ちろちろと燃える月待つ宵のるり色乙女になってみませんか_― ̄☆ ̄―_  OKです(^-^)*

    薔薇「いい人っていいと思わない?」
    きつね「ああ、思うね」
    薔薇「でしょ」

    オタコ「皆様のお多幸をお祈り申し上げます」
    ブ−「大タコに瀬を教えられちゃった」
    フ−「負うた子じゃ?」
    ウ−「これ3択問題にしようか」
    三太「3タコロース如何ですか」
    オタコ「つったく、クリスマスにオタクが3人も!」
    三太「3タクロース如何ですか」
    オタコ「OKです☆んじゃ行きまーす*(゜∀´)」
    コータイC「ベシベシ」

    りぼん橋

    夕顔は優雅を渡るりぼん橋

    りぼん橋 月明かり 水面たゆたう長き影

    欄干に水面が反射している 湯気のやうだ

    木漏れ日を桁に映してりぼん橋

    帰っちゃいや 行けません やめてください

    いつも へへへー いつも へへへー ううん

    ひたぶるに風待てば かなたに浮ぶりぼん橋

    北風を斜めに通すりぼん橋

    まひがしに半月さやか☆2つ

    お月さま 白い水面に火照ってる

    「どうしてるよ」 同士TELよ

    川じゃん じいちゃん 星じゃん

     

    X'mas ちろちろとグラスに映えるツリーの灯
    やけに女っぽいじゃん だって女子なんですよ

    ここからはご覧のスポンサーの提供でお贈りします。
    <お口の恋人、ポップリン>
    ポッポッポップリー、ポップリー、ポッポッポップリー、
    ポプリプリーズ、あなたにポックリ、わたしはボックリ、
    とってもポップププププププププププププププ。
    ポップリー−ーン、プププププププププリン、プリン、プリン。

    月影の小径
    アハハ!やっぱEです!素敵です メチャ2 ウケました(^O) 彼氏「じゃね」「ばいなら」きつねはバス通りをぬけるともう振向かなかった  んー(-_-; よく分かんないけどカナリ楽しかったですよ!!(^o^)/☆  木陰のまにまに彷徨うガラスの乙女らはどこへ行ったやら チー坊「ハーイ★がんばってマス〜(>v<)☆」  にび色の空に夕焼け雲がけだるく垂れ下がり、鳥はねぐらへ帰って行く  きつねは久しぶりに森に寄ってみたくなった ☆赤レンガ塀の道を通り こんもりと繁った楠のお宮をぬけると全面を蔦に被われた家が見えた。かつて青鬼が住んでた家だが、今は知らない表札がかかっていた。しばらく歩を進めると自転車屋や寿司屋が並ぶ古い商店街に出た。

     

    若いきつねたちが見せるつかの間の輝き、

    あかねさす磯しぎに似て瑠璃みどろ

    ちはやふる山茶花の道とぼとぼと

    酔って見た山茶花の路寄ってみた

    さよならが言えずに対馬小路

    夢に描く浪漫の影 かそけきvioletの丘

    やんごとなきときのうつろひながめせし春の長雨

    はなだ色のそよ風に、女子の春は如何にと訳問へば、汝が映せし時の静寂に言い尽くすなり、月影の小径。

    ちろちろと踊る木漏れ陽に、ひねもすやんごとなき思ひ倦まさらしめんとはべりしかば、しくによしなし皐月の空。

    あかねさす かそけき女子 とつおいつ 春暁はるか 更け待ちの月。

    春風河水平
    処処見女子
    欲渡無舟櫂
    有無常浪漫

    たちまち月 きみが頬にヴィオロンの極み注ぎつつ

    ひばり啼く 風のリズムにさようなら

    風はゆく violetの丘 自転車で

    行ってみませうか やめときませうか

    もう終り じゃねバイバイ もういいの

    いらっしゃいませいらっしゃいませ 夢を売る店へようこそ

    お待たせしました!お嬢様方

    あかねさす蓮華の野には白い服の少女が似合う

    あかねさす半月まろく楠の上

    ここかしこ草ぼうぼうの行き止まり

    何と云う紫苑のしおらしさ

    私たちもうだめみたい 終わりにしよう

    おねげーしますだ 代官様

    素敵だな ステキよ

    常夜灯 どうせあなたが来ぬのなら

    雨が降ってきた どうしようかな

    女子の 話には よく主語がない

    OK? Baby

    あんしんだニャ− そうだニャン

    風はゆく violetの丘 自転車で

    夏、サカリです。あっちー(T_T)

     

    ひたぶるにたゆたう星のうたかた 倦まさらしめんとて十六夜彷徨へば天空遥かなり

    ちはやふる放棄されにし帚星 夜は夜もすがら夢見つつすがれゆくかも

    花の命の短さよ 色移り夕べに散りゆく様 いざよいのうたかたに似て儚かりけり

    ちろちろと舞ういてふの木漏れ陽、violet咲くクレヨン画のリズム_― ̄☆ ̄―_ひたぶるにかそけき夜、ひねもすさだめなく飛びちらうスピカ、やんごとなき思ひ倦まさらしめんとはべりしかばしくによしなし、いみじくもたふとかりけりいざよいの月。

    いざよいのお月さまとお話してたら虫さんがそっと云いました「そこは行き止りです」さらさらと川は流れて行きました

    夜霧の赤ずきんちゃん
    ●オオカミのおなかの中から赤ずきんちゃんはお茶の水博士に質問しました「なぜ寒いの?」「シベリアから吹いてくる風のせいじゃよ」「落し物するのはなぜ?」「万有引力のせいじゃな」「じゃ なぜあたしを助けてくれないの?」「それは確か狩人の役じゃないかな もうしばらく待つのじゃ」「ハーイ」
    博士はどこか遠くを見つめるように答えているのでした
    燕「お茶の水博士がそんな事でいいのか!」
    葉加瀬太郎「私は飲み過ぎて気分悪いです」
    燕「吐かせたろうか!」

    ●おかあさんは帰宅した赤ずきんちゃんに訊きました「オオカミと寝たの?」「カラスのかっ…」あわてておばあさんが赤ずきんちゃんの口をおさえました

    ●さあここで問題 赤ずきんちゃんがおばあさんのうちに持っていった物は何だったでせう次の4問から選びなさい
    1.パンとジャム
    2.おかしとブドウ酒
    3.パンとブドウ酒
    4.花とおかし
    オオカミ「オーディエンス!」

    ●筋肉マンのオオカミがせかすので赤ずきんちゃんが云った「ちょっとマッチョって」

    ●オオカミが進入禁止で捕まり その調書の氏名欄に大上森美 年齢19(ピチピチ) 職業家事手伝い 住所:上州新田郡三日月村 電話:フリーダイヤル0053 Eメール:docomo@kasicomo.ne.jp 趣味ヒ・ミ・ツ・うっふん とウソばかり書いて最後にキツネから借りた葉っぱの偽札で罰金を払った

    ●赤ずきんちゃんを読んだ少女が「なんかオオカミさんかわいそう」と泪ぐみました それを聞いたオオカミはただ泪泪泪 そばにいた忠治が「泣くんじゃねー!」「おらもう泣かねー」

    ●調子に乗ったオオカミは自叙伝出版を思いついたが果して売れるだろうか 題名は「実はオオカミはいい人だった」キャッチコピーは「☆茜空にかそけく散った悲劇のアンチヒーローの感動巨遍遂に完成!ひとりぼっちの夜に読んでください…」

    ●赤ずきんちゃんが飲んだジュースをオオカミが飲んで云った「うばっちゃった」

    ●「オオカミが来るぞー!」と赤ずきんちゃんはオオカミ少年のふりをして叫び回ったがカラスだけが笑っているだけでした

    Dr.スミス「エロエロ光線発射!」
    ミニモミ「発射完了!&モミモミ攻撃も発射!」
    おっぱい星人「やったな、連発ミルク弾喰らえ!」
    ミニモミ「わいたー」
    Dr.スミス「ミニモミ、OKキムチ?」
    ミニモミ「おやびん…」
    Dr.スミス「死ぬんじゃねー!」
    おっぱい星人「それは芸者の時に言う言葉、今の私には死ねと言ってください」
    ミニモミ「うるさい!パンツ丸見えのおっぱいお化け、お前に言われたくない!」
    Dr.スミス「わーおー、モーレツ」
    おっぱい星人「お前の母さん出ベソ!」
    燕「先生好きです」
    博士「me too」
    燕「また遊んでくださいね」
    博士「キムチ」
    燕「本当にキムチ?」
    博士「もう50だよ」
    燕「いいじゃん」
    博士「あそう、キムチ」
    燕「もう遊ばない」
    博士「じゃねばいばい」

    彼氏「佐賀のさがす君って知ってる?」
    きつね「ううん」
    彼氏 「つんでれは?」
    きつね「いや」
    彼氏「佐賀のさがす君って知ってる?」
    きつね「I dont know」彼氏「ここはどこだろう…」
    彼氏「ここはどこだろう…」
    Mac「解析不能」
    彼氏「つかぬことをお伺いしますが…」
    通行人「他で訊け」
    彼氏「私はどこへ行けばいいのでしょうか?」
    門番「しっし、あっちへ行け」
    女子「うちにおいで」
    Mac「危険、危険」
    彼氏「Mac、この子は誰だ?」
    Mac「検索不能」
    彼氏「まいっか、じゃおじゃまします」
    女子「お飲物は?」
    彼氏「電気ブランを」
    女子「そんなマニアックな物あるわけねーだろ!」
    彼氏「じゃ、ズブロッカ」
    女子「OKキムチ!」
    彼氏「眠たくなってきた…」
    女子「さあ、もっと飲みなさい、おっほほほ」
    彼氏「お前、アンドロイドだな…」
    女子「何をおっしゃるうさぎさん」
    Mac「死ね淫売!」
    女子「うっ…」
    彼氏「ここはどこなんだ!?」

    きつね「先生ほど先生らしくない人も珍しいですね」
    博士「あいたーす」
    きつね「ぶりぶり変化球やん」
    博士「え?私は直球のつもりばってん」
    きつね「先生が評価されるのは50後位だと思います」
    博士「と云うあなたも同類項では?」
    きつね「どきっ」
    博士「あなたにとって先生らし先生とは何ですか?」
    きつね「ピンチ、先生ゆるして」
    博士「キムチ」
    きつね「先生、質問宜しいでせうか」
    博士「キムチ」
    きつね「世の中というのは何か?」
    博士「花」
    きつね「人間とは何か?」
    博士「鳥」
    きつね「人間はいったいどうしたら一番よく人として生きられるのか?」
    博士「風」
    きつね「神というような者は果して存在しているのだらうか?」
    博士「月」
    きつね「なんのために人生は存在しているのか?」
    博士「キム〜チいい?」
    きつね「うん、先生は?」
    博士「
    me too
    きつね「… … … 」
    博士「うっ…」続

    桜坂やっくんの二度漬け
    薔薇「忘年会どこでしようか?」
    王子「M嬢宅」
    板さん「決定!」
    王子「ほら、天体望遠鏡も踊ってる」
    薔薇「鍋は?」
    板さん「水炊きorすき焼き、どっちがいい?」
    薔薇「うち、電気ブランにしようかな」
    王子「皆さん、くれぐれも飲酒運転だけはやめてくださいね」
    薔薇「design系とはまたひと味違うart系のエスプリ、なんとK御大も来場予定!お楽しみに!」
    H博士「プぉわーい」
    来未「舞うごつ出るばい」
    燕「
    おいもいーく

    アダム「博士、きつねさんってどんな女子なんですか?」
    博士「女子じゃない」
    イヴ「がびーん」
    ゾータン「動物だから♀ってことでどう?」
    薔薇「差別発言です」
    博士「好きなの?」
    アダム「ええ、まあ」
    博士「じゃ会わせてやろうかね」
    ゾータン「あんた頭いい女子好き?」
    アダム「ううん、ポン女子」
    博士「もう40だよ」
    リチャードさん「キスしようかな」
    インド女子「あんたは止めたがいいよ」
    アダム「私はどうすればいいだ」
    タミフル「勝負球は?」
    博士「変化球」
    ゾータン「スライダーでは?」
    キムチー「フォークもいいかも」
    ゾータン「勝つカレー小210円如何?」
    博士「わいたー、打たれた」
    きつね「それも大人のマナー」
    おぼっちゃま「眠たくなって来た」
    ロバ「振り向かないで」
    老婆「そのままお行き」
    毛皮「yes]
    おぼっちゃま「ニコールキッドマン」
    老婆「はい、special site」
    彼女「悪うございましたね」
    おぼっちゃま「3Qキムチ」
    燕「ちゃんと説明してよ」
    彼女「かわいければいいじゃん」

    彼氏「青いね」
    彼女「俺が?」
    彼氏「そろそろtogetherしようか」
    彼女「まじかよ」
    彼氏「もう21世紀だし、よくねー?」
    彼女「つったく」

    博士「芝生が気持ちいい」
    ゾータン「ふーん」
    博士「だって学校らしいだよ」
    Qさん「うちもね」
    きつね「そろそろ別れにしよう」
    サイコ2「つきあってないわ」
    ゾータン「先生宜しくね」
    きつね「一つだけ彼女を救える手があります」
    燕「もう無理だろう」
    ゾータン「もしかして加齢臭?」
    博士「問題ないよ」
    燕「先生、心拍数上昇!」
    ゾータン「救命ボートで脱出!!」
    Qさん「
    サメだ!
    燕「サイコ2「船だ!」
    博士「キムチ」
    船長「敵艦かも」
    射撃手「ロック完了」
    船長「撃て!」
    博士「待て、助けてやれ」
    燕「病人を先に」

    安カワ「結婚式とお葬式って似てると思いません?」
    燕「後から思えばね」
    きつね「どちらも泣いてるし」
    博士「ちょっと違うかも」
    安カワ「最近気になる事は?」
    きつね「久々に見た三浦和義の万引証拠映像のかがめた腰の振り方」
    燕「あれは演技しようとしてもムリ」
    安カワ「あたしは、19夫の年上38妻が店員におかあさんと呼ばれて逆上したやつ」
    燕「まだいいよ、ペタジーニの奥さんは25上のバーチャンぜよ」
    安カワ「先生は?」
    博士「長沢まなみの二重あご」
    船長「ロープを下ろせ!」
    博士「もうそろそろこの少女編は終りにしやうかと」
    棒棒爺「いやでごじゃる」
    若い兵士「何故あなたともあろう方がかく反動的なプロパガンダを?」
    棒棒爺「true loveがいつ出るかと気になるたい」
    博士「サンキューキムチ、大河浪漫少女編まだまだ続きます、お楽しみに!」
    燕「true loveは雲になるだろう」
    若い兵士「雲とは如何に?」
    きつね「やうやうと風は吹きます17の遥かを見てはひと筋のたなびく雲に何処へ如何と問うも、蕭々として言を為さず、せんかたなきや萌出ずる春の野の浅き夢の如し」
    凡人A「いい天気だな」
    小鳥「あはっ、やばいかも」
    若い兵士「連行いたします」
    ゆり「私はもうづいぶん前に時計を止めています」
    凡人A「Why?」
    若い兵士「because、命令ですから」
    凡人A「おぬし、北か?」
    若い兵士「北かさっさ、ほいさっさー」
    小鳥「やれ、やれ」
    ゆり「こいつを撃て」
    凡人A「Why?」
    ゆり「命令だ」
    博士「それでは諸君、また遇おう、ばいなら」
    たんぽぽ「風が吹いている」
    きつね「先生の父上は?」
    博士「親父は警察所長でした」
    きつね「毋上は?」
    博士「大きな土産店の創始者です」
    きつね「先生は?」
    博士「赤ちゃん大会で準優勝でした」
    きつね「恵まれた家に育ったおぼっちゃま君でガオカ卒の優等生が何でこうなったのですか?」
    博士「自分で何かやりたかったのです、若かったから」
    きつね「私が会った人物の中で先生が一番知的な人に見えますが」
    博士「私を買い被らないでください、私は頭が悪いです」
    きつね「好きなものは?」
    博士「女子」
    きつね「何故?」
    博士「男子なら女子を好きになるの当然でしょ?貴方は?」
    きつね「me too、ただ先生は女子を研究しているのかなと」
    博士「確かにそれはあるでせうね、科学者として」
    きつね「でも先生と女子はミスマッチです」
    博士『うっ、グサッ…』
    きつね「むしろ女子嫌いに見えるのですが」
    博士『ヅルッ…』
    きつね「じゃ、好きな女子の如何は?」
    博士「愛を選ぶ女子」
    きつね「例えば?」
    博士「松」
    松「ギャー」
    きつね「仕事、仕事、仕事!」
    博士「やけに楽しそうですね」
    きつね「先生も本当は仕事好きなんでしょ?」
    博士「だってせなしかたないもん」
    きつね「仕事があって、いいなー」
    博士「なんがよかろうか」
    きつね「本当は何になりたかったのですか?」
    博士「科学者」
    きつね「なってるじゃないですか」
    博士「科学者」
    きつね「先生ほど外見と中身の違う人も珍しい」
    博士「そうかなー」
    きつね「あなたは何故本性を現さないのですか?」
    博士「だって楽だもん」
    きつね「私が会った中では一番知的な人だと思いますが」
    博士「買い被らないでください、あなたが思うやうな人ではありません」
    きつね「うちばかやけん、ようわからん」
    博士「ただ考えるのが好きなだけです」
    きつね「ふーん」
    博士「わー、かわいい!」
    ミッキー「うん、かわいいでしょ」

    若い兵士「あなたはここで何をされてるのですか」
    モナ王「あっちへ行け」
    燕「要件を聞こうか」
    若い兵士「米の傾向と対策についてであります」
    燕「キムチでいいじゃないか」
    若い兵士「実は私はあなたとtogetherなのです」
    モナ王「
    は、どこが?
    若い兵士「和です」
    博士「さあ」
    燕「自分勝手なartistの言なんか聞いちゃダメだよ」
    若い兵士「では私は如何すればと?」
    博士「本当に考えてる?」
    モナ王「どうかな」

    ●BGM:リン・アンダーソン「ローズガーデン」
    ●参考:萩原朔太郎「大渡橋」